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Hauptteil Akt 13
hundertachtundzwanzig
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「初めまして。クロエ・アシェルと申します。」
クロエは目の前に座る、恰幅のいい老人を見つめ会釈した。その隣に同世代の男性が一人座っている。フィンレーからことのあらましは聞いていた。ここへは、二人へ何が起きているのか話をする為に訪れている。
作戦を遂行する間、クロエは彪束家に逗留することになった。フィンレーが安心して動けるよう、番であり、婚約者でもあるクロエを氷午に預けたのだ。その間、クロエは新の祖父に会うことにした。一緒に藍里の祖父も同席してもらい、現状説明と無事奪還するまでの精神的サポートを買って出たのだ。
突然、彪束家から連絡が入り孫と友人の孫二人のことで話があると言われた新の祖父は面食らった。由月も同席するよう請われ、席を設けたが訪れたのはあの、クロエ・アシェルだった。訳が分からないまま、どうやって孫の新と親交を深めたのか聞いた後、思いもよらない話を聞かされた。今の今まで孫が拐われたことを知らなかった。由月を見ると、同じように顔色が抜け落ちている。
「つまり、二人はヘンディルに。」
「はい。」
「い、いつから。」
「新は半月ほど前からです。リージョンから帰国して、マネージャーと別れてからすぐ。」
新は各本支店をランダムに回り、基本は買い付けなどでバイヤーとして各国を回る。本店に長く訪れないからと言って不審に思われることはないのだ。結果クロエが訪ねてくるまで気が付かなかった。
「そ、んな。」
「藍里も。藍里もヘンディルに。」
由月がクロエに問いかける。否定して欲しいのだろう。
「はい、残念ながら。」
二人の老人が項垂れる。ヘンディルのことは知っていた。だが活動は大陸圏で何処か対岸の火事のような。そんな心持ちでいた。まさか天蒼に。この栢杠に潜伏して狩りをしていたなんて。孫たちが狙われたなんて。
「明日、オークションが開かれます。」
「「!」」
「私たちは、救出に向かいます。」
「助けに?本当ですか?」
「はい。」
「彪束家が?」
「はい。それとツェアシュテールが。」
「ツェアシュテール?まさか。」
「はい。拐われた方たちの奪還とヘンディルの殲滅。そのためにツェアシュテールが動きます。ですので、ご安心を。」
クロエが頷くと、新の祖父が頭を下げた。
「宜しくお願いします。」
「どうか、お願いします。」
由月も頭を下げる。
「はい。また、連絡致します。お気を確かに。必ず、元気な二人に会えます。」
「「はい。はい……。」」
二人だけじゃない。ウルさんもそう。他の被害者たちも。必ず全員。
無事に帰ってきて。信じて待ってるから。フィンレー、私の番。貴方は必ずやり遂げる。そう、信じてる。
クロエは目の前に座る、恰幅のいい老人を見つめ会釈した。その隣に同世代の男性が一人座っている。フィンレーからことのあらましは聞いていた。ここへは、二人へ何が起きているのか話をする為に訪れている。
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「はい。また、連絡致します。お気を確かに。必ず、元気な二人に会えます。」
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二人だけじゃない。ウルさんもそう。他の被害者たちも。必ず全員。
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