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Hauptteil Akt 9
♥︎ zweiundachtzig
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目の前で繰り広げられる、悍ましい行為。
なに?なんなの?なにしてるの?
震えが止まらず、小さく檻の真ん中で縮こまる。上から全体に薄い布が掛けられていて、それ越しに見えるものは輪郭や色が朧げだった。でも、声は聞こえる。だから本当は何が起きているのか嫌でも分かった。ただ認めたくない。だって認めたら……いずれは自分も同じ目に遭うのかもしれない。
食事や入浴、着替えを与えられ、清潔さは保たれている。だが監禁されていて、首には金属製の首輪が着けられていた。ここから出られない。
毎日毎日。代わる代わる自分の目の前で犯される人たち。
脳が考えることを拒絶する。こんなひどいこと、あるわけない。
『い、いやぁ!』
『ああ、いいぞ。もっと泣け。喚け。』
違う。こんな酷い言葉を理解したくて共通言語を学んだ訳じゃない。あの人に少しでも近づきたくて。同じものを見たくて。だから。
だから、必死に勉強したのに。
『ほら、もっと締め付けろ。お前を買う客が満足するように。ほらほら。』
『あ、ああ。あ。』
『いい加減諦めろ。』
男がベッドで女性を四つ這いにして後ろから激しく突き上げる。卑猥な水音が響き、吐き気がした。
『出すぞ。』
一際強く腰を打ちつけると、ビクビクと痙攣する女性に注ぎ込んでいる。ユルユルと腰を動かし、最後まで吐き出すとヌルリと陰茎が引き抜かれた。
こちらを振り返った気配がし、びくりと肩が跳ねた。
『おい。お前、処女なんだって?』
私に話しかけてるの?
『良かったなぁ?それだけで付加価値がつくからな。こんなふうに犯されなくて済んでるのはそのおかげだ。お前を買う客はその分、高値を付けてくれる。ワレも儲かる。まぁそれまでせいぜい楽しとけ。』
カウ?かう?買う?
『ユェルンは鼻が利く。』
知った名前に柵までにじり寄り、掴んだ。
「ユェルンは?!彼女は無事なの?!」
『……はっははははははは!!!はは!はははは!まだ理解していないみたいだなぁ!』
大笑いされて、訳が分からず茫然と布越しに男を見上げた。明かりが逆光して背にあたり、黒々とした影のようなシルエットしか分からない。
『お前はユェルンに拐われたんだよ。ワレの側近、ヘンディルのユェルンにな。』
「……え。」
『しかしまぁ。共通言語を教えてくれる親切なお姉さんとは。アイツも似合わないことをしたものだ。』
「そ、んな……。嘘。嘘よ。」
『オークションはすぐだ。お前を買うのはどんな客かなぁ?』
理解したくなくて呆けていると続く言葉に衝撃を受けた。
『お前の男、アラタと言ったか?』
「……え。」
『携帯にあった、あの美しい男、ワレの好みだ。白く艶やかな髪。透き通った金茶色の瞳。何より気品がある。しかもフリージアン!はははは!ワレはお前に目を付けたユェルンに褒美をやらねばな。アラタはワレが手に入れる。あの気取った顔を快楽の淵に叩き込み、美しい身体を汚し、ワレ専用の性玩具にしてやる。ああ、楽しみだ。』
ウットリと語る男に怒りが湧いた。
「許さない!新さんに手を出したら許さない!」
初めて出会った時、素敵な人だと思った。お店に通って彼が大切にしている仕事の片鱗に触れ、もっと知りたいと思った。憧れから恋に変わるまで、大して時間は掛からなかった。1枚だけ祖父たちも一緒に撮った写真。2人きりではなかったけれど、それだけで幸せだった。
『おーおー。急に威勢が良くなったなぁ。処女じゃなければオークションまで犯しまくって泣かせてやったものを。惜しいなぁ。』
「この外道!」
『さっきから何を言ってるのか分からんが。まぁいい。ワレはやると言ったらやる。あの男はワレのものだ。手に入れたら死ぬまで犯す。いやらしい身体にしてワレの逸物が無ければ生きていけぬようにしてやる。はははは!ははははははは!!』
男が笑いながら部屋から出ていく。涙が後から後から溢れた。
「誰か。誰か助けて。新さんを守って。お願い。」
自分がユェルンなんかに捕まらなければ。自分がユェルンなんかに新の話をしなければ。
自分のせいで、あの人が怪物たちに目を付けられた。
お願い。お願い。どうか。誰か。私はどうなってもいいから。お願い。お願いします。新さんを守って。
蹲り、懇願する。藍里にはそれしかできなかった。
なに?なんなの?なにしてるの?
