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ハナと僕
貞操帯
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「うげぇ、変な匂い」
ハナは手に絡んだ精液を、徐々に力を失いつつある僕のペニスになすり付けようとしていた。とはいえ、もうぐちゃぐちゃになってるペニスはさらなる精液を引き受けることはできず、彼女は仕方なく、べっとりとした両手を僕のへその下あたりに擦り付けた。
「わっ。しかも服にたくさんついちゃってる。街に着て行ける服なんてこれくらいしか持っていないのに。これ、洗ったら落ちるの?」
「ごめん、ハナ。ゴメン……」
青いドレスにぶちまけられた白いシミを目にして、ひとしおに罪悪感が押し寄せた。女の子の恰好をして、女の子の手でいいようにされてしまったこと、そしてなにより、快楽に身を委ねてそれを自制できなかったことをひどく後悔した。貴族としてのプライドが余計、僕のことを惨めったらしくしていた。「男なら、女の前で涙を見せるもんじゃない」とあれだけ口酸っぱく教育されてきたのに、僕の目からは自然と涙が溢れていた。
「ちょっと、なにべそかいてるのよ」
「ごめんハナ。なんかもう、全てがダメな気がしてきて……。うん、もうダメなんだよ」
「アンタが男だってのがバレたことが?」
「っ……」
あらためて指摘されると返す言葉がなく、余計に真っ暗な気持ちになってしまう。
「別に言いつけたりはしないわよ。そもそも、アンタの評判を落とすようなことを言いふらしたところで、私には一文の得にもなりゃしないし」
ハナは指に付着した精液を弄くりながら、淡々とそう言いきった。倫理よりも損得勘定で思考する彼女の性格が、この時ばかりは僕にとっての救いだった。しかしこの後の突飛な提案が、困った事態を引き起こすことになるのだけれど……。
「でも、今回みたいに事故が起きることはあり得るわよね?そういうリスクは防いだ方が良いわ。私のためにも、アナタのためにも。だからね、私思いついたの」
彼女は僕のネグリジェでさっと手を拭くと、ベッドを抜け出し、クローゼットを開けて中をまさぐり始めた。ベッドに座って一息つくと、汗と精液の混じった嫌な匂いが鼻につき、僕は眉をひそめた。「あった」と言うと、彼女はまたベッド際に戻ってきた。手に重々しい、くろがねの板を携えて。
「ハナ、それは……?」
「知らないの?貞操帯よ」
「いや、そういうものだってことは知ってるけど……」
「父親から持たされたのよ。でもこんな古臭いもの、今どきつけてる人なんていないでしょ?田舎モノってのは妙に体裁だけ気にするんだから、ほんと呆れちゃうわよね」
彼女は鉄の塊をガシャンとベッドの上に置いた。何やらおぞましい威圧を感じ、僕は壁際に後ずさってしまう。
「いや、言いたいのはそういうことじゃなくて、どうしてハナがそれを引っ張り出したのかってことなんだけど……」
「ミーシェにしては、察しが悪いわね」彼女は邪悪な笑みを浮かべ、僕にその鉄塊を突き付けた。「本来は悪漢から純潔を守るためのものなんだけど……。アンタの見境の無いおチンチンはどこでどうなってしまうかわからないから、こういうので拘束したほうが安心でしょう?」
「え?僕が?」
「そうよ」
僕はその容赦ない物体を睥睨する。その表面では、鈍い黒色の金属光沢が威圧的に輝いていた。
「い、いや別にそこまでしなくてもいいんじゃないかなあ……?ほら、今日はこんな感じになっちゃったけど、入学してからこれまで二年ちょっと、隠し通せてきたわけだし、ハナも今日まで気づかなかったわけだし……ね?」
「ミーシェ?アンタ、口答えできる立場にあると思っているの?」
「ひぇっ!?」
冷ややかに僕を見下す灰色の目とは相反して、声には抑えきれない高揚感がにじみ出ていた。そして彼女はこれ見よがしに、僕の目鼻の先に鍵を突き付けた。
「それと、貞操帯の鍵は私が預かっておくから」
「えっ!?」
非人道的な宣告に、僕の顔は青ざめる。
「ああ、心配しなくても、一日中ずっとつけていなさいなんて言う気はさらさらないわ。授業を受けている間だけ、夜はちゃんと外してあげるから」
「そういう問題じゃなくて」
「もしかして、嫌なの?」
「当たり前だよ!」
「ふーん、嫌なのね。でもそうなると私、ミーシェのことがとっても心配だわ」彼女はクスクスと笑う。「もし私が何かにつまずいて転んで、アナタのスカートをずり下ろしてしまったら?もしアナタのスカートが扉の隙間とかにひっかかって、みんなの前にスカートの中をさらけ出すようなことになったら?その恥ずかしいおチンチンをみんなの前に晒すことになるけど、いいの?」
「ちょっと待ってよ、ハナ。君は『密告しない』ってさっき約束してくれたばっかりじゃないか!」
