上 下
29 / 244

29話 「冒険者」となるには 7

しおりを挟む

 レシアナさんに待ってもらう意味を込めて、声を出して唱える。

「ステータス」

ーーーーーーーーーーーー
【名前】リルト
【種族】ハーフエルフ
【年齢】15
【レベル】15
【職業】
・【D・S】
・【錬金術師】【薬師】
【スキル】
ーー攻撃系ーー
・短剣術
ーー防御系ーー
・体術
・恐怖耐性
ーー魔法系ーー
・無動作魔法
・【生活魔法(水・種火・微風・灯り)】
ーーその他ーー
・(鑑定)
・マジックボックス
・直感
ーーーーーーーーーーーー



 詳細画面を呼び出す。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・【D・S (Dimension・Seeker次元の探索者) 】
 斥候系戦闘職。
 魔法に適正が高く、【時間】【空間】属性の職業スキルを習得し、基本は斥候系のスタイルだが、訓練しだいで、全ての戦闘ポジションに就く事が可能な万能職。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



(【時間】【空間】…もう嫌な予感しかしないな)



「あの…」
レシアナさんに声をかけられてハッとする。
「あ、すいません、ステータスぼーっと見ちゃって」

「いえ、確認は大切ですから。
それで、申し訳ないんですが、その職業の詳細確認をしたいので、もう一度"受職の水晶"に触れてもらえますか? あ、もちろん無料ですので」

(まぁ、今さら隠したところで、どうせ1ヶ月後にはバレるんだ)

「はい、どうぞ」
 再度水晶に触れ、少しすると「はい、もうけっこうです」と言われ、手を放す。




 見た事には触れずに退出を促され、先ほどの会議室で少し待っていると、ワゴンを引いてレシアナさんが戻ってくる。
 ワゴンの上にはお茶のセットが、下の段には大きな本がいくつか積まれている。

「ちょっと長くなってしまったので、一度少し休憩しましょうか?」
「ありがとうございます」




 オレが久しぶり(といっても3日くらいか?)の紅茶を楽しんでいる向かいでは、レシアナさんが紅茶を飲みながらも、分厚い本をめくり何かを探している。


 
「大体分かりました」
 レシアナさんが本を閉じ、こちらに視線を合わせてくる。
「古代語辞典によると、「でいめんしょん」というのが「空間」を表す言葉で、「し~かー」というのが「探索者」を表す言葉のようです」

「ぐふっ!」

(危ない…紅茶吹くとこだった、不意打ちで、そのイントネーションはヤバい)

「?大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です、ちょっとむせて」

「そうですか。
 そういう事で、リルトさんの就いた【D・S】という職業は、【空間】魔法適正を持ちながら、物理職である斥候も出来るという【魔法剣士】なんかに近い職業なのでは、と推測されます。
 ただ、詳細画面に「万能職」としっかり言及されている職業はなかなか無いので、ひょっとしたら相当、有能な職業かもしれません」
「そうなんですか、それは良かったです」


(正直もう、授職だけでお腹いっぱいだな、この後まだ登録とギルド長面談…)

 その後は、簡単な書類書いて、何か魔道具触って、登録はアッサリ終わった。
 この後、ギルド長との面談もあるという事で、ギルドの規則は資料をもらって、後で見ることに。




「時間も時間ですので、昼食にしましょうか。
 ご馳走しますので、ご一緒にいかがですか?」


 そう言われてみれば、そろそろ少し、お腹が空いてきたかもしれない。
「美人副ギルド長と見知らぬガキが食事」とか、やっかみの元にもなりそうだが、今のところ本当に、大した力も無いガキなので、面倒だが、少しは権力とお友達になっておくしかないか…

「ありがとうございます。
 じゃあ遠慮なくご馳走になります」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります

古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。 一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。 一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。 どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。 ※他サイト様でも掲載しております。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

『スキルの素』を3つ選べって言うけど、早いもの勝ちで余りモノしか残っていませんでした。※チートスキルを生み出してバカにした奴らを見返します

ヒゲ抜き地蔵
ファンタジー
【書籍化に伴う掲載終了について】詳しくは近況ボードをご参照下さい。 ある日、まったく知らない空間で目覚めた300人の集団は、「スキルの素を3つ選べ」と謎の声を聞いた。 制限時間は10分。まさかの早いもの勝ちだった。 「鑑定」、「合成」、「錬成」、「癒やし」 チートの匂いがするスキルの素は、あっという間に取られていった。 そんな中、どうしても『スキルの素』の違和感が気になるタクミは、あるアイデアに従って、時間ギリギリで余りモノの中からスキルの素を選んだ。 その後、異世界に転生したタクミは余りモノの『スキルの素』で、世界の法則を変えていく。 その大胆な発想に人々は驚嘆し、やがて彼は人間とエルフ、ドワーフと魔族の勢力図を変えていく。 この男がどんなスキルを使うのか。 ひとつだけ確かなことは、タクミが選択した『スキルの素』は世界を変えられる能力だったということだ。 ※【同時掲載】カクヨム様、小説家になろう様

創造眼〜異世界転移で神の目を授かり無双する。勇者は神眼、魔王は魔眼だと?強くなる為に努力は必須のようだ〜

ファンタジー
【HOTランキング入り!】【ファンタジーランキング入り!】 【次世代ファンタジーカップ参加】応援よろしくお願いします。 異世界転移し創造神様から【創造眼】の力を授かる主人公あさひ! そして、あさひの精神世界には女神のような謎の美女ユヅキが現れる! 転移した先には絶世の美女ステラ! ステラとの共同生活が始まり、ステラに惹かれながらも、強くなる為に努力するあさひ! 勇者は神眼、魔王は魔眼を持っているだと? いずれあさひが無双するお話です。 二章後半からちょっとエッチな展開が増えます。 あさひはこれから少しずつ強くなっていきます!お楽しみください。 ざまぁはかなり後半になります。 小説家になろう様、カクヨム様にも投稿しています。

とあるオタが勇者召喚に巻き込まれた件~イレギュラーバグチートスキルで異世界漫遊~

剣伎 竜星
ファンタジー
仕事の修羅場を乗り越えて、徹夜明けもなんのその、年2回ある有○の戦場を駆けた夏。長期休暇を取得し、自宅に引きこもって戦利品を堪能すべく、帰宅の途上で食材を購入して後はただ帰るだけだった。しかし、学生4人組とすれ違ったと思ったら、俺はスマホの電波が届かない中世ヨーロッパと思しき建築物の複雑な幾何学模様の上にいた。学生4人組とともに。やってきた召喚者と思しき王女様達の魔族侵略の話を聞いて、俺は察した。これあかん系異世界勇者召喚だと。しかも、どうやら肝心の勇者は学生4人組みの方で俺は巻き込まれた一般人らしい。【鑑定】や【空間収納】といった鉄板スキルを保有して、とんでもないバグと思えるチートスキルいるが、違うらしい。そして、安定の「元の世界に帰る方法」は不明→絶望的な難易度。勇者系の称号がないとわかると王女達は掌返しをして俺を奴隷扱いするのは必至。1人を除いて学生共も俺を馬鹿にしだしたので俺は迷惑料を(強制的に)もらって早々に国を脱出し、この異世界をチートスキルを駆使して漫遊することにした。※10話前後までスタート地点の王城での話になります。

暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~

暇人太一
ファンタジー
 仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。  ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。  結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。  そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?  この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。

処理中です...