【完結】R-18 逃がさないから覚悟して

遥瀬 ひな

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Hauptteil Akt 14

hundertvierzig

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 篤臣はリーウェンの正面に立つと、迷わず銃を抜き取りリーウェンの心臓目掛けて引き金を引いた。

『おー、痛いなぁ。』

 少しも堪えてなさそうに、クツクツと嗤う。高性能の防弾ベストでも着けているのかもしれない。だが構わない。そのまま答えず同じ場所、心臓を狙って何度も引き金を引く。ここを狙っていると。どこに行こうとお前を殺すと。その意思を知らしめる。

『しつこいなぁ。』
『お前のしつこさには負ける。』
『……なんだと?』
『コソコソ隠れて付け狙う。お前のしつこさには負けると言ったんだ。』
『ムカつくなぁ。』
『図星だからムカつくんだろ。』
『……。』
『シュウ・リーウェン。ヘンディルの首魁。赤茶色に金と黒が数束ずつ混じった髪。白に近い灰色の瞳。で、混合種?だったか?』
『お前……。』
『ヤン・ユェルンが教えてくれたよ。どうだ?側近に裏切られた気分は。』
『お前!!何者だ!!』
『なんでも詳しく話してくれた。だからこうやって今、俺はお前の前に立っている。』
『……。』
『お前の顔はもう、世界中に知られた。今更フードで隠した所で無意味だ。』
『ならば別にいい。』

 パサリとフードが上げられる。聞いていた通りの髪と瞳が現れた。

『ユェルンがワレを裏切る訳がない。どうやった?』

 ジッと見つめてくる感情のない双眸。篤臣は答えず、見つめ返した。

『ははは。随分と信頼しているんだね。驚いたよ。』

 代わりにフィンレーが場にそぐわない明るい口調で答えた。近寄ってきて篤臣の隣に立つと続ける。

『正解は自白剤の投与。廃人になるまで、やらせてもらったよ。用が済んだから、お返ししようと思ったんだけど。』
 肩を竦め、笑いながら告げる。

『反撃してきたから死んでもらった。』
『なに?』
『ゴルトの間だっけ?そこに転がってるよ、アシェル家のバトラーと一緒に。』
『アシェル家……。ではお前はグウェイン家の。』
『フィンレー・グウェイン。』
『なぜお前が。』
『思ったよりも頭が悪いんだね、がっかりだ。』
 フィンレーがやれやれと頭を振る。リーウェンが怒りに顔を染めた。

 その時だった。

「あの子供、ミックスでしょう?」

 弾かれたように篤臣が意識を向けた。意味が分からないながらも天蒼の言葉は分かるフィンレーも驚いたようにジュードと男に視線を移す。

「ああ、知らなかったんですか。まぁ、そうでしょうね。隠れて生きてきたでしょうから。」

 そう言って男は髪を掻き上げた後、再び構えた。

「では、戦いながら話をしましょうか。」

 その一瞬の隙を突いて、リーウェンがドアに向かって走り出した。
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