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【外伝】貴方にとっては誤算でも俺たちにとっては正に僥倖
tjugosex
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ネアリチュアにフェロモン過多症について意見を求めた篤臣の元へ、フィンレーから連絡が入った。マンションのリビングで通知音に気付いた篤臣はタブレットの画面をタップする。程なくして画面に執務室から回線を繋いだフィンレーが映し出された。
『やぁ、篤臣。』
『フィンレー、どうしたんだ?』
『この前のフェロモン過多症について、ネアリチュアの調査官で一人、症例に心当たりがあると言うものがいてね。とても興味深い資料を預かったから、そちらに送ろうかと思って連絡した。』
『ありがとう、助かるよ。』
滞在中は何度もネアリチュアを訪れ、時間が許す限り手が空いている調査官を捕まえては訪ねて回った。全員に話が聞ける訳もないため、後はフィンレーとジュードに任せて帰国したのだ。
『先に読んでみたんだが。どうもフェロモン過多症と言うよりは、もっと違うもののようだ。』
『そうなのか?』
『ああ。それとゲヘリングの目的がやっと掴めたよ。』
ついでのように告げられたそれは、かなり重要度が高いはずだがと訝しんだ。続く言葉に目を剥く。
『エアレーゲン。初の合法発情促進剤。その薬事承認認可を取り付けるためには治験データが必要になる。その為にクシュダートやラ-ガレンの学生たちを被験者にしたようだね。』
『……どうやって。』
『ムタチオンのように静脈注射は必要ない。香水だよ、篤臣。奴らは学生たちに噴霧し、データを集めているんだ。』
『それじゃ自分たちも吸うだろ。』
『ちゃんと専用の抑制剤も開発していたようでね。事前に摂取して自分たちだけは正気という訳だ。』
なんて下衆なことを。それでは見境なく襲うものや襲われるものが出る。
『……被害は?』
『それがおかしなものでね、今のところ出ていないんだ。つまりまぁ、思ったようなデータは得られなかったようだね。』
『どういうことだ?』
『その原因が、暫定フェロモン過多症の資料に関わってくるんじゃないかと思っている。まぁ、一度読んでみてくれ。君ならすぐ、私と同じことを考えつくよ。』
『……分かった。』
回線が切れたと同時にメールの受信音が鳴る。暗号化されたそれを解析に掛け、表示した。読み進めていくうちに知らず唸った。
もし、この資料に書かれたことが淼矢 梨李に起きたのなら。
まずは三つ子のクシュダートにいる淼矢 梨李が本物なのか確かめなければ。
『やぁ、篤臣。』
『フィンレー、どうしたんだ?』
『この前のフェロモン過多症について、ネアリチュアの調査官で一人、症例に心当たりがあると言うものがいてね。とても興味深い資料を預かったから、そちらに送ろうかと思って連絡した。』
『ありがとう、助かるよ。』
滞在中は何度もネアリチュアを訪れ、時間が許す限り手が空いている調査官を捕まえては訪ねて回った。全員に話が聞ける訳もないため、後はフィンレーとジュードに任せて帰国したのだ。
『先に読んでみたんだが。どうもフェロモン過多症と言うよりは、もっと違うもののようだ。』
『そうなのか?』
『ああ。それとゲヘリングの目的がやっと掴めたよ。』
ついでのように告げられたそれは、かなり重要度が高いはずだがと訝しんだ。続く言葉に目を剥く。
『エアレーゲン。初の合法発情促進剤。その薬事承認認可を取り付けるためには治験データが必要になる。その為にクシュダートやラ-ガレンの学生たちを被験者にしたようだね。』
『……どうやって。』
『ムタチオンのように静脈注射は必要ない。香水だよ、篤臣。奴らは学生たちに噴霧し、データを集めているんだ。』
『それじゃ自分たちも吸うだろ。』
『ちゃんと専用の抑制剤も開発していたようでね。事前に摂取して自分たちだけは正気という訳だ。』
なんて下衆なことを。それでは見境なく襲うものや襲われるものが出る。
『……被害は?』
『それがおかしなものでね、今のところ出ていないんだ。つまりまぁ、思ったようなデータは得られなかったようだね。』
『どういうことだ?』
『その原因が、暫定フェロモン過多症の資料に関わってくるんじゃないかと思っている。まぁ、一度読んでみてくれ。君ならすぐ、私と同じことを考えつくよ。』
『……分かった。』
回線が切れたと同時にメールの受信音が鳴る。暗号化されたそれを解析に掛け、表示した。読み進めていくうちに知らず唸った。
もし、この資料に書かれたことが淼矢 梨李に起きたのなら。
まずは三つ子のクシュダートにいる淼矢 梨李が本物なのか確かめなければ。
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