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Hauptteil Akt 8
vierundsiebzig
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日中、ウルはいつも一つ下のフロアにいる両親の元に通っていた。母のあおいは、製薬の研究者をしており、今までは山から大学の研究室まで毎日車で通勤していた。マンションに越してきてからは、リモートワークに切り替え必要な時だけ大学に出勤する形で落ち着いている。父のウミは山で一人のんびり野菜を育て、余ったものを近隣の市場に卸したりして過ごしていた。マンションではベランダで家庭菜園に勤しみ、合間に大好きな読書や映画鑑賞をして日々を過ごしている。
今まで親子三人で暮らすことが出来なかったため、毎日両親と過ごせる生活にウルは上機嫌だった。篤臣が住居者専用エレベーターの制限解除をしてくれたため、いつでも好きな時に篤臣の部屋から両親の住まう部屋まで行き来出来る。時々狗狼やはな、ふみが子供たち三人を連れて訪れるため、人目を気にせず家族と過ごせる時間は夢のようだった。
毎朝、篤臣を送り出すと早速部屋の掃除や洗濯をする。とは言っても掃除は自動でされるようお掃除ロボットが時間設定されていて勝手に動き出すし、洗い物は食洗機に入れれば乾燥まで済んでしまう。洗濯も当然乾燥まで全自動だし、お風呂まで全自動だった。ドアを閉め切れば中で水流と泡が発生し、天井や壁、床が丸洗いされるのだ。こちらも自動で浴室乾燥までしてくれる。便利すぎる。ウルのすることと言えば全て終わった後、食器や洗濯物をしまい、集めたゴミを捨て、やり残しがないか確認するくらいだった。それだってあまりない。なので両親と過ごして部屋に戻るとやることと言えば料理くらいだった。ウルが作るのは夕ご飯だけ。朝はウルが弱くて起きれないので篤臣が作ってくれるのだ。
僕のマッシブ完璧すぎる!
朝冷蔵庫の中を見て、欲しいものがなかったらタブレットのアプリを立ち上げ入力する。そうすればマンションのコンシェルジュが調達して昼までには荷物専用シューターで部屋まで直接届けられるのだ。キッチンにシューター直通の小さな窓があり、手前に引き下ろせば梱包された状態で届けられている。しかもちゃんと冷蔵されているのだ。ありがたい。
ふんふんとウルが鼻歌を歌いながらキッチンに立つ。篤臣はやはり肉類が好きでウルは野菜類が好きだった。二人ともあまり魚を食べない。今日は唐揚げにしよう!と決めていた。付け合わせは何がいいかなぁと思案する。サラダは定番だから、スープにする?いろんな野菜たくさん入れたらいいかも。
毎日幸せ。えへへ~。
ふにゃふにゃと笑いながらトマトを手に取る。くんくん嗅