震えが止まらず、小さく檻の真ん中で縮こまる。上から全体に薄い布が掛けられていて、それ越しに見えるものは輪郭や色が朧げだった。でも、声は聞こえる。だから本当は何が起きているのか嫌でも分かった。ただ認めたくない。だって認めたら……いずれは自分も同じ目に遭うのかもしれない。
食事や入浴、着替えを与えられ、清潔さは保たれている。だが監禁されていて、首には金属製の首輪が着けられていた。ここから出られない。
毎日毎日。代わる代わる自分の目の前で犯される人たち。
脳が考えることを拒絶する。こんなひどいこと、あるわけない。
『い、いやぁ!』
『ああ、いいぞ。もっと泣け。喚け。』
違う。こんな酷い言葉を理解したくて共通言語を学んだ訳じゃない。あの人に少しでも近づきたくて。同じものを見たくて。だから。
だから、必死に勉強したのに。
『ほら、もっと締め付けろ。お前を買う客が満足するように。ほらほら。』
『あ、ああ。あ。』
『いい加減諦めろ。』
男がベッドで女性を四つ這いにして後ろから激しく突き上げる。卑猥な水音が響き、吐き気がした。
『出すぞ。』
一際強く腰を打ちつけると、ビクビクと痙攣する女性に注ぎ込んでいる。ユルユルと腰を動かし、最後まで吐き出すとヌルリと陰茎が引き抜かれた。
こちらを振り返った気配がし、びくりと肩が跳ねた。
『おい。お前、処女なんだって?』
私に話しかけてるの?
『良かったなぁ?それだけで付加価値がつくからな。こんなふうに犯されなくて済んでるのはそのおかげだ。お前を買う客はその分、高値を付けてくれる。ワレも儲かる。まぁそれまでせいぜい楽しとけ。』
カウ?かう?買う?
『ユェルンは鼻が利く。』
知った名前に柵までにじり寄り、掴んだ。
「ユェルンは?!彼女は無事なの?!」
『……はっははははははは!!!はは!はははは!まだ理解していないみたいだなぁ!』
大笑いされて、訳が分からず茫然と布越しに男を見上げた。明かりが逆光して背にあたり、黒々とした影のようなシルエットしか分からない。
『お前はユェルンに拐われたんだよ。ワレの側近、ヘンディルのユェルンにな。』
「……え。」
『しかしまぁ。共通言語を教えてくれる親切なお姉さんとは。アイツも似合わないことをしたものだ。』
「そ、んな……。嘘。嘘よ。」
『オークションはすぐだ。お前を買うのはどんな客かなぁ?』
理解したくなくて呆けていると続く言葉に衝撃を受けた。
『お前の男、アラタと言ったか?』
「……え。」
『携帯にあった、あの美しい男、ワレの好みだ。白く艶やかな髪。透き通った金茶色の瞳。何より気品がある。しかもフリージアン!はははは!ワレはお前に目を付けたユェルンに褒美をやらねばな。アラタはワレが手に入れる。あの気取った顔を快楽の淵に叩き込み、美しい身体を汚し、ワレ専用の性玩具にしてやる。ああ、楽しみだ。』
ウットリと語る男に怒りが湧いた。
「許さない!新さんに手を出したら許さない!」
初めて出会った時、素敵な人だと思った。お店に通って彼が大切にしている仕事の片鱗に触れ、もっと知りたいと思った。憧れから恋に変わるまで、大して時間は掛からなかった。1枚だけ祖父たちも一緒に撮った写真。2人きりではなかったけれど、それだけで幸せだった。
『おーおー。急に威勢が良くなったなぁ。処女じゃなければオークションまで犯しまくって泣かせてやったものを。惜しいなぁ。』
「この外道!」
『さっきから何を言ってるのか分からんが。まぁいい。ワレはやると言ったらやる。あの男はワレのものだ。手に入れたら死ぬまで犯す。いやらしい身体にしてワレの逸物が無ければ生きていけぬようにしてやる。はははは!ははははははは!!』
男が笑いながら部屋から出ていく。涙が後から後から溢れた。
「誰か。誰か助けて。新さんを守って。お願い。」
自分がユェルンなんかに捕まらなければ。自分がユェルンなんかに新の話をしなければ。
自分のせいで、あの人が怪物たちに目を付けられた。
お願い。お願い。どうか。誰か。私はどうなってもいいから。お願い。お願いします。新さんを守って。
蹲り、懇願する。藍里にはそれしかできなかった。
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