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【外伝】貴方にとっては誤算でも俺たちにとっては正に僥倖
femtiosju
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クシュダートを無事卒業した俺たちはカフェCarm二号店Condidoを開店させた。意味は隠れ家。会員制のブックカフェだ。場所は深沢家私有地の森。首都栢杠で唯一緑が生い茂る一帯。
大木を利用して、カフェはツリーハウスになっている。
「わ、わぁ。」
ぽかんと梨李が、口を開けたままツリーハウスを見上げた。かなり大きいから驚いたらしい。まぁ普通ツリーハウスと言えば、こじんまりしているものだしな。
俺たちはまず、外観を損ねないよう土台となる大木の耐震性を上げた補強工事をした。そこに構想していたツリーハウスを据える。全面ガラス張り。もちろん、しっかり防弾性。いざという時の避難経路として、分かりづらいが隣の大木までワイヤーが張られている。まぁ、この高さなら。梨李くらい抱えて余裕で飛び降りれるけどな。
「どうだ?」
「気に入りましたか?」
「中見てみる?」
「うん!気に入った!中見る!」
わくわくする!と笑顔で答える梨李を抱き上げ、階段を登る。ツリーハウスは大きな枝ごとに段違いの二階層で建てた。一階がカフェ、二階が俺たち四人の巣になる。
卒業した後、俺たちはすぐゲレンク-パラの準備を進めた。特例の一妻多夫。通常よりも手続きが多い。加えて梨李は十三年前から行方不明者扱いだったため、行政的な手続きが必要だった。まぁそこらへんは彪束家の鶴の一声で大分楽になったけど、それでも煩雑な事務手続きには辟易した。
ようやっと終わった頃、俺たちの誕生日が来て梨李にお祝いしてもらった。その場でプロポーズして、準備していたゲレンク-パラを済ませた。これで俺たちはパートナーとして認められた。
そうして、巣へ俺たちのパートナーを連れてきたのだ。
「すごい!かわいい!」
梨李がはしゃいで店内を歩き回る。壁一面の本。飴色のカウンター。コーヒーの匂い。飾られたカップやソーサー。マグ。適度に間隔が開けられたソファ席がフロアに点在している。
会員制にしたのは、質が悪い客を避けたいからだった。俺たちはただでさえ目立つ。三人いつも一緒にいると、あまり素行が良いとは言えない奴らが擦り寄ってくることが多い。くさってた時期は適当に相手していたが、今となっては煩わしいだけなのでこちらが選ぶ側の店にした。カフェをするのは決めていたが、会員制に踏み切ったのは今回の騒動で痛感したからだ。俺たちだけじゃない。梨李の容姿は人目を惹く。三人で護るのは当たり前だが、余計な虫は近づけたくない。
「りぃ、上も見てみるか?」
「うん!」
「二階は僕たちの巣です。」
「ぼくの部屋もあるの?」
「もちろん。でもいつも一緒だから、必要ないかもね。」
「?」
俺たちが梨李から離れるわけないだろう?ずっと一緒にいる。そうだな、最低でも三人のうち一人は必ず。だったら部屋なんて、あんまり使わないんじゃないか?
きょとんとした梨李を擁が抱き上げた。まろい頬を遵が撫でる。ふにゃんと笑った梨李を見て、これから毎日片時も離れずそばに、いられるのかと思うと堪らなく幸せに感じた。
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