「ええ、もちろん密告なんてしないわよ。でも、事故は起こるかもしれないじゃない。あくまで、事故なんだから」
「ハナ……君は僕をどうしたいんだ?」
「さて、どうしたいのかしらね?」
煙に巻くような微笑を見せて、彼女は僕に顔を近づけた。
「どうするの?つけるの?つけないの?」
魔力を湛えた灰色の瞳に迫られて、首を横に振ることなどできるはずもなかった。
「はい……つけます」
「よく言えました♪」
僕の承諾を確認したハナは、ぐしょぐしょになった僕のペニスやお腹周りをタオルで拭いてくれた。ふんわりとした起毛に包み込まれる感覚は、ペニス弄られていた時とは違う、どこか心が落ち着くような気持良さがあった。股間周りの汚れをふき取った後、彼女の指示に従って僕は仰向けに倒れた。彼女は僕の腰を浮かせて、幼児におしめを履かせるかのように鉄板の下着をはめ込んだ。革ひもを腰回りに結び、下腹部の辺りに彼女が南京錠を落とした途端、僕の中の大事な何かにも錠が下ろされたような気がした。
「ていうか、これ、トイレとかどうするの?見た所、それ用の穴とか開いてないんだけどさ……」
「そりゃもちろん、そのときそのときで外すに決まってるじゃない」
「え?ということは、まさかトイレに行くたびにハナを呼ばなきゃいけないってコト……?」
「そうなるわね」
「そんなぁ……」
僕の体を虚脱感が襲った。いくら身から出た錆とはいえ、排泄という人間の尊厳を彼女に握られてしまうことになるなんて、あまりにも罰が重すぎる。生き恥もいいところだ。こんなことになるならばいっそのこと、全てが白日の下にさらされて、学院から追い出されてしまった方が良かったのではと思えてくる。
「ほら、なにぐったりしてるのよ。今日は出かける約束でしょう?ただでさえ遅れてるんだから、ほら、準備して」
「ははは、そうだね」
僕はもう、深く考えることは止めて、ネグリジェを脱いでお出かけ用のドレスに着替え、出かける準備を始めた。
「それと、今日の予定に一つ追加」
「なに?」
「今日は仕方ないからこのまま着ていくけれど、ドレスが汚した責任、取ってよね」
「……そうだね、途中で仕立て屋に寄ろうか。そうでないと、こんな格好をしているとはいえ、紳士の名が泣くからね」
「さすがミーシェ。男らしいわ」
そうさ、経緯がどうであろうとも、紳士たるものやったことの責任は取らなくちゃ。化粧鏡に映る、外出用に髪を束ねている僕の姿は、どこからどう見ても、町にありふれる今時の乙女そのものだけれども。
ハナは手に絡んだ精液を、徐々に力を失いつつある僕のペニスになすり付けようとしていた。とはいえ、もうぐちゃぐちゃになってるペニスはさらなる精液を引き受けることはできず、彼女は仕方なく、べっとりとした両手を僕のへその下あたりに擦り付けた。
「わっ。しかも服にたくさんついちゃってる。街に着て行ける服なんてこれくらいしか持っていないのに。これ、洗ったら落ちるの?」
「ごめん、ハナ。ゴメン……」
青いドレスにぶちまけられた白いシミを目にして、ひとしおに罪悪感が押し寄せた。女の子の恰好をして、女の子の手でいいようにされてしまったこと、そしてなにより、快楽に身を委ねてそれを自制できなかったことをひどく後悔した。貴族としてのプライドが余計、僕のことを惨めったらしくしていた。「男なら、女の前で涙を見せるもんじゃない」とあれだけ口酸っぱく教育されてきたのに、僕の目からは自然と涙が溢れていた。
「ちょっと、なにべそかいてるのよ」
「ごめんハナ。なんかもう、全てがダメな気がしてきて……。うん、もうダメなんだよ」
「アンタが男だってのがバレたことが?」
「っ……」
あらためて指摘されると返す言葉がなく、余計に真っ暗な気持ちになってしまう。
「別に言いつけたりはしないわよ。そもそも、アンタの評判を落とすようなことを言いふらしたところで、私には一文の得にもなりゃしないし」
ハナは指に付着した精液を弄くりながら、淡々とそう言いきった。倫理よりも損得勘定で思考する彼女の性格が、この時ばかりは僕にとっての救いだった。しかしこの後の突飛な提案が、困った事態を引き起こすことになるのだけれど……。
「でも、今回みたいに事故が起きることはあり得るわよね?そういうリスクは防いだ方が良いわ。私のためにも、アナタのためにも。だからね、私思いついたの」
彼女は僕のネグリジェでさっと手を拭くと、ベッドを抜け出し、クローゼットを開けて中をまさぐり始めた。ベッドに座って一息つくと、汗と精液の混じった嫌な匂いが鼻につき、僕は眉をひそめた。「あった」と言うと、彼女はまたベッド際に戻ってきた。手に重々しい、くろがねの板を携えて。
「ハナ、それは……?」
「知らないの?貞操帯よ」
「いや、そういうものだってことは知ってるけど……」
