92 / 238
Hauptteil Akt 8
sechsundsiebzig
しおりを挟む
「あの……。」
クロエが小さく縮こまって俯いたまま、頭を下げる。
「この前は、本当にごめんなさい。」
すっかり萎れたクロエにウルの眉が下がった。膝から降ろそうとしない篤臣はウルに頬擦りしたまま答えない。これはまずいかも。
「あの、もう大丈夫です。篤臣くんからクロエさんとの話は聞きました。だから、その。これから仲良くしてくれると。僕、嬉しいし……。」
もごもごと尻すぼみに答えるとクロエがそろそろと顔を上げた。
「え?天使?」
「?」
「あんな酷いことしたのに!許してくれるの?」
「えと。はい。」
「その上仲良くしてくれるの?!え?!ほんとに?!」
「クロエ、うるさいよ。ウルが天使なのは当たり前なんだから黙って。」
ぴしゃりと篤臣が返し、ウルの頭頂部にちゅっちゅっとキスを落とす。途端にクロエが渋い顔をした。
「貴方、変わりすぎよ。」
「なんのことかな。」
「誰にも興味ありませんって顔してたくせに。何それ。べったりくっつきすぎじゃない?」
「ほっといてくれ。」
無視してウルの唇に吸い付く。
「!篤臣くん!」
「んー。ウル。かわい。」
懲りずに又吸い付く篤臣の膝から降りようとするが、がっちり腕を回されてて降りれない。
「信じられない。頭の中に花しか咲いてないわ。」
クロエの隣で新が苦笑する。内心全肯定だった。
クシュダートでの篤臣は誰にでも分け隔てなく接する代わりに一線を画していて内側に入れるものを厳選していた。人当たりは良い為、常に囲まれていたが興味を持てる相手がいなかったのだろうと思う。
唯一、心を奪われたウルとは想いがすれ違い、二人がクシュダートで結ばれることはなかった。
偶然再会した後、篤臣からの猛攻は凄まじかったと狗狼やふみから聞いた。ウル自身は全く気付いてなかったが毎日Carmに通い詰め、ウルに集る男たちを牽制しては追い払っていたと言う。狗狼にも嫉妬の目は向けられ、例え従兄弟でもマーキングしようものなら噛み殺されそうな勢いだったらしい。
もう振り切ってるもんなぁ。クシュダートの頃みたいに隠す気が全くないもんねぇ。
出されたオレンジジュースを飲みながら、三人のやりとりを見つめる。何はともあれ親友のウルがそれで幸せならなんでも良い。
「ウルくん、同棲ってどう?楽しい?」
「んー。楽しくて幸せ。」
ふにゃっと笑って答えたウルの頬に篤臣がキスする。
「俺も。すごい幸せ。」
「ふふふ。」
すりすりと頬ずりし合う二人を見て、クロエと新は笑った。
クロエが小さく縮こまって俯いたまま、頭を下げる。
「この前は、本当にごめんなさい。」
すっかり萎れたクロエにウルの眉が下がった。膝から降ろそうとしない篤臣はウルに頬擦りしたまま答えない。これはまずいかも。
「あの、もう大丈夫です。篤臣くんからクロエさんとの話は聞きました。だから、その。これから仲良くしてくれると。僕、嬉しいし……。」
もごもごと尻すぼみに答えるとクロエがそろそろと顔を上げた。
「え?天使?」
「?」
「あんな酷いことしたのに!許してくれるの?」
「えと。はい。」
「その上仲良くしてくれるの?!え?!ほんとに?!」
「クロエ、うるさいよ。ウルが天使なのは当たり前なんだから黙って。」
ぴしゃりと篤臣が返し、ウルの頭頂部にちゅっちゅっとキスを落とす。途端にクロエが渋い顔をした。
「貴方、変わりすぎよ。」
「なんのことかな。」
「誰にも興味ありませんって顔してたくせに。何それ。べったりくっつきすぎじゃない?」
「ほっといてくれ。」
無視してウルの唇に吸い付く。
「!篤臣くん!」
「んー。ウル。かわい。」
懲りずに又吸い付く篤臣の膝から降りようとするが、がっちり腕を回されてて降りれない。
「信じられない。頭の中に花しか咲いてないわ。」
クロエの隣で新が苦笑する。内心全肯定だった。
クシュダートでの篤臣は誰にでも分け隔てなく接する代わりに一線を画していて内側に入れるものを厳選していた。人当たりは良い為、常に囲まれていたが興味を持てる相手がいなかったのだろうと思う。
唯一、心を奪われたウルとは想いがすれ違い、二人がクシュダートで結ばれることはなかった。
偶然再会した後、篤臣からの猛攻は凄まじかったと狗狼やふみから聞いた。ウル自身は全く気付いてなかったが毎日Carmに通い詰め、ウルに集る男たちを牽制しては追い払っていたと言う。狗狼にも嫉妬の目は向けられ、例え従兄弟でもマーキングしようものなら噛み殺されそうな勢いだったらしい。
もう振り切ってるもんなぁ。クシュダートの頃みたいに隠す気が全くないもんねぇ。
出されたオレンジジュースを飲みながら、三人のやりとりを見つめる。何はともあれ親友のウルがそれで幸せならなんでも良い。
「ウルくん、同棲ってどう?楽しい?」
「んー。楽しくて幸せ。」
ふにゃっと笑って答えたウルの頬に篤臣がキスする。
「俺も。すごい幸せ。」
「ふふふ。」
すりすりと頬ずりし合う二人を見て、クロエと新は笑った。
0
お気に入りに追加
122
あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。





淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる