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【外伝】貴方にとっては誤算でも俺たちにとっては正に僥倖
femton
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「会長。」
廊下で声をかけられ、振り向くと副会長を務める二年生が突っ立っていた。どことなくいつもと様子が違い、違和感を感じる。
「どうした?」
「あの、陳情書の件で報告が。」
「ああ、あれか。」
指示して二週間近く経っていた。来週で任期は切れ生徒会とは、おさらばだと言う時になって報告に来るとは。
そのまま押し付けようと思っていた目論見が外れ、濫は顎で、くいっと廊下の端を指した。副会長を連れて傍へと避ける。窓枠に凭れ、腕を組んだ。
「で?」
「ヒアリングしてみましたが、取り立てて何か問題が起きているようには見受けられませんでした。」
「そうか。匿名で上げてきたやつの見当はついてんのか?」
「それは……はい。本人たちが認めたので。ですが、彼らの言い分は不当と言うか。」
「不当?」
不穏な響きに眉を顰める。
「はい。カウンセラーの淼矢さんは、とても素敵な方です。人を困らせるなんて、そんなこと。するはずありません。」
頬を染め、力説する副会長に先程よりも強く違和感を感じた。なんだ?あのモサいカウンセラーに惚れたか?
「具体的には、どう困ってるって?」
「些細なことです。保健室が以前よりも散らかってるとか。フェイばかり贔屓にするとか。」
些細か?それ。百歩譲って散らかってるのはまぁ、置いておいて。フェイばかり贔屓にするってところはスルーできないだろ。
「フェイのクラスとはまだカウンセリングしてないんだろ?どうやって関わるんだ。」
「だからですよ、関わってないのに贔屓のしようもないじゃないですか。あれは言いがかりです。」
いまいち釈然としない。
「とにかく、困っていると言っても彼らが実害を受けたケースは認められませんでした。あくまで主観的な観点からの陳情書です。具体的な対処が必要な事案とは認められません。私が責任を持って今回の件は取り下げさせます。」
そこまで言うのなら、自分が口を出すこともないだろう。
「そうか、分かった。」
「では、会長。お時間頂き、ありがとうございました。」
深々と頭を下げ、踵を返す。向かう先は保健室がある本館だった。気のせいかと思いつつ、父親から関わるなと言われていたことを思い出し濫はそのまま忘れることにした。
廊下で声をかけられ、振り向くと副会長を務める二年生が突っ立っていた。どことなくいつもと様子が違い、違和感を感じる。
「どうした?」
「あの、陳情書の件で報告が。」
「ああ、あれか。」
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そのまま押し付けようと思っていた目論見が外れ、濫は顎で、くいっと廊下の端を指した。副会長を連れて傍へと避ける。窓枠に凭れ、腕を組んだ。
「で?」
「ヒアリングしてみましたが、取り立てて何か問題が起きているようには見受けられませんでした。」
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「それは……はい。本人たちが認めたので。ですが、彼らの言い分は不当と言うか。」
「不当?」
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「些細なことです。保健室が以前よりも散らかってるとか。フェイばかり贔屓にするとか。」
些細か?それ。百歩譲って散らかってるのはまぁ、置いておいて。フェイばかり贔屓にするってところはスルーできないだろ。
「フェイのクラスとはまだカウンセリングしてないんだろ?どうやって関わるんだ。」
「だからですよ、関わってないのに贔屓のしようもないじゃないですか。あれは言いがかりです。」
いまいち釈然としない。
「とにかく、困っていると言っても彼らが実害を受けたケースは認められませんでした。あくまで主観的な観点からの陳情書です。具体的な対処が必要な事案とは認められません。私が責任を持って今回の件は取り下げさせます。」
そこまで言うのなら、自分が口を出すこともないだろう。
「そうか、分かった。」
「では、会長。お時間頂き、ありがとうございました。」
深々と頭を下げ、踵を返す。向かう先は保健室がある本館だった。気のせいかと思いつつ、父親から関わるなと言われていたことを思い出し濫はそのまま忘れることにした。
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