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放課後の秘儀

彼女はご主人様

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 言った。言い切った。同時に、頭がクラっとした。そんな僕の心持ちを知ってか知らずか、彼女は一段と楽しそうに(なんてことだ)、口でにゅっと弧を描いた。
「へぇ?おしっこしたいんだ?」
 今度は二度、僕の下腹部を突っついた。
「ちょっ……ひぃ!はや……や、やめぇ……お願いぃ、だからっ!」
 パンパンの膀胱が刺激されて、むずかゆい微弱な電撃が全身に走った。
(言ったのに!お望み通り言ってやったのに!どうしてそんなことをするんだ!!)
「そんなに我慢してたの?おしっこを?」
「あくぅ……やぅ……あぃ」
 彼女は赤ん坊の頬を突っつくくらいの無邪気さで、僕のお腹をクリクリっといじった。耐えきれず、先端から勢いよく露が先走ってしまう。
「……っ!」
「あれ?どうしたの?」
 バれた……。表情に出てしまったのか、あるいは身体が反応してしまったのか。僕は観念して、正直に彼女に許しを請う。
「ちょっと、漏れちゃったからぁ……お願いぃ……ひまふぅ……!」
「なっさけなぁい」首をもたげた彼女は僕のことを見下した。「じゃあ脱ぎなさい」
 僕はなりふり構わず長い深緑の制服のスカートをたくし上げた。レースがあしらわれたシュミーズが露わになり、襞がゆったりと風でなびいた。
 なんてはしたないことをしているんだ……。僕は片方の腕でスカートをつまみ、スルスルと太もものラインに沿って裾を引き上げていく。男の僕が、青と茜が溶け合う空の下、下級貴族の小娘の命令にへこへこと従い、あられもない痴態をその前に晒すといのは、ラムズフィールド家の一介としての矜持を泥のついた靴底で踏みにじられるような、耐えがたき屈辱であった。彼女は少し背伸びをして僕の後頭部に手を回し、まとめ上げていた髪を解いた。長い後ろ髪がストンと背後に落ち、彼女はそれを手ですく。
「ふぁ……」
 ゾクゾクっとした快感が背筋に走り、再びピュッと、おしっこが漏れ出てしまう。顔がジンジンと火照る。そうしているうちに、僕の腕はいつの間にかみぞおちの辺りまで上がり、薄い布の幕の下が露わになっていた。姿を現したのは、下腹部から股間を通って臀部までを覆う、のっぺりとした鉄の板であった。
 貞操帯――僕がハナに従属する証。
 性行為はおろか、排泄行為すら妨げる非人間的な構造をしたそれは、腰をぐるりと一周する丈夫な皮紐にヘソの下あたりで南京錠が下ろされ、繋がっている。それゆえ僕は用を足す度にこれを外さなければならないのだけれど――もうお分かりだろう――鍵はハナの手に握られている。歴史上、どんなに奴隷的な主従関係が結ばれていようとも、排泄の自由を奪うような主人はそうそういなかったはずだ。つまり僕は、乙女の純潔を守る器具によって、奴隷以下、囚人以下の身分に貶められているといっていい。
 彼女は膝をかがめて、南京錠を人差し指でちろちろと揺らした。
「ひ……んっ!」
 尿の排出をすんでのところで留めている亀頭の先を弄ばれたような切ない気持ちになり、僕はたまらず喘いでしまう。それを聞いたハナは、狡猾な猫のような瞳で僕の顔を見上げた。それはまるで、無防備な獲物を前にして、どうやって仕留めるか算段を立てているかのように。
