【完結】R-18 逃がさないから覚悟して

遥瀬 ひな

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Hauptteil Akt 10

hundert

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 ジュードは与えられたマンションのリビングで、準備に取り掛かっていた。天蒼は警察や軍以外に銃の使用は許可されていない。なので今回の入国時、ツェアシュテールの権限をフルに使って持ち込んだ。バトラーは主人の護衛も兼ねる。ジュードはいつも一挺だけ、デザート・イーグル44口径をガンホルスターに装着していた。

 ソファに腰掛け整備の為の通常分解フィールドストリッピングを始める。キャッチボタンを押し、マガジンを排出。ストッパーを押しながらバレルロックを回転、スライドを外す。リコイルスプリングとバレルを外すとメンテナンスに取り掛かった。終わると逆手順で組み立て、トリガーバーをセット。スライドを取り付けマガジンを装填すると初弾装弾の為スライドを引く。セーフティロックをONにした。

 一連の動作を流れるようにこなすと銃をローテーブルに置く。

 新から聞いた話と、藍里の部屋を調べたことで膠着していた事態が一気に動き出した。女の名前はヤン・ユェルン。手に入れた写真のおかげで情報が集まり、身を寄せていた男性の身元も判明した。これからアゲンツを派遣する手筈になっている。

 ジュードはその陣頭指揮を取らなければならない。その準備だった。

『名前、聞けなかったな。』

 ぽつりと呟く。身元を隠して入国している今、ジュードは偽名しか名乗れない。そんな状態で彼女の名前を聞くことなど出来なかった。年は恐らく15歳前後離れている。20歳前後だろう。黄色の髪と茶色の瞳。全体的に丸みがあって、ぽっちゃりしていた。柔らかそうで、美味しそうで。思い出すだけで口内に唾が溜まる。

『良い匂いだった。また、嗅ぎたい。』

 ごくん、と嚥下する。妙に喉が渇いた。

 ジュードは幼少期からバトラーとして研鑽を積み、成人と同時にフィンレーに選ばれ彼に仕えてきた。この身は主人を守るためにあるし、指示されればなんでもやる。愛人たちを抱くこともそうだった。幸いハレムを一時解体したこの時期に主人が初恋の女性と結ばれた。蜜月に入り、早く孕ませようと躍起になって囲っている。愛人たちとの情交とは比べようもないくらい、主人はメイニーに溺れている。お陰でこのままハレムは無くなる。自分もやっと、パートナーを探せるとそう思った矢先に出逢ったのだ。

 さっさと今回の任務を終わらせ、何としても逢いたい。彼女はマーキングされてなかった。だとしたら特定の相手はいない可能性が高い。だったら。

『連れ帰りたい。』

 名前を聞いて。メイニーに名乗りを上げて。何としても受けてもらう。すぐに巣へ連れ帰り、ゲレンク-パラを受けると言うまで抱き潰す。

『むちむちしてたな。』

 ぺろりと舌舐めずりする。普段から自分の欲は後回しにしていたジュードにとって、茉莉だけはお預けなど、とても考えられないご馳走様だった。

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