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36話 しがらみと戦いの中へ 6

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「…ふぅ」

 ベッドに倒れ込み、身体の力を抜く。
 今日も色々あって疲れた。昨日は夜の森横断で、肉体的だったが、今日は精神的に疲れた。




 さっそく、貴族だのの話が出たが、これはしょうがない。
 転生者だとバレない為にも、「人目につかない所で生きてきた」という設定は、どうしても必要だし、そんな特殊な場所には、特殊な事情が絡むものだ。

 実際、神界で候補地を探していた時、他にも候補地はあったんだけど、

(1)冒険者も来ない場所→そんな場所には、周りに町も無い。

(2)町が近くにあっても人が寄りつかない場所→普通の人は来なくても、冒険者は探索に来る

(3)町が近く、冒険者も近寄らない場所→相当危険で、そもそも転生場所に不適合。

 となって、結局(3)に該当するが、ボスにだけ対処すればどうにかなる【夜の森】が選ばれた訳だ。

 だから、夜の森関連で多少のしがらみに対処しなきゃならないのは、コラテラルダメージってヤツだ。




 …だけど、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・【D・S (Dimension・Seeker次元の探索者) 】
 斥候系戦闘職。
 魔法に適正が高く、【時間】【空間】属性の職業スキルを習得し、基本は斥候系のスタイルだが、訓練しだいで、全ての戦闘ポジションに就く事が可能な万能職。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 どうみてもチートの匂いしかしない、プンプンする、【時間】とか【空間】とかチート属性の代名詞だし、万能職っていうのも怪しい。



(……)




(…キャラクリになかった藍の髪…【時間】【空間】…)


 アイテムボックスから手紙を出す。
 意を決して封を解き、手紙を広げる。






「ごめんね♥」








(…………)


 分かってた、本当は分かってたよ。
 ティナが、本当はオレを地上に転生させたくないって思ってる事、そのまま神になって欲しいって思ってる事、でも規則上それが出来ないから、納得したフリをしてる事…


(なんだ?一体何が起きる?これで打ち止めか?)


 髪が藍色になってた事。
 ティナと同じ色である事からも、恐らく「極限まで影響が出ないようにする」と言っていた神力を、オレの身体にそこそこ込めたんだろう。
 たぶん何かどこか、ぶっ壊れた能力になりそうな気がする。


 それに、昨日今日で、何となく察してはいた、町でやけに見られるな、と。
 恐らく神力の影響で、顔もキャラクリより良くなっていて、人目を引くレベルなんだろう。
 大体それ以前に…


 神界での最後の一週間。
 正式に滞在許可の出たオレは、ティナと一緒に、神族の町にも出掛けた。
 今思えば、どこを見ても、相当な美男美女しかいなかったが、あの時のオレは、完全に感覚がマヒしていた。
 そんな中、キャラクリの最終調整をした。
「…目立ちたくないとはいえ、ちょっとブサイクすぎるか?」
 とか言って、ちょこちょこ顔も弄った記憶がある。

(ティナの事言えない、…オレもやらかしてる)

 
 そして【D・S 】…
 どう考えても作為的だ、オレがなりたかった斥候系、ティナの権能である【時間】と【空間】、たぶんティナが作ったんだろう。


 どんな能力が隠されてるんだ?






 …まぁいい。
 オレが一番嫌なのは、

・祭り上げられて、無理やり戦わされる事。
・しがらみで、ペコペコ頭下げる事。
・追い立てられて、働き続ける事。

 あくまでも、これを拒否したいからこそ、【目立つ】事を回避しようとして訳で、目立たない事が目的じゃない。

 とにかくこれからは、自力を上げて、嫌な事を拒否出来るだけの力をつける事に専念するしかない。




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