「あー、ごめんなさい。鍵、部屋に忘れてきちゃったかも」
「えっ!?」
 頭に上った血が一気に引いた。それを見て楽しんでいるのか、ブロンドの彼女は鉄板の表面をすりすりと撫でながら、本気か嘘か分からない意地悪い笑みを僕に向けた。
「どうする?一緒に部屋まで取りに帰る?そうしたらちゃんとお便所でおしっこできるけど……。あ、でもその様子じゃ、寮まで持たないかしら」あくまで良い提案を思いついたかのような口調で彼女は続ける。「副会長さんが私と一緒に庭園をお散歩していたら、絶対注目を集めちゃうわよね?そんなみんなの視線が集まる中でおもらしなんかしちゃったら……どうなるのかしら?」
「いやっ!ぜ、絶対ムリっ……ぃ!」
「そうよねえ?じゃあ、ここでお漏らしちゃえば?」
「やだっ!嘘……。それも止めて、ホントにぃ……。お願いっ!」
「大丈夫。こんなところ誰も来ないわよ。私以外見ていないから」
 背伸びをした彼女が僕の耳元に語り掛けた。生暖かい吐息が耳に吹きかけられ、骨を抜かれたようなゾクリとした電流が走った。
「待って、ホントに、それはっ、そういうもんだぃじゃ、なぁっ!」
「このままお漏らしてしまいなさいミーシェ。いいえ、ミッチェルくん」
「ひぅっ!?」
 彼女が僕を本名で呼んだせいか、それともちょっぴり冷たい指が丹念に毛を剃った僕の内ももを撫でたせいか。これまでで最大の失禁の衝動に襲われて、すかさず僕は前のめりになって身体を縮こませた。
「ほらほら、我慢はおよしなさい?どうしようもないんだから」
「やらぁっ!」僕は抗議の声を上げる。「本当はもってるんでひょ?おねがぃだから……」
「残念だけど……」
 うずくまる僕を、彼女は天から見下ろしている。茜色に染まる陽が、彼女のブロンドの髪を透かして僕の方へと差し込む。逆光で影を落とすハナの微笑は、天使か悪魔か――僕の目には、祭壇画に描かれた救いの聖女の威光が宿って見えていた。
「おえがい!ほんとにぃ!」
 僕は請う。
「可愛い」
 彼女は乱れた僕の前髪を手櫛ですいた。必死に訴える僕を、彼女は赤子をあやすようによしよしと撫でる。ああ、おしめをつけた赤子だったならこんなにも苦しい思いをせずともいっそ楽に――
「ぅぅぅ……!ハナぁ!」
「もう、わかった、わかったから。そんな顔しないの」
 はたして僕はどんな顔をしていたのだろうか?今、鏡を目の前に置かれたら卒倒してしまう気がする。とはいえ、十分に楽しんだらしいハナは――やっぱり持っていた!――ポケットからこれ見よがしに鍵を取り出した。眼前にちらついた真鍮の鈍い輝きを見ただけで、僕は息が乱れ、もう嬉しさのあまり失禁してしまいそうになる。まるでご褒美を前にした愛玩犬のようだ。もう立ち上がる気力すらない僕は、犬として彼女に面従し、スカートをたくし上げ、下品にもM字に大きく足を開いて、彼女がいつでも解錠できるような姿勢をとった。
(早く!早く!!)
 彼女は自分のスカートを押さえながら僕の横にかがむと、鍵の通し輪に指を突っ込んで、くるくると回した。その回転すら何かのメタファーのようで、僕の尿意を駆り立てた。僕はクイクイっと彼女に腰を突き出して念入りにアピールをした。すると灰色の瞳が、僕の涙目に合図を送ってくれた。
(解放してくれる……!)
