【完結】R-18 逃がさないから覚悟して

遥瀬 ひな

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【外伝】貴方にとっては誤算でも俺たちにとっては正に僥倖

fyrtiosex

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 フォーラムの会場を見渡し、俺たちは改めてグウェイン家の凄さを実感した。どこを用意するのかと思ったら、なんとハオプトにある尖塔だった。

 古城や石畳、昔からの街並みが残る界隈。その一角には歴史的にも価値がある教会の尖塔がある。今ではもちろん、使われることはなく観光客ですら立ち入りは出来ない。貴重な歴史的遺産とも言える建造物だ。そこの尖塔を丸々一つ、フォーラムの会場として用意していた。

『裁きの鉄槌を下すには、ぴったりだろう?連中はこう言った宗教的なものに対しては懐疑的だから。会場をここにした。きっと不快感を隠しもしないだろうさ。』

 楽しそうに笑うフィンレーを見て、いい性格してるなぁと思った。とことん神経を逆撫でして心理的に揺さぶりを掛けるつもりらしい。こう言った小さくも多様な駆け引きが積み重なって功を奏するのだ。何より彼は犯罪殲滅組織ツェアシュテールのトップ。今まで奴らみたいな犯罪者を追い詰め根絶やしにして培ってきたノウハウがあるだろう。適材適所。任せられるところは任せることにした。

『どれくらい、集まったんだ?』
『二十を少し切ったかな。』
『案外少ねぇんだな。』
『"失われた能力"と言われるくらいだからね。実際に能力保有者を知るものは少ないんだよ。そもそも見つかりにくいから。そうなると若い世代では都市伝説扱いだ。面白がってるだけとも言えるかな。固執してるのは、はっきり言って老害だよ。』
『その道の権威って奴らに集中してるってわけだ。』
『そう言うこと。そう言った奴らを一掃する。医療界も風通しが良くなって新陳代謝も促される。良い事づくめじゃないかな。』

 感謝して欲しいくらいだね、とフィンレーが肩を竦めた。父さんと篤臣、三人の話に耳を傾けながら俺たちはどう動くかシュミレーションしていた。開催は二日後。奴らをここに誘き寄せた瞬間、ゲヘリングたちの自宅や別荘、研究室などにアゲンツが突入し今までの犯罪行為を裏付ける証拠を押収する手筈になっている。まぁ都合よく全て見つけられるとは限らない。

 だから、ダメ押しで証拠を作る。

 俺たちの存在は公表されたが、当然ながら顔もプロフィールも非公開だ。徹底して表には出ない。のこのこ集まったゲヘリングたちはネアリチュア越しにしか質疑応答出来ない状況に我慢ならないはず。

 思い通りにならない状況。少しずつ蓄積された不満。向かう矛先は俺たち。

 さぁ、ショーの始まりだ。
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