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【外伝】貴方にとっては誤算でも俺たちにとっては正に僥倖
femtiofem
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世界中に配信されたフォーラムの様子と併せて、ツェアシュテールの一斉捜査でゲヘリングたちが行ってきた非人道的な違法実験の詳細が明かされた。
人々は混乱し、一時は蜂の巣をつついたような騒ぎだったけれど、それも次第に落ち着いていった。捕まった医師たちは、それぞれの居住する国で尋問、調査を受け罪に見合った処罰が下される。
『カルロッソ・アルツベルンだけどね。虫の息だっただろう?』
『あー?殺さなかっただけ褒めてもらいたいくらいだわ。』
『別に殺しても良かったんだが。』
『なに物騒なこと言ってやがる。』
『君は以外と常識人だよね。』
『おいこら、てめー。言いたいことは山ほどあるが、まずその君ってやめろ。気持ち悪ぃ。』
『じゃあ深沢。カルロッソ・アルツベルンの刑が確定した。収監され、死ぬまで生体実験の被験者となる。具体的には色んな違法薬物を投与され、データになるんだ。後世へ少しでも役立ってもらうためにね。』
『えげつねぇな。』
『進言したのは私ではないよ?どこかの国の大物だ。なんと一説にはミスク-コンサーンの経営責任者ではないかと囁かれている。』
脳裏に浮かぶ、銀髪と若葉色の瞳。従兄弟夫妻を殺され、又従姉妹を拉致されたと静かな怒りを燃やしていた彪束家リーダー。
『ところで深沢。三つ子の能力についてだが。』
あの時、インカムは繋がったままだった。だから狗狼も篤臣もフィンレーもジュードも。あの場にいた三つ子たちの保護者全員が聞いていた。明かされた能力。共感を上回る共有。もし世間に知られたら。とんでもない騒ぎになる。
『なんだ。』
『いや。何でもないよ。ああ、それとこれを機に、ネアリチュアの規模を縮小しようと思ってね。』
『そうなのか?』
『ああ。今回のことでゲヘリングは一掃されたし、いい見せしめにもなったことだろう。彼らの狂信的な行いは人々から忌避された。蓄積されていた資料やデータも全て回収してあるから今後悪用されることもない。中途半端に知り、知識欲が刺激され、倫理観が欠如したものたちはいなくなった。だからと言ってネアリチュアを無くすと言うわけにはいかない。今後能力保有者が現れ、保護や支援が必要な時は対応出来る程度に残しておかないとね。』
『そうか。』
『と言うわけで、三つ子の検診は異常がない限り今後必要ないと思うんだが。』
『……。』
だから、こういうところが、むかつくんだよ。
ネアリチュアにすら、共有のことは知らせないつもりなのだ。三つ子のケースは特殊すぎる。それこそ調査官たちの知識欲は大いに刺激されるだろうがモデルケースにはなり得ない。
『あいつらには伝えとく。』
『ああ。あ、それとは関係なく、いつでもリージョンまで遊びに来てくれ。歓迎するよ。』
『……考えとくわ。あんがとよ。』
父親として、ここは礼の一つでも。
『どうしたんだい?槍が降るかと思ったよ。』
『てめぇ、やっぱり、むかつくな。』
ははは!と笑いながら回線が切れる。苦笑しながらタブレットを閉じた。
人々は混乱し、一時は蜂の巣をつついたような騒ぎだったけれど、それも次第に落ち着いていった。捕まった医師たちは、それぞれの居住する国で尋問、調査を受け罪に見合った処罰が下される。
『カルロッソ・アルツベルンだけどね。虫の息だっただろう?』
『あー?殺さなかっただけ褒めてもらいたいくらいだわ。』
『別に殺しても良かったんだが。』
『なに物騒なこと言ってやがる。』
『君は以外と常識人だよね。』
『おいこら、てめー。言いたいことは山ほどあるが、まずその君ってやめろ。気持ち悪ぃ。』
『じゃあ深沢。カルロッソ・アルツベルンの刑が確定した。収監され、死ぬまで生体実験の被験者となる。具体的には色んな違法薬物を投与され、データになるんだ。後世へ少しでも役立ってもらうためにね。』
『えげつねぇな。』
『進言したのは私ではないよ?どこかの国の大物だ。なんと一説にはミスク-コンサーンの経営責任者ではないかと囁かれている。』
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『なんだ。』
『いや。何でもないよ。ああ、それとこれを機に、ネアリチュアの規模を縮小しようと思ってね。』
『そうなのか?』
『ああ。今回のことでゲヘリングは一掃されたし、いい見せしめにもなったことだろう。彼らの狂信的な行いは人々から忌避された。蓄積されていた資料やデータも全て回収してあるから今後悪用されることもない。中途半端に知り、知識欲が刺激され、倫理観が欠如したものたちはいなくなった。だからと言ってネアリチュアを無くすと言うわけにはいかない。今後能力保有者が現れ、保護や支援が必要な時は対応出来る程度に残しておかないとね。』
『そうか。』
『と言うわけで、三つ子の検診は異常がない限り今後必要ないと思うんだが。』
『……。』
だから、こういうところが、むかつくんだよ。
ネアリチュアにすら、共有のことは知らせないつもりなのだ。三つ子のケースは特殊すぎる。それこそ調査官たちの知識欲は大いに刺激されるだろうがモデルケースにはなり得ない。
『あいつらには伝えとく。』
『ああ。あ、それとは関係なく、いつでもリージョンまで遊びに来てくれ。歓迎するよ。』
『……考えとくわ。あんがとよ。』
父親として、ここは礼の一つでも。
『どうしたんだい?槍が降るかと思ったよ。』
『てめぇ、やっぱり、むかつくな。』
ははは!と笑いながら回線が切れる。苦笑しながらタブレットを閉じた。
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