 ついに彼女はカギを差し込み、錠を外した。ガチャンと音を立てて貞操帯は芝生の上に勢いよく落ちた。少し濡れてふやけた僕のペニスが露わになるやいなや、溜まりに溜まった聖水は堰を切ったように勢いよく排水を始めた。
「あぁぁぁぁ……♡あっ、ぁぁっ♡」
 僕の鈴口から架けられた水のアーチはジョボジョボと音を立てながら、芝を濡らし、乾いた土をぬかるませていく。苦役から解放された安堵と、尿道に液体が流れる生理的な気持ちよさで、僕は無意識で嬌声を漏らしていた。
「ちょっと、どれだけ出すのよ?」
 ハナが横で嘲笑している。でも、止まらない。パンパンに膨れていた僕の膀胱は依然としてキュウキュウと音を立てながら排水を続けている。僕のペニスは弁の壊れた蛇口となって、ただただ無様に小水を垂れ流す。
「ほんと、どうしようもないおチンチンね」
「ひあうぅ!?」
 彼女の小さな手が僕の竿をキュッと握りしめた。尿道が締め付けられ、放水は強制的に停止される。
「ちょっとハナ……なに、するの……?」
「いや、別にぃ?いつまでもおしっこが止まらないようだから、代わりに私が止めてあげたのよ」
「そんなことぅ、しなくていいからっ……ん」
「本当にぃ?」
 探るように、彼女はその手を上下に動かした。尿道に滞留した尿が押し出されて、小さな白い手を汚した。手の甲を滴る淡黄のしずくが妙に背徳的で、僕の肉欲を性的に、じんわりと煽り立てる。
「は……んっ」
「なに?なんか変な声がでたけどどうしたの?」
「や、やめっ……て」
「ほらほら」
「あぅ……っ!」
 彼女は握りしめたままもう一度竿をしごく。尿がせき止められて苦しいのに、鈍い快感を、射精とは違う種類の未知の快楽を、僕は下腹部に感じていた。捕捉されている肉の棒は、彼女の非力な握力に抗って、膨張を始める。
「あれぇ、どうしたの?なんか硬くなってきたんだけど」
「それは、ハナがっ、そんなことするからぁ……」
「おしっこも勃起も止められて苦しいはずなのに、興奮してるんだ?」もう片方の腕を背中に回して、僕の髪の毛を弄りながら耳をこしょこしょと愛撫する。「ほんと、副会長さんはとんだヘンタイね」
「ち、ちがうっ……ちがっ!」
 彼女はご機嫌な様子で、今度は大きいストロークで竿をしごいた。今度ははっきりとした快感の波が竿を登ってくる。
「あっ♡お願いぃ、離し……てっ!」
「生徒会長からの信頼が厚くて、下級生からも大人気のミーシェ様の正体が、おチンチンの生えたヘンタイさんで?お外でルームメイトの女の子におチンチンをいいようにされて気持ちよくなっちゃってるの?こんなこと知ったら、みんな失望しちゃうだろうなあ。もう学院には居られないわよ」
「やらぁ……!やめてぇ!」
 ハナは更に手に力をこめて僕のペニスを上下する。一コキごとにそれは威勢を増していき、ついに勃起は、最高潮に達した。
「うわぁ、カッチカチじゃない。はずかしー」僕の耳元でささやく。「ねえ、どうしたいの?」
 甘く熱い声に骨抜きにされ、僕は体をのけぞらせた。
「だ、出したい……ですっ」
 呼吸がままならない喉の奥から、なんとか声を絞り出す。
「何を?」
「お、お……おしっ、こを、です……っ!」
「へー、でいいんだ」彼女は右手に力をこめる。「それを、どこから?」
「お、お……」僕は嗚咽するかのような声で鳴く。「おチンチン、からっ、です……!」
「もっと正確に言って?どうなっちゃってるおチンチンから出したいの?」
 ハナはコックをひねるように、亀頭をグイと手で絞った。尿道の先に残っていたわずかな水が押し出され、雫となって彼女の手をさらに汚す。
「お、おっきくなっちゃったおちんっ、チンから、です」
 僕は声を絞り出す。
「もっとちゃんと言いなさい」
「おしっこガマンしてるのにぃ、ハナにっ、シコ……シコされて、ぼっ、きしちゃった、おちんちんからっ、です!!」
「よく言えました♡」
 正直に告白した僕の耳元でハナは囁くと、唇で耳をはみ、肉棒を握る手を緩めた。
