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Hauptteil Akt 14
hundertsechsunddreißig
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ジュードと狗狼が前衛。篤臣とフィンレーが後衛。四人で船の中を歩きながら、行き合う工作員を音もなく鎮めていく。銃は使わない。音が響くからだ。殴り、蹴り、締める。気絶が基本で必ずダブルカフで両手親指同士を締めた。手首同士を拘束すると、抜け出すことも可能だからだ。その点、親指同士を拘束すると自力では外せない。最後に工作員の服を破いて猿轡をし、なるべく人目につかないところに転がした。そうやって船の中を上へ上へと進んでいく。
アゲンツたちが次々と海から乗り込み、同様の手順で制圧している。藍里を預けた後、ジュードから渡されたイヤカフタイプのインカムを通じて各部隊から報告が流れてきた。じわじわとシュウ・リーウェンまで近づいている。やがて最上階フロアに辿り着くと、今までとは明らかにレベルが違う男がいた。
『当たりだな。』
フィンレーの言葉に、ジュードが動いた。背中を丸め、前傾になり駆け出す。
男が咄嗟に後ろへ飛ぶと、声を上げた。
『敵襲!』
しかし、その声は発する間もなく潰れた。ジュードに気を取られている間に左横に狗狼が迫り、その喉を握り込む。喉仏が不快な音を立てた。
「おいおい。黙ってろって。殺すぞ。」
言い終わる前にジュードが掌底を腹に撃ち込む。
男が声もなく、グッタリとしたのを見て狗狼が手を離した。
「これ、側近か。」
「ああ。そうだね。ユェルンに続いて、二人目だ。」
「残り半分か。」
「そう、後二人。」
フィンレーと狗狼のやり取りを尻目に篤臣は床に転がった男を睥睨した。いちいち構ってはいられないがリーウェンに近いものだと思うと噛み殺したくなる。
「行こう、篤臣。近くにいるはずだ。」
「ああ。」
廊下にはいくつかドアがあり、このうちのどこかにウルと新がいるはずだった。ここのフロアでないのなら、下から順に制圧しているアゲンツたちから報告が上がるはず。
ジュードが手早く男を拘束し転がす。もうここまでくると隠す必要はないだろう。起き出して騒ぎ出されると面倒なので猿轡だけはしておいた。
篤臣が息を吸い込み、狗狼が耳を澄ませる。そんな二人をフィンレーがじっと見つめた。
どこにいても、君の匂いなら。
そうして、右側に並ぶ奥から二つ目のドアに瞳を当てる。狗狼も声を聞き分けたのか同じドアを見た。そうして全員で向かおうとしたその時、廊下の一番奥一際装飾の施されたドアがゆっくりと開いた。
『おや、このフロアは立ち入り禁止のはずだがなぁ。』
フードを被った男とその後ろ左右に二人の男。
「シュウ・リーウェン。」
篤臣の唇からまるで呪いの言葉のように名前が吐かれる。
『で?お前たちは誰だ?』
アゲンツたちが次々と海から乗り込み、同様の手順で制圧している。藍里を預けた後、ジュードから渡されたイヤカフタイプのインカムを通じて各部隊から報告が流れてきた。じわじわとシュウ・リーウェンまで近づいている。やがて最上階フロアに辿り着くと、今までとは明らかにレベルが違う男がいた。
『当たりだな。』
フィンレーの言葉に、ジュードが動いた。背中を丸め、前傾になり駆け出す。
男が咄嗟に後ろへ飛ぶと、声を上げた。
『敵襲!』
しかし、その声は発する間もなく潰れた。ジュードに気を取られている間に左横に狗狼が迫り、その喉を握り込む。喉仏が不快な音を立てた。
「おいおい。黙ってろって。殺すぞ。」
言い終わる前にジュードが掌底を腹に撃ち込む。
男が声もなく、グッタリとしたのを見て狗狼が手を離した。
「これ、側近か。」
「ああ。そうだね。ユェルンに続いて、二人目だ。」
「残り半分か。」
「そう、後二人。」
フィンレーと狗狼のやり取りを尻目に篤臣は床に転がった男を睥睨した。いちいち構ってはいられないがリーウェンに近いものだと思うと噛み殺したくなる。
「行こう、篤臣。近くにいるはずだ。」
「ああ。」
廊下にはいくつかドアがあり、このうちのどこかにウルと新がいるはずだった。ここのフロアでないのなら、下から順に制圧しているアゲンツたちから報告が上がるはず。
ジュードが手早く男を拘束し転がす。もうここまでくると隠す必要はないだろう。起き出して騒ぎ出されると面倒なので猿轡だけはしておいた。
篤臣が息を吸い込み、狗狼が耳を澄ませる。そんな二人をフィンレーがじっと見つめた。
どこにいても、君の匂いなら。
そうして、右側に並ぶ奥から二つ目のドアに瞳を当てる。狗狼も声を聞き分けたのか同じドアを見た。そうして全員で向かおうとしたその時、廊下の一番奥一際装飾の施されたドアがゆっくりと開いた。
『おや、このフロアは立ち入り禁止のはずだがなぁ。』
フードを被った男とその後ろ左右に二人の男。
「シュウ・リーウェン。」
篤臣の唇からまるで呪いの言葉のように名前が吐かれる。
『で?お前たちは誰だ?』
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