「父親から持たされたのよ。でもこんな古臭いもの、今どきつけてる人なんていないでしょ?田舎モノってのは妙に体裁だけ気にするんだから、ほんと呆れちゃうわよね」
彼女は鉄の塊をガシャンとベッドの上に置いた。何やらおぞましい威圧を感じ、僕は壁際に後ずさってしまう。
「いや、言いたいのはそういうことじゃなくて、どうしてハナがそれを引っ張り出したのかってことなんだけど……」
「ミーシェにしては、察しが悪いわね」彼女は邪悪な笑みを浮かべ、僕にその鉄塊を突き付けた。「本来は悪漢から純潔を守るためのものなんだけど……。アンタの見境の無いおチンチンはどこでどうなってしまうかわからないから、こういうので拘束したほうが安心でしょう?」
「え?僕が?」
「そうよ」
僕はその容赦ない物体を睥睨する。その表面では、鈍い黒色の金属光沢が威圧的に輝いていた。
「い、いや別にそこまでしなくてもいいんじゃないかなあ……?ほら、今日はこんな感じになっちゃったけど、入学してからこれまで二年ちょっと、隠し通せてきたわけだし、ハナも今日まで気づかなかったわけだし……ね?」
「ミーシェ?アンタ、口答えできる立場にあると思っているの?」
「ひぇっ!?」
冷ややかに僕を見下す灰色の目とは相反して、声には抑えきれない高揚感がにじみ出ていた。そして彼女はこれ見よがしに、僕の目鼻の先に鍵を突き付けた。
「それと、貞操帯の鍵は私が預かっておくから」
「えっ!?」
非人道的な宣告に、僕の顔は青ざめる。
「ああ、心配しなくても、一日中ずっとつけていなさいなんて言う気はさらさらないわ。授業を受けている間だけ、夜はちゃんと外してあげるから」
「そういう問題じゃなくて」
「もしかして、嫌なの?」
「当たり前だよ!」
「ふーん、嫌なのね。でもそうなると私、ミーシェのことがとっても心配だわ」彼女はクスクスと笑う。「もし私が何かにつまずいて転んで、アナタのスカートをずり下ろしてしまったら?もしアナタのスカートが扉の隙間とかにひっかかって、みんなの前にスカートの中をさらけ出すようなことになったら?その恥ずかしいおチンチンをみんなの前に晒すことになるけど、いいの?」
「ちょっと待ってよ、ハナ。君は『密告しない』ってさっき約束してくれたばっかりじゃないか!」
「ええ、もちろん密告なんてしないわよ。でも、事故は起こるかもしれないじゃない。あくまで、事故なんだから」
「ハナ……君は僕をどうしたいんだ?」
「さて、どうしたいのかしらね?」
煙に巻くような微笑を見せて、彼女は僕に顔を近づけた。
「どうするの?つけるの?つけないの?」
魔力を湛えた灰色の瞳に迫られて、首を横に振ることなどできるはずもなかった。
「はい……つけます」
「よく言えました♪」
僕の承諾を確認したハナは、ぐしょぐしょになった僕のペニスやお腹周りをタオルで拭いてくれた。ふんわりとした起毛に包み込まれる感覚は、ペニス弄られていた時とは違う、どこか心が落ち着くような気持良さがあった。股間周りの汚れをふき取った後、彼女の指示に従って僕は仰向けに倒れた。彼女は僕の腰を浮かせて、幼児におしめを履かせるかのように鉄板の下着をはめ込んだ。革ひもを腰回りに結び、下腹部の辺りに彼女が南京錠を落とした途端、僕の中の大事な何かにも錠が下ろされたような気がした。
「ていうか、これ、トイレとかどうするの?見た所、それ用の穴とか開いてないんだけどさ……」
「そりゃもちろん、そのときそのときで外すに決まってるじゃない」
「え?ということは、まさかトイレに行くたびにハナを呼ばなきゃいけないってコト……?」
「そうなるわね」
「そんなぁ……」
僕の体を虚脱感が襲った。いくら身から出た錆とはいえ、排泄という人間の尊厳を彼女に握られてしまうことになるなんて、あまりにも罰が重すぎる。生き恥もいいところだ。こんなことになるならばいっそのこと、全てが白日の下にさらされて、学院から追い出されてしまった方が良かったのではと思えてくる。
「ほら、なにぐったりしてるのよ。今日は出かける約束でしょう?ただでさえ遅れてるんだから、ほら、準備して」
「ははは、そうだね」
僕はもう、深く考えることは止めて、ネグリジェを脱いでお出かけ用のドレスに着替え、出かける準備を始めた。
「それと、今日の予定に一つ追加」
「なに?」
「今日は仕方ないからこのまま着ていくけれど、ドレスが汚した責任、取ってよね」
「……そうだね、途中で仕立て屋に寄ろうか。そうでないと、こんな格好をしているとはいえ、紳士の名が泣くからね」
「さすがミーシェ。男らしいわ」
そうさ、経緯がどうであろうとも、紳士たるものやったことの責任は取らなくちゃ。化粧鏡に映る、外出用に髪を束ねている僕の姿は、どこからどう見ても、町にありふれる今時の乙女そのものだけれども。
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