「ふぃ!んぅっ、ぅぅぅぅ!ぁあぁぁ!っっぁぁん、ぁああぁぁ、ぅっつっ!!!!!」
 カチカチに勃起したペニスから尿の噴水が巻き起こった。無色透明のそれは飛沫を上げて芝生を濡らしていった。
「うわぁ、すっごい♡こんなことになっちゃうのね」
 小バカにするような声色で彼女は肉の噴射口をしごき続ける。土砂降りがごとく水を噴き出しているにも関わらず、勢いも、肉軸の硬さも一向に衰える気配は無かった。
「や、やめっ、ハナ!……やっ!?」
「いつまで続くのかしら♪ほら、出せ!出しきっちゃえ!」
「ひゃうっ!?」
 彼女はペニスをこするスピードを上げた。上下運動に押されたそれは直立したままグワングワンと波打ち、彼女の手をビショビショに濡らしている。
「やっめ、変なの……ちが、うの♡きてるからぁ!!」
「何が来るのかな?教えてよ、ミッチェル」
 その動きは勝手にあふれ出てくる尿の排出ではなく、尿道を通じて排出されるもう一つの分泌液の排出を促していた。
「だ、だめ!くるぅ!で、でちゃう!」
 ハナの腕が僕の体を抱き寄せる。尿道を液体が通り抜ける快感が、次第に性感へと移り変わっていく。ちょっと痛いぐらいの、痺れるような感じ。次第に水流は弱まり、ついに尿の排泄が終わった。ちょろちょろ温かい水が、ハナの手によって扱き出される。そしてその一コキごとに、肉茎にピリピリと快楽電流が走り、その根っこについた二つの玉はジンジンとうずく。トロっとしたエネルギーが下腹部でうごめき、自制できないほどの暴走状態になっていた。
「ハナッ!あぁいぅぅ!で、でりゅぅ♡あんぃ、だめぇ!」
「イきなさい。女の子におチンチンを好き放題されながら、お外で情けなくイっちゃいなさい♪」
「やだ、やだぁ!や、や、いや、やめっ、あっ、くぅぅ!!」
 ハナの言葉と手に介助されながら、だらしなく股を大きく広げてしゃがんだまま――僕は放精した。
「あっ、あっああっ!!んんっ!ゃっぃぃ、あっぁぅぅ、くぁぁんぁっぁぁぁぅっっっ♡♡」
 睾丸と肛門がキュッと収縮し、膠着した快感がドクドクとペニスを駆けのぼった。尿の勝るとも劣らない勢いで、水っぽい精液の雨を大地へ降り注ぐ。お腹の奥が鈍く振動するたびに、快楽の琴線はビンビンと震え、痺れる。おしっこを排泄する気持ちよさが後を引いているのか、精液を押し出す度に、何とも言えない安心感というか、心地よい虚脱感が身に押し寄せる。ああ、癖になってしまいそう。僕はぽーっとした意識の中、恥ずかしい恰好のまま、徐々に力を失っていくペニスからドロドロと快感の種を垂れ流していた。
 全てを吐き出し終えると、僕はそのまま、ハナの小作りな胸元へと力なくもたれ掛かった。彼女は僕を押しのけるでもなく、かといって受け止めるでもなく、僕らは重みに身を任せるまま芝生へと倒れていった。草の青い匂いと同時に、彼女の天日のような匂いが鼻をくすぐった。すべてを放出してしおれた僕の分身を、彼女は名残惜しそうに、尿道に残った最後の一滴までも扱き出すかのようにいじくりまわしていた。朝露のように鈴口ににじみ出た僕の最後の精液は、ぽたりと、細く柔らかな陰毛の上へと落ちていった。
「本当は射精したかっただけなんじゃないの?」
 身を起こした彼女が、灰色の目で僕を見下ろす。
「はぁっ、はっ、いや、そんなっ……こと、ないっ……から」
 僕は息が切れ切れで答える。いまこんな状況でそれを否定したってなんら説得力がないことぐらい分かっている。分かっているけれど、それを否定せずにはいられなかった。なんだか恥ずかしくて、情けなくて、でも、気持ち良くて。
「うえぇ、ビショビショだしベタベタ。ほんと、このベタベタはいつまで経っても慣れないわ」
 ハナは手に飛んだ精液と尿を、僕の着ている絹のシュミーズで拭った。
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