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Hauptteil Akt 9
siebenundachtzig
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男は、髪を細く短く結っていた。尻尾のように硬くピンと跳ねている。少し変わった色合いで、赤茶色に金と黒が数束ずつ差し色のように混じっていた。染めているわけではなく、元々この色だった。その証拠に、よく見れば眉やまつ毛に至るまで、その色合いをしている。目の色は殆ど白に近い灰色。
持つ色は珍しく人目を惹くのに対し、容姿は平凡だった。一重の細い目。少しだけ通った鼻筋。唇は薄く大きかった。常に口角が上がっており笑っているように見える。顔の特徴より、持つ色の方が強く印象に残る。そんな風貌だった。
栢杠の街を悠々と歩く。隣には茶色の髪と黒い目の美しい女がいた。男と腕を組み、歩くその姿は自然と人目を惹いた。どこもかしこも折れそうな位細い。なのに胸だけはたっぷりと大きく、つんと上向いていた。下着をつけない主義なのか乳首が浮き、余計に視線を集めている。
『ユェルン、お前目立つなぁ。ワレまで見られる。』
『この身体で釣るんですから。仕方ありません。』
『本来密かに近付くものだが、お前は真逆だな。』
『おかげで警戒心が薄く、ありがたいですね。』
『はは、そうだな。』
『ところで、リーウェン様。この髪色どうですか?気分転換にウィッグを着けてみたんです。』
『うぅん。ワレは別に色は何でもいい。』
『もう!そこは褒めてくださいな。』
『面倒だなぁ。』
興味がないとリーウェンは呟く。ユェルンが視線を移し、ある店に目を止めた。
『リーウェン様。あの店がそうです。せっかくですから、お気に入りを見に行きませんか?』
『そうだなぁ。』
顎に手をやり思案する。ユェルンの言うお気に入りとは新のことだった。
アラタは拐う。これはもう確定事項だ。ユェルンの話ではとても警戒心が強いらしい。ユェルンが声を掛ければ靡くものが多い中、アラタは距離を取ったという。恐ろしく勘がいいのだろう。人一倍生存本能が優れている。油断するまで少し時間を置いた方がいいと思われた。ならば。
『メインは楽しみに取っておこう。』
『分かりました。では、私の家に行きませんか?』
『ふっ!はははは!私の家?お前が拐った男の家の間違いだろう?』
『あら。あの男とは一時期一緒に暮らしていたのですから。男がいなくなった今、私の家でいいと思います。』
いけしゃあしゃあとユェルンが答える。
『あの男もなぁ。お前を引き当てるとは。どこまでもツいてなかったな。』
街を歩くユェルンに声を掛けた男性は整った容姿のフェイだった。オークションに掛けても遜色ないと判断したユェルンは、まず男性を味見することにした。付加価値があればより高値で売れる。公園の端、人気のない木立に誘い込み、口淫した。男性の陰茎は見たこともない歪な形をしていてこれなら、と思った。そのままメイニーとして付き合いつつ、藍里とも交流する。一ヶ月が過ぎた頃、ホテルを引き払い男性の家に転がり込んだ。親密になったと判断した藍里を誘拐し、リーウェンの元に届けると、それから更に一ヶ月、男性との情交を楽しんだ。頃合いを見計らい、薬を使って昏倒させる。藍里のようにリーウェンの元に送り届けると、男性の家にそのまま住み着いた。そしてかねてより誘っていたリーウェンがやっと、栢杠の街まで出てきたのだ。ユェルンの気持ちは浮き足立っていた。リーウェンと狩りをすることなど滅多にない。
『狩りの合間に可愛がってくださいな。』
『そうだなぁ。お前は孕まんからなぁ。それもいいか。』
ユェルンは妊娠しない。ヘンディルに入る時に手術を受けている。感染症に注意すれば良いだけなので、ラィニゲンさえあれば誰と情交しても問題ない。
『決まりですね。行きましょう、リーウェン様。』
『分かった分かった。』
じゃれ合うように見える二人はまるで恋人同士のようだった。
持つ色は珍しく人目を惹くのに対し、容姿は平凡だった。一重の細い目。少しだけ通った鼻筋。唇は薄く大きかった。常に口角が上がっており笑っているように見える。顔の特徴より、持つ色の方が強く印象に残る。そんな風貌だった。
栢杠の街を悠々と歩く。隣には茶色の髪と黒い目の美しい女がいた。男と腕を組み、歩くその姿は自然と人目を惹いた。どこもかしこも折れそうな位細い。なのに胸だけはたっぷりと大きく、つんと上向いていた。下着をつけない主義なのか乳首が浮き、余計に視線を集めている。
『ユェルン、お前目立つなぁ。ワレまで見られる。』
『この身体で釣るんですから。仕方ありません。』
『本来密かに近付くものだが、お前は真逆だな。』
『おかげで警戒心が薄く、ありがたいですね。』
『はは、そうだな。』
『ところで、リーウェン様。この髪色どうですか?気分転換にウィッグを着けてみたんです。』
『うぅん。ワレは別に色は何でもいい。』
『もう!そこは褒めてくださいな。』
『面倒だなぁ。』
興味がないとリーウェンは呟く。ユェルンが視線を移し、ある店に目を止めた。
『リーウェン様。あの店がそうです。せっかくですから、お気に入りを見に行きませんか?』
『そうだなぁ。』
顎に手をやり思案する。ユェルンの言うお気に入りとは新のことだった。
アラタは拐う。これはもう確定事項だ。ユェルンの話ではとても警戒心が強いらしい。ユェルンが声を掛ければ靡くものが多い中、アラタは距離を取ったという。恐ろしく勘がいいのだろう。人一倍生存本能が優れている。油断するまで少し時間を置いた方がいいと思われた。ならば。
『メインは楽しみに取っておこう。』
『分かりました。では、私の家に行きませんか?』
『ふっ!はははは!私の家?お前が拐った男の家の間違いだろう?』
『あら。あの男とは一時期一緒に暮らしていたのですから。男がいなくなった今、私の家でいいと思います。』
いけしゃあしゃあとユェルンが答える。
『あの男もなぁ。お前を引き当てるとは。どこまでもツいてなかったな。』
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『狩りの合間に可愛がってくださいな。』
『そうだなぁ。お前は孕まんからなぁ。それもいいか。』
ユェルンは妊娠しない。ヘンディルに入る時に手術を受けている。感染症に注意すれば良いだけなので、ラィニゲンさえあれば誰と情交しても問題ない。
『決まりですね。行きましょう、リーウェン様。』
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じゃれ合うように見える二人はまるで恋人同士のようだった。
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