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【外伝】貴方にとっては誤算でも俺たちにとっては正に僥倖
femtiotvå
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まったく、なんなんだ。
会場外へ連れ出すと言われ、屈強な男たちに両腕を掴まれた。然程力は入ってなさそうなのに、びくともしない。他の二人も同様に連れ出されて行く。
まぁいい。能力保有者の番だと思われるリリオラを捕まえれば。誘き出すことは容易だ。問題は匿われているのなら、そのリリオラさえ見つけ出すのは難しい。だが私は養父だ。義理とは言え父親。行方不明だと訴え、捜査機関を動かせばいい。
もし淼矢家と既に連絡を取っていたら。面倒だな。その時はどうするか。
考え込みながら歩いていたら、一室に通された。簡素な木の椅子が一脚だけ。ぽつんと中央に置いてあり、腕を掴んでいた男たちが何も言わず出ていく。
なんだ?もしかして、私だけ会えるのか?
よく分からないが、そう言うことだろう。でなければ一人だけ連れてこられた意味が分からない。キョロキョロと部屋を見渡すが扉が一枚あるだけで何もなかった。待つなら座っているかと扉に向けて置き直す。そのまま座って扉を見据えた。
どれくらい経っただろう。段々と焦燥感が募り、イライラしてきた。いつまで待たせるんだ。
立ち上がり一歩踏み出した時、扉が音もなく開いた。灰色の髪、漆黒の瞳。ゆったりとした足取りで入ってきた青年。いや、まだ学生か?大人びた雰囲気ではあるが、十代後半に見える。野生みが溢れる整った顔立ち。引き締まった、しなやかな体躯。同じ顔が三人。まさか。
『まさか。三人?共感の能力保有者が?三つ子なのか?』
『……少し違うな。』
『共感ではありません。』
『もっと上。上位互換かな。』
『は……?』
意味が分からない。"失われた能力"は発火と共感。この二つしか確認されていない。しかも共感の上位互換?
『俺たちはそれを共有と呼んでいる。』
『視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。五感全てを三人で共有することが出来るんです。』
『つまり、他の二人が感じたもの全て自分も同時に感じとれる。そう言う能力だよ。』
三人が告げた内容を反芻する。理解した途端、今まで感じたことない感情のうねりを感じた。
『素晴らしい!なんて素晴らしいんだ!今まで確認された共感の能力保有者とは比べ物にならない!大発見だ!』
もっと近くで話したい。
そう思って駆け寄った私は、次の瞬間吹き飛んだ。
会場外へ連れ出すと言われ、屈強な男たちに両腕を掴まれた。然程力は入ってなさそうなのに、びくともしない。他の二人も同様に連れ出されて行く。
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もし淼矢家と既に連絡を取っていたら。面倒だな。その時はどうするか。
考え込みながら歩いていたら、一室に通された。簡素な木の椅子が一脚だけ。ぽつんと中央に置いてあり、腕を掴んでいた男たちが何も言わず出ていく。
なんだ?もしかして、私だけ会えるのか?
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どれくらい経っただろう。段々と焦燥感が募り、イライラしてきた。いつまで待たせるんだ。
立ち上がり一歩踏み出した時、扉が音もなく開いた。灰色の髪、漆黒の瞳。ゆったりとした足取りで入ってきた青年。いや、まだ学生か?大人びた雰囲気ではあるが、十代後半に見える。野生みが溢れる整った顔立ち。引き締まった、しなやかな体躯。同じ顔が三人。まさか。
『まさか。三人?共感の能力保有者が?三つ子なのか?』
『……少し違うな。』
『共感ではありません。』
『もっと上。上位互換かな。』
『は……?』
意味が分からない。"失われた能力"は発火と共感。この二つしか確認されていない。しかも共感の上位互換?
『俺たちはそれを共有と呼んでいる。』
『視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。五感全てを三人で共有することが出来るんです。』
『つまり、他の二人が感じたもの全て自分も同時に感じとれる。そう言う能力だよ。』
三人が告げた内容を反芻する。理解した途端、今まで感じたことない感情のうねりを感じた。
『素晴らしい!なんて素晴らしいんだ!今まで確認された共感の能力保有者とは比べ物にならない!大発見だ!』
もっと近くで話したい。
そう思って駆け寄った私は、次の瞬間吹き飛んだ。
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