【完結】R-18 逃がさないから覚悟して

遥瀬 ひな

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【外伝】貴方にとっては誤算でも俺たちにとっては正に僥倖

nio

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 散らかった部屋で受け取ったばかりの段ボールを開けると、ウィッグを引っ張り出した。ちょうどいい長さのものが見つからなかったから、今から自分で切らなくちゃいけない。

「うー、めんどい!」

 ぽいっと放り投げるとベッドへ向かってダイブした。早いもので来週初めには天蒼へ向かう。引き継ぎするほどのものはなくて、あの後あっさり研究所からは「出張の準備をするといい。」と追い出された。ひどい、ひどすぎる。

 もぞもぞと手を伸ばし、枕元に転がっていた瓶を掴む。捻って開けると中身を取り出した。小さな錠剤を一粒、口に放り込む。

 これ、届けてもらうように手配済んでるんだっけ。

 ずっと飲んでいる常備薬は欠かすことが出来ない。これがないと日常生活に支障を来たすのだ。忘れず確認しとかないと、とため息を吐く。ついで頬を、むにむにと摘んだ。

 おっかしいなぁ。なんか最近太った気がする。

 なんだか少し、肉付きが良くなった気がするのだ。生活習慣は何一つ変えていない。相変わらず偏食だし、食べないことの方が多い。運動なんて全然やらないけど元々コストが悪い身体なので、じっとしていても熱量を消費するのだ。その証拠に体重は全然変わっていなかった。

 気のせいかなぁ。

 よいしょと起き上がると、放り捨てたウィッグを拾った。きょろきょろと視線を走らせ、ハサミを探す。見つからない。めんどうくさい。分かってたら一緒に買ったのに。

 でも今から注文しても、間に合わないよね。

 部屋が散らかったままなのは荷造りが一向に進まないからだった。往生際悪く、『やっぱり出張は取りやめになった。』と言われるかもしれないと言う希望が捨てきれないから。もっとも義父からは『しっかり務めてきなさい。』と言われてしまった為、行かないと言う選択肢はない。

 でもなぁ。家族のこととか友だちとか。なんにも覚えてないし。行きたくないよ。

 再び、しょんぼりとベッドに突っ伏してリリオラは息を吐いた。
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