【完結】R-18 逃がさないから覚悟して

遥瀬 ひな

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【外伝】貴方にとっては誤算でも俺たちにとっては正に僥倖

trettiosex

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「番?」
「そう。」

 ようやく落ち着いてきた、ぼくに、おばあちゃんが困ったように笑いながら告げた。十三年前。正確には6歳の頃から始まった、ぼくに起こったこと。てことは、ぼくの番は共感の能力保有者なの?

「……そっか。」

 だから、急にフェロモンが。え?でも待って。そんなの聞いたことない。番が産まれたから見つけて欲しくて?ぼくからフェロモンが?

「でも、聞いたことないよ。そんなの。」
「そうね。おばあちゃんも初めて聞いたわ。説明されても、よく分からなかったし。どうやら梨李ちゃんの番さんたちは、ちょっと特殊な方々みたいね。」
「……なんで複数形?」
「……それがね、三人いるのよ。」
「さ、んにん。」

 いやいやいや。そんな。まさか。お徳用パックじゃあるまいし。

「でね、番さんたちが、どうしても梨李ちゃんに逢いたいんですって。」

 確かにもう、大分元気になった。身体も完全に女性体へ戻ったし。今はフェロモン抑制剤もあるとかで、周囲が家族以外でも問題なく暮らせるようになったって聞いた。

 それでも相変わらず彪束家にいるけど。

「番、たち。」
「そう。」
「おばあちゃんは?会った?」
「ええ。」

 ぽうっと、おばあちゃんが乙女な顔をする。

「もちろん、おじいちゃんが一番だけど。眼福って言うの?三人ともすごい美丈夫よ。」
「び、じょうぶ。」

 今で言うイケメンてこと?

 そこで、ぼんっと脳裏にあの三つ子が浮かんだ。いや。ないないない。6歳も歳下だし。何より嫌われてる。虫けら見るみたいな瞳だった。

 自分で否定しながらも、胸が軋む。

「ん。会ってみるよ。」
「そう?じゃ、明日!明日来てもらいましょう!」
「あ、明日?急すぎない?」
「番さんたち、首を長くして待ってたのよ?!」
「そうなんだ。」

 逢ったらどう思うだろ。桃色の髪とか、嫌じゃないかな。

 薬の副作用で、髪の色は戻らないらしい。せめて昔みたいに薄い金髪だったらな、と唇を噛んだ。



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