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29話 「冒険者」となるには 7
しおりを挟むレシアナさんに待ってもらう意味を込めて、声を出して唱える。
「ステータス」
ーーーーーーーーーーーー
【名前】リルト
【種族】ハーフエルフ
【年齢】15
【レベル】15
【職業】
・【D・S】
・【錬金術師】【薬師】
【スキル】
ーー攻撃系ーー
・短剣術
ーー防御系ーー
・体術
・恐怖耐性
ーー魔法系ーー
・無動作魔法
・【生活魔法(水・種火・微風・灯り)】
ーーその他ーー
・(鑑定)
・マジックボックス
・直感
ーーーーーーーーーーーー
詳細画面を呼び出す。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・【D・S (Dimension・Seeker) 】
斥候系戦闘職。
魔法に適正が高く、【時間】【空間】属性の職業スキルを習得し、基本は斥候系のスタイルだが、訓練しだいで、全ての戦闘ポジションに就く事が可能な万能職。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(【時間】【空間】…もう嫌な予感しかしないな)
「あの…」
レシアナさんに声をかけられてハッとする。
「あ、すいません、ステータスぼーっと見ちゃって」
「いえ、確認は大切ですから。
それで、申し訳ないんですが、その職業の詳細確認をしたいので、もう一度"受職の水晶"に触れてもらえますか? あ、もちろん無料ですので」
(まぁ、今さら隠したところで、どうせ1ヶ月後にはバレるんだ)
「はい、どうぞ」
再度水晶に触れ、少しすると「はい、もうけっこうです」と言われ、手を放す。
見た事には触れずに退出を促され、先ほどの会議室で少し待っていると、ワゴンを引いてレシアナさんが戻ってくる。
ワゴンの上にはお茶のセットが、下の段には大きな本がいくつか積まれている。
「ちょっと長くなってしまったので、一度少し休憩しましょうか?」
「ありがとうございます」
オレが久しぶり(といっても3日くらいか?)の紅茶を楽しんでいる向かいでは、レシアナさんが紅茶を飲みながらも、分厚い本をめくり何かを探している。
「大体分かりました」
レシアナさんが本を閉じ、こちらに視線を合わせてくる。
「古代語辞典によると、「でいめんしょん」というのが「空間」を表す言葉で、「し~かー」というのが「探索者」を表す言葉のようです」
「ぐふっ!」
(危ない…紅茶吹くとこだった、不意打ちで、そのイントネーションはヤバい)
「?大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です、ちょっとむせて」
「そうですか。
そういう事で、リルトさんの就いた【D・S】という職業は、【空間】魔法適正を持ちながら、物理職である斥候も出来るという【魔法剣士】なんかに近い職業なのでは、と推測されます。
ただ、詳細画面に「万能職」としっかり言及されている職業はなかなか無いので、ひょっとしたら相当、有能な職業かもしれません」
「そうなんですか、それは良かったです」
(正直もう、授職だけでお腹いっぱいだな、この後まだ登録とギルド長面談…)
その後は、簡単な書類書いて、何か魔道具触って、登録はアッサリ終わった。
この後、ギルド長との面談もあるという事で、ギルドの規則は資料をもらって、後で見ることに。
「時間も時間ですので、昼食にしましょうか。
ご馳走しますので、ご一緒にいかがですか?」
そう言われてみれば、そろそろ少し、お腹が空いてきたかもしれない。
「美人副ギルド長と見知らぬガキが食事」とか、やっかみの元にもなりそうだが、今のところ本当に、大した力も無いガキなので、面倒だが、少しは権力とお友達になっておくしかないか…
「ありがとうございます。
じゃあ遠慮なくご馳走になります」
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