【完結】R-18 逃がさないから覚悟して

遥瀬 ひな

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【外伝】貴方にとっては誤算でも俺たちにとっては正に僥倖

fyrtiotre

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『これ、考えたのは篤臣かい?』
『いや、三つ子たちだよ。』
『全く。なかなかどうして。奴らの自尊心を傷つけるのが上手い。』
『だよな。完全に煽ってるよ。まぁ絶妙な塩梅だとは思うから、そのまま使ったけど。』
『この、記者のワンダ・デイセンって?実在するのかい?』
『まさか。文を考えてる時に目についた作家の名前を適当にもじったらしい。』
『それらしいから、いるのかと思ったよ。』

 くすくすと楽しそうにフィンレーが笑う。篤臣もつられて苦笑した。

『これじゃあゲヘリング以外も来そうだ。』
『来ても篩に掛ければいい。誰がゲヘリングか当然把握してるんだろう?』
『それはまぁ、もちろん。』
『なのに被害が明るみに出にくいのは、やはり能力保有者本人が周囲に隠しているケースが多いから?』
『そうだね。だから行方不明になってもゲヘリングに結びつけて考えられることはない。結果捜査機関からは単なる行方不明として扱われる。ちなみに確認できた最後の拉致は淼矢 梨李、十三年前。そのさらに二年前に男性が一人、拉致されている。能力は発火。しかしゲヘリングに拉致されたと分かったのは先月。残念ながら既に死亡していた。』
『そうか。』

 なんとも気分の悪い話だった。恐らく淼矢夫妻の事故原因は、その能力保有者の発火だろう。不自然な点が多く、最後まで何故車両が燃えたのか原因は分からなかった。

『ゲヘリングの選別も、会場の提供も、奴らを全員一生日の当たらない所に送るのも。全部ツェアシュテールが請け負うが。三つ子の希望は?』
『決まってる。カルロッソ・アルツベルンの身柄だよ。』
『……唯一の番しか持たないと言われる狼。その三つ子の番を害したとなれば。無事では済まないだろうね。』
『比喩的な意味で殺すと息巻いてるんだろうが。まぁ気持ちは分かるから、行き過ぎた所で止める気はないよ。』

 かつてウルを拐われた篤臣はシュウ・リーウェンと対峙した時、リミッターが外れグリュンダーまで引き起こした。だからこそ、三つ子の怒りが我が事のように分かるのだろう。

『ところで。彼らの能力だが。どうだい?私はまだ底知れぬと思うんだが。』
『同感だ。深沢も勘付いてる。三つ子は俺たちが把握している以上の能力をまだ隠してる。』
『全く。末恐ろしいよ。』

 苦笑したフィンレーは、スコッチの入ったカットグラスを掲げると回線を切った。

「祝杯か。」

 尚早だとは思わない。三つ子は必ずゲヘリングを潰す。番のために。自分たちのために。彼らが失敗する未来など、少しも想像出来なかった。
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