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88話 出会いの旅路 14

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「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ」

 オレと"灰狼"の4人でギルドへと入る。
 ラテルはキョロキョロしているが、捕まる前足に力が入っていて緊張気味のようだ。

 ギルド内はルティスタとほとんど変わらず、大きさも、冒険者の数も同じように見える。


 王都周辺では、広範囲に渡って魔物の縄張りを国主体で駆逐しており、その為王都の冒険者の仕事のほとんどは護衛依頼が主であり、討伐で稼ぐような冒険者がいないので、この規模らしい。




「こんにちは、本日はどういったご用件でしょうか?」

 カウンターの受付嬢が挨拶をしてくる。

「キュキュ、キッキュ、キュキュン!」

 オレとガルフが依頼完了書を用意している間に、ラテルが受付嬢に何か一生懸命話している。

(…初対面なのにやけに積極的だな)

「そ~なんだ~、すごいね~」
「キュキュン」


 気になって聞いてみる、
「あの…何言ってるか分かるんですか?」

「あ、ごめんなさい、すごく何か言いたそうな感じだったんで、適当に相づちうってただけなんです」

「そうだったんですね、あ、これ依頼完了書です」
「はい、お預かりします」
「あ、あとこの子を"使役登録"したいんですが?」
「承りました。
 少々お待ち下さい」

 受付嬢はオレとガルフの依頼完了書と、全員のギルドカードを持って奥に行く。



 今のやり取りを黙って見ていたガルフが口を開く。
「あれじゃねーか? あの娘がドワーフで、地属性同士ウマが合う、とか」

 奥で上司らしき職員と話している受付嬢を見る。
 カウンター越しでは気づかなかったが、赤茶色の髪に少しずんぐりとした体型、ドワーフは初めて会うので分からないが、特徴的には一致する。

「そうなの?」
「キュイ!」

 ラテルに訪ねると、何となく「そう!」と言ってる感じだ。


 受付嬢が戻って来て、カウンターに全員のカードと、オレとガルフの前に紙を一枚づつ置く。

「確認いたしました。
 この護衛依頼は往復の契約となっていますが、片道づつ報酬を支払う契約になっていますので、こちらの金額に間違いがなければサインをお願いします。
 報酬の方は受け取られますか?"預かり"にしますか?」


 "預かり"というのは【ギルド共通預金】の事で、報酬その他のお金をギルドカードに紐付いた個人口座で預かってくれる。
 契約しておけば、冒険者が亡くなった場合などに指定の相手に渡すなどのサービスもあるので、所帯持ちの冒険者は"預かり"にしている事が多いらしい。


 オレ達はこれから王都で入り用になるので全員この場で受け取った。


 オレは別に遺す相手がいる訳ではないので、毎回受け取ってもいいんだけど、そうすると毎回の報酬ごとに「金貨が何枚、大銀貨が何枚」と積み重なっていって、額面以上に硬貨の枚数が増えて邪魔なだけなので、ストレージ内の手持ちがあるうちは預ける事にしている。

「依頼お疲れ様でした。
 護衛後半の予定擦り合わせの方は依頼者様と綿密にお願いいたします。

 リルトさんは"使役登録"の件がありますので、会議室へご案内しますのでそのままお待ち下さい」

「分かりました」


「リルト、同じ宿にしといた方が何かと楽だ。
 オレ達は先に「黒猫亭」って宿屋に行ってる。
 評判の宿だから受付嬢に聞けば場所は分かるはずだ、後から来いよ」

「分かりました」


「"黒猫亭"なら分かりますから、後で地図をお渡ししますね」

 いつの間にかカウンターから出て受付嬢が横に立っていた。


「それではリルトさん、ご案内いたします」




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