【完結】R-18 逃がさないから覚悟して

遥瀬 ひな

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【外伝】貴方にとっては誤算でも俺たちにとっては正に僥倖

fyrtioåtta

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 エアレーゲンが思ったような結果を出せず、ゲヘリングたちからの問い合わせが増え対応に追われていた頃。カルロッソはリリオラの直属の上司に当たる男に、急ぎリリオラを戻すよう指示した。しかし既にマンションはも抜けの殻だった。

 わざわざ監視など付けていなかった。薬が必要なリリオラは自分から定期的に連絡してくるからだ。どこに行ったのか。考えられるのは生家淼矢家だった。他に繋がりはない。

 しかし調べても、いなかった。祖父母すら所在が分からない。一体どこに消えたと焦燥に駆られたところで、このニュースが飛び込んできた。もはやエアレーゲンなど、どうでも良い。些事だ。それより何としてでもフォーラムに参加しなければ。これだけ大々的にネアリチュアが公表したのだから、まず間違いなく能力保有者は存在する。ならば欲しい。ずっと探し求めていたのだ。その為に今まで論文を書いては発表し、世界各国を講演会と称して周り、能力保有者を探し続けてきた。その過程で見つけたリリオラは興味深い実験が出来ただけ。

 私こそ、能力保有者を手に入れ"失われた能力"を解き明かす手腕を持っている。

 難なく申請は通り、フォーラムに参加することが決まった。早めに会場入りして一番近くで能力保有者を見ようと思っていたのに。

 ゼファネとビルケに捕まった。エアレーゲンについて、聞きたいと言われては無碍にも出来ない。今はそんなこと、どうでも良いだろうと怒鳴りつけたかったが自分が作った薬だ。しかも治験データを取る為、ゼファネには協力して貰った負い目もある。徒労に終わったと責められるのは苛立ちもするが、当然の言い分だと聞く姿勢を取った。

 殊勝なふりをして、耳を傾けていると驚くべきことを聞かされた。番?リリオラが?能力保有者の?

 なんでもビルケは以前、恩師から能力保有者の番は相手にいち早く存在を認識させる為、フェロモンを過剰に放出するという話を聞いたことがあったらしい。サンプルを無くしたゼファネに挨拶程度の労いで連絡したところ、エアレーゲンの元となったリリオラの症状を伝え聞き、もしかしてと思ったそうだ。

『もし、能力保有者の番なら。そのリリオラとか言う女がいれば誘き出せる。』

 リリオラが番ではと考えられるもう一つの根拠は急に効果を失ったエアレーゲンにあった。もともと能力保有者の番は相手にその存在を認知させる為、フェロモンを過剰に放出する。つまり出会ってしまえばフェロモン酵素は分解され、放出もされなくなると言うのだ。と言うことは、リリオラが能力保有者と接触した可能性がある。

 ますますリリオラが必要になった。ならば三人でまずはリリオラの行方を探ろう。既に能力保有者と出逢い、お互いが番だと認識したなら匿われてる可能性が高い。リリオラを見つければ、能力保有者も見つけられる。リリオラを抑えれば、能力保有者を手に入れられる。三人で頷き合うと、遅れて会場入りした。

 そうして見渡したステージには、二人の能力保有者がいた。照明がないステージ奥に座っている為、顔は見えない。しかし鍛えられた体躯と若々しさから若年層ではないかと思われた。若いなら、実験に費やせる期間もそれだけ長期になる。

 胸を躍らせ、質疑応答に参加すべく挙手をした。このフォーラムでなんとしても接触したい。出来れば望んでこちらにきて欲しいが難しいようならリリオラを使おう。

 抑えきれない笑いで頬を緩め、カルロッソは立ち上がった。
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