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16話 町へ向けて 7

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・サンドイッチ…2皿
・水筒(紅茶)…2本
・ティナからの手紙…1通
ーーーーーーーーーーーー

(……)

 とりあえず、地上に合わせたであろう木製の皿に乗ったサンドイッチを一皿、木製の水筒を一本、一枚の紙を後ろで折り合わせて、封蝋のしてあるティナからの小さな手紙をテーブルに置く。

(……)

 手紙を少し離れた場所に、皿を目の前に置き、水筒を開け、コップ代わりのフタに紅茶を注ぐ。

 タマゴ・ツナマヨ・BLTと定番の具がはさまったサンドイッチを食べ、合間に紅茶を飲みながらも、視線は手紙から離れない。



(…普通なら、しばらく離ればなれになる恋人へ彼女が送る手紙だ。)

【遠く離れても、気持ちはいつも一緒だよ】
とか、
【二度目の人生楽しんで】
とか書いてあるのを想像する。
 でも何でなんだろう。何かどこからか「読みたくない」っていう気持ちが生まれてくる。

(…!これ、【直感】か?)

ーーーーーーーーーーーーーーー
【直感】
アクティブスキル。
本能的なカンを増幅する。
レベルに応じて増幅値が上がる。
ーーーーーーーーーーーーーーー

 【直感】は、けっこう漠然としたスキルだ。
良い事にも悪い事にも働くが、レベルが上がれば必ず発動する訳でもなく、運にも左右されるらしい。



 でも何となく、これは【直感】な気がする。

(……)

 食べ終わった皿と水筒を持ち、台所へ向かう。
水瓶を軽く嗅いで、少しだけ口に含む。
 大丈夫そうだが一応水を吐き出し、皿と水筒を洗い、手拭いで拭く。
 水を水筒に注ぎ、テーブルに戻ると、皿と水筒をアイテムボックスに入れ、

……手紙をアイテムボックスに入れた。

(…今じゃない。分からないけど今じゃない。)





ーーーーーーーーーー

…チュン、チ、チチチ、チュンチュン…

 ゆっくりと覚醒と共に目が開く。
視界全体の茶色さと薄暗さに、一瞬ビクッとするが、状況を思い出し深呼吸する。
 一人寝なのに、最近のクセでベッドの右端に寄り、左腕を水平に伸している自分の寝かたに小さく苦笑する。



 起き上がり、軽く伸びをしながら窓の外を見れば、雲の無い青空。

(…崩れそうにはないな)

 リビングのイスに座り、アイテムボックスから紅茶を出し一口飲む。

 はっとしてカンテラを見ると、内部の光は消えている。

(…勝手に消えた?それとも燃料切れ?)

 思考を巡らせながらイスを持ち、カンテラの下に設置し脚立代わりにして天井からカンテラを外す。

(立派な魔道具だし、持ってかない理由がないよな)

 アイテムボックスにカンテラを仕舞い、代わりにサンドイッチの乗った皿を出しテーブルに戻る。




 サンドイッチを食べながら、作業テーブルに置かれた2つの物を見る。
 ここから町へ向かう為に、ティナが用意してくれた魔道具だ。

 リビングテーブルからは2mほど離れているが、試しにと、

(【鑑定】)

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結界の置き物
神造魔道具アーティファクト
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認識阻害の松明たいまつ
神造魔道具アーティファクト
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