【完結】R-18 逃がさないから覚悟して

遥瀬 ひな

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Hauptteil Akt 11

hundertdrei

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 新が標的になったと聞いてから、篤臣はより一層狗狼と密に連絡を取り合うようになっていた。とは言っても基本的には携帯やメッセージアプリを使ってのやり取りで、会って話すことはあまりない。

 しかし、これは直接話した方がいいだろうと一週間ぶりにCarmを訪れた。ちょうど賑わっており、話をするのは難しそうだった。手が空くまで待つか、とカウンターに腰掛ける。

「おい。目障りだ。いつもの席で待ってろ。」
「相変わらず口が悪いな。」
「視界に入って瞳が痛いっつの。無駄にきらきらしやがって。」
「それは失礼。」
「否定しろや。」
「褒め言葉は素直に受け取る性分でね。」
「口が減らねぇな。」

 ぶつぶつ言いながらも、狗狼は篤臣を待っていた。連絡は取っていたが、詳しく聞きたいこともある。

「貴宮さん、オーダーは?」
 茉莉が水の入ったグラスを置きながら問いかけた。

「そうだな、ホットコーヒーとフィレサンドを。」
「はーい。」

 確か初めて来た時も同じオーダーだった。あれからもうすぐ一年が経とうとしている。

 篤臣はウルと偶然再会し、念願叶ってマッシブになれた。不穏なきっかけではあったが、今では同棲している。
 仕事はと言えば、投資候補先のCarmと無事契約を果たし、晴れて取引先となったおかげで頻繁に訪れても不自然ではなくなった。尤も目的だったウルが今ここにいないので、前ほど訪れる機会は減っている。

「貴宮さん、ちょっと聞きたいことあるんですけど。」
 ホットコーヒーを置きながら、茉莉が話しかける。

「?なに?」
「あの、ちょっと前に笹川さんも交えて何か深刻そうに話してた時あったじゃないですか?」
「ああ、うん。」
「あの時、皆さんが帰った後一人だけ残った人いたでしょ?おっきい人。ごつくて、マッチョで。」
「ああ。」
 ジュードのことか、と頷く。

「私大柄な男性怖くって。これからも来たりします?」
「どうかな。基本的にはもう一人いた同僚の部下だから。来ないと思うけど。」
「なぁんだ。良かったー。なんかガン見されて怖かったんですよね。」

 ほっと息を吐く茉莉を見て首を傾げる。ジュードが女性に関心を示したところなど見たことがない。もっとも篤臣が知るジュードはフィンレーのバトラーとして常に職務に就いている状態なので当たり前かもしないが。

「おら。フィレサンド。」

 かたん、とカウンターに皿が置かれる。顔を上げると狗狼が胡乱な瞳を向けていた。

「食べ終わったら個室で待ってろ。」
 言い捨てて再びコンロの前に立つ。それを見ながら茉莉が口元を押さえ呟いた。

「やだ、三次元興味なかったのに……!でもこれは別腹よね?オラオラ系イケメンとスパダリ系イケメンとか美味しすぎ。どっちが受け?やっぱオラオラ系?そうよね、ここは王道よね!」
「……枝反さん、聞こえてるよ。」

 意味は分からないが、何となく怖気が走った篤臣は、げんなりしつつ突っ込んだ。

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