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第3話 思い出す情報
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『heart・in・heart ~あなたの心に触れさせて~ 』
学園恋愛シミュレーションゲーム
CERO-C(15才以上対象)
6800円(税別)
通称:ダブハー
(理由:タイトルにheartが2つ入っていてダブルハートから略してダブハーになったらしい)
これはおれ・長谷川優希がハマっていた乙女ゲームの情報だ。
カセットタイプのゲームソフトでケースの裏に書いてあったあらすじなどは忘れてしまった。
表紙にはヒロインの周りに派手な髪色をした美少年たちが描かれていた。
ヒロインのビアンカ(名前変更可)が入学した王立学園で攻略キャラクターの男子たちと恋をしていくというストーリーだったはずだ。
ダブハーのキャラボイスは豪華声優により、あるお姉さまは聴覚を犯されて発狂する。
ダブハーのイラストは有名な絵師により、あるお姉さまは夢女子となり妄想を滾らせる。
他にはヒロインが邪魔だと、攻略キャラと攻略キャラを掛け算して二次創作に没頭するなど乙女ゲームではよく見られる現象だろう。
おれはクラスメートの女子たちが楽しそうに会話していたから、気になって話に加わったらスマホでダブハーのイラストを見せられたクチだ。
そして、その中に発見した。
緑目に腰まである水色の髪色をハーフアップにした儚けな美少女を!
『なにこの子っ、超可愛いじゃん!!』
『えっ。ハセユウ、まさかのルイーザ推し?』
『ルイーザ? この子、ルイーザっていうの!? めっちゃ可愛い!』
『うん。あー、でも、この子はルイーザなんだけどルイーザじゃないみたいな……』
『いや、なにその曖昧な言い方?』
『だって、ルイーザは……』
『シィー! 未プレイの人にネタバレ禁止!』
『ハセユウ。良かったらプレイしてみる? 私ので良かったらカセット貸すよ』
『えっ、貸してくれんの!?』
『うん。私、ある程度プレイして満足したし。売ろうかなって思ってたんだよね。データは初期化してるからすぐに出来るよ』
『ありがとう! マジ助かる!』
ハセユウっていうのはおれのあだ名だ。
長谷川も優希もよくある名前だったからね。
おれは女友だちからダブハーのカセットを貸してもらった。
こうして、ダブハーをプレイすることになったのだ。
対応のゲーム機は持っていたから、すぐに家でプレイすることが出来た。
水色の髪色をした美少女、ルイーザがどんな子なのか知りたくて……。
ダブハーを思うがままにまずは一周プレイをしてみて、メンタルがゴリゴリに減ったよね。
ヒロインと攻略キャラによるきゃっきゃっうふふな恋愛ストーリーが待ってると思ったのに、エンドを迎える前に何度か挫折したよね。
だって、ダブハーの攻略キャラの男子たちって全員、何かしら闇を抱えてるんだもの。
闇っていうか、様々な理由で心に傷を負っていた。
異母兄弟がいて、ことごとく比べられたり。
将来上に立たないといけないというプレッシャーに押し潰されそうになったり。
親から捨てられて孤児になったり。
力が強過ぎて化物扱いされたり。
その他諸々。
(貴族の子どもって大変なんだな……)
攻略キャラたちの同情せずにはいられない過去とか、良い感じになったヒロインと恋をして良いのかという葛藤とか。
プレイ中に流れて来る文章を読んで何度叫んだことか。
ストーリーに引き込まれて攻略キャラたちに感情移入しそうになったけど、おれの最優先はルイーザだった。
ルイーザがどんな子か知りたくて、おれはダブハーをプレイしたんだ。
悪役令嬢、ルイーザ・ファフェイス。
ヒロインであるビアンカが攻略キャラを選択すると、二人の仲を引き裂こうとする女子生徒だ。
ルイーザは最初、ヒロインに優しく接してくる。
ヒロインはルイーザと仲良くなって、心を開いていくんだけど、ルイーザは裏でヒロインを貶めようと行動していた。
しかし、ヒロインが選んだ攻略キャラにより断罪される。
物語の途中で殺されることもあれば、もうすぐエンディングというところで処刑されたりする。
一家全滅というエンドもあって、何故かルイーザはヒロインがどのルートへ進んでも破滅へと向かっていくんだ。
処刑されずに生きている場合もあるけど、幽閉エンドとかもあった。
ヒロインにはハッピーエンドとか様々なエンドが用意されているのに、バッドエンドにしかならないルイーザ。
おれが一番衝撃を受けたのは、ルイーザが本当は悪役令嬢じゃなくて悪役令息だったことだ。
ルイーザ・ファフェイス。
本名、ルイス・ファフェイス。
ルイーザはルイスという男性だった。
ルイスは自主的に女装していたのではなく、性別を偽って生きていた。
周りにも女性だと認識されていたから悪役令嬢で間違いではないんだけど、そうなった経緯がやばかった。
ルイスは幼い頃から父親に息子ではなく娘になれと女装を強制させられていた。
ダブハーの世界では子どもは5歳になる年に教会で神様へお披露目の儀式があるんだけど、あろうことか父親は息子のルイスを娘だと紹介するんだ。
教会で虚偽の申告は罪になるから、ルイスは娘として生きなくてはいけなくなった。
どのルートか忘れたけど、そのストーリーが出てきてルイスがルイーザになった経緯を知った時、ルイスの父親へサツ意を抱いたのは仕方ないと思う。
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『heart・in・heart ~あなたの心に触れさせて~ 』
学園恋愛シミュレーションゲーム
CERO-C(15才以上対象)
6800円(税別)
通称:ダブハー
(理由:タイトルにheartが2つ入っていてダブルハートから略してダブハーになったらしい)
これはおれ・長谷川優希がハマっていた乙女ゲームの情報だ。
カセットタイプのゲームソフトでケースの裏に書いてあったあらすじなどは忘れてしまった。
表紙にはヒロインの周りに派手な髪色をした美少年たちが描かれていた。
ヒロインのビアンカ(名前変更可)が入学した王立学園で攻略キャラクターの男子たちと恋をしていくというストーリーだったはずだ。
ダブハーのキャラボイスは豪華声優により、あるお姉さまは聴覚を犯されて発狂する。
ダブハーのイラストは有名な絵師により、あるお姉さまは夢女子となり妄想を滾らせる。
他にはヒロインが邪魔だと、攻略キャラと攻略キャラを掛け算して二次創作に没頭するなど乙女ゲームではよく見られる現象だろう。
おれはクラスメートの女子たちが楽しそうに会話していたから、気になって話に加わったらスマホでダブハーのイラストを見せられたクチだ。
そして、その中に発見した。
緑目に腰まである水色の髪色をハーフアップにした儚けな美少女を!
『なにこの子っ、超可愛いじゃん!!』
『えっ。ハセユウ、まさかのルイーザ推し?』
『ルイーザ? この子、ルイーザっていうの!? めっちゃ可愛い!』
『うん。あー、でも、この子はルイーザなんだけどルイーザじゃないみたいな……』
『いや、なにその曖昧な言い方?』
『だって、ルイーザは……』
『シィー! 未プレイの人にネタバレ禁止!』
『ハセユウ。良かったらプレイしてみる? 私ので良かったらカセット貸すよ』
『えっ、貸してくれんの!?』
『うん。私、ある程度プレイして満足したし。売ろうかなって思ってたんだよね。データは初期化してるからすぐに出来るよ』
『ありがとう! マジ助かる!』
ハセユウっていうのはおれのあだ名だ。
長谷川も優希もよくある名前だったからね。
おれは女友だちからダブハーのカセットを貸してもらった。
こうして、ダブハーをプレイすることになったのだ。
対応のゲーム機は持っていたから、すぐに家でプレイすることが出来た。
水色の髪色をした美少女、ルイーザがどんな子なのか知りたくて……。
ダブハーを思うがままにまずは一周プレイをしてみて、メンタルがゴリゴリに減ったよね。
ヒロインと攻略キャラによるきゃっきゃっうふふな恋愛ストーリーが待ってると思ったのに、エンドを迎える前に何度か挫折したよね。
だって、ダブハーの攻略キャラの男子たちって全員、何かしら闇を抱えてるんだもの。
闇っていうか、様々な理由で心に傷を負っていた。
異母兄弟がいて、ことごとく比べられたり。
将来上に立たないといけないというプレッシャーに押し潰されそうになったり。
親から捨てられて孤児になったり。
力が強過ぎて化物扱いされたり。
その他諸々。
(貴族の子どもって大変なんだな……)
攻略キャラたちの同情せずにはいられない過去とか、良い感じになったヒロインと恋をして良いのかという葛藤とか。
プレイ中に流れて来る文章を読んで何度叫んだことか。
ストーリーに引き込まれて攻略キャラたちに感情移入しそうになったけど、おれの最優先はルイーザだった。
ルイーザがどんな子か知りたくて、おれはダブハーをプレイしたんだ。
悪役令嬢、ルイーザ・ファフェイス。
ヒロインであるビアンカが攻略キャラを選択すると、二人の仲を引き裂こうとする女子生徒だ。
ルイーザは最初、ヒロインに優しく接してくる。
ヒロインはルイーザと仲良くなって、心を開いていくんだけど、ルイーザは裏でヒロインを貶めようと行動していた。
しかし、ヒロインが選んだ攻略キャラにより断罪される。
物語の途中で殺されることもあれば、もうすぐエンディングというところで処刑されたりする。
一家全滅というエンドもあって、何故かルイーザはヒロインがどのルートへ進んでも破滅へと向かっていくんだ。
処刑されずに生きている場合もあるけど、幽閉エンドとかもあった。
ヒロインにはハッピーエンドとか様々なエンドが用意されているのに、バッドエンドにしかならないルイーザ。
おれが一番衝撃を受けたのは、ルイーザが本当は悪役令嬢じゃなくて悪役令息だったことだ。
ルイーザ・ファフェイス。
本名、ルイス・ファフェイス。
ルイーザはルイスという男性だった。
ルイスは自主的に女装していたのではなく、性別を偽って生きていた。
周りにも女性だと認識されていたから悪役令嬢で間違いではないんだけど、そうなった経緯がやばかった。
ルイスは幼い頃から父親に息子ではなく娘になれと女装を強制させられていた。
ダブハーの世界では子どもは5歳になる年に教会で神様へお披露目の儀式があるんだけど、あろうことか父親は息子のルイスを娘だと紹介するんだ。
教会で虚偽の申告は罪になるから、ルイスは娘として生きなくてはいけなくなった。
どのルートか忘れたけど、そのストーリーが出てきてルイスがルイーザになった経緯を知った時、ルイスの父親へサツ意を抱いたのは仕方ないと思う。
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