【完結】R-18 逃がさないから覚悟して

遥瀬 ひな

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【外伝】貴方にとっては誤算でも俺たちにとっては正に僥倖

sexton

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 なんなんだろう、これ。

 一年生のグラスから始まったカウンセリングは、あまり順調とは言えなかった。指示された項目に沿って質問し、相手に答えてもらう。それ自体は別段難しくない。ただ、他に何か悩みはないか、困ったことはないか。そう言ったことをうまく聞き出せと言われている。特に思春期特有の性的な悩み。不当なハラスメントを受けたことはないか?逆に恋人との関係性で悩んでいないか?世間話程度に話を振る。しかし元々人とのコミュニケーションを率先して取るタイプではない為、危惧していた通り、カウンセリングは形だけで終わっていた。

 これ、やる意味あるの?

 よく分からない。それに自分はフェイだからかグラス相手の生徒から心理的隔たりを感じてしまう。別に仲良しこよし、しましょうねと言う気はない。だが、警戒されているのは単純に面白くない。

 別に獲って食ったりしないのに。

 反して、少数ではあるが最近フェイの生徒たちが保健室へ頻繁に顔を出すようになっていた。まだカウンセリングをしていないので、関わる機会はないと言うのに何故だか分からない。

 しかも生活能力の低いカウンセラーを見かねたのか、お弁当やらジュースやらを差し入れに持ってくる。中には散らかってしまった保健室の片付けまでしてくれるフェイまでいた。気味が悪い。

「淼矢さん、こんにちは。」

 顔を上げると、扉から顔を出して覗いているのは少し前から来るようになった二年生だった。本人曰く、生徒会の副会長をしているらしい。汚れた眼鏡の位置を確かめる。前髪もいつも通り目元を覆っていた。こんなに冴えない見た目をしていると言うのに、なんなんだろう。

 ブサ専とか?

 勿体無い、整った顔立ちをしているのに。進学校で副会長。しかも来月からは生徒会長に就任すると言う。所謂勝ち組だろうに、趣味が悪いとは。

 むずむずして首筋をペンで、かりかりと掻く。

「どうしましたか?」
「あの、実は間違って買ってしまって。良ければ一緒にどうかと。」

 そう言いながら保健室に入り、目の前にジュースを二本差し出す。

 なるほど。そう来たか。

「ありがとうございます。ですが、いつも貰ってばかりで。」
「気にしないで下さい。」

 気にするよ、一応こちとら職員扱いなんだから。いつもいつも生徒から貢ぎ物貰ってたら周りの印象悪くなるし。

 困ったなぁと俯いていると、がやがやと廊下が騒がしくなった。続いて扉が開く。

「淼矢さーん。怪我したから診てー。」
「ぼく、カウンセラーだから。治療出来ないよ。」
「保健室にいるじゃん。」
「それはここを与えられたってだけで。」
「えー。」
「養護教諭の先生いる方の保健室に行って。」
「冷たーい!」

 ブーブー騒ぐ生徒に困っていると、目の前に副会長が立ちはだかった。

「おい、困らせるな。」
「あぁ?関係ないだろ?」
「あるに決まってるだろ。」
「お前副会長だかなんだか知らねーけど調子こいてんなよ?」
「なんだと?」
「深沢の犬が!」
 グルグルと喉が鳴り出し威圧が膨れ上がる。

 なんなんだよもう!勘弁してよ!

 頭を抱えて俯く。威圧の張り合いは衆目を集め、駆けつけた教師に自分まで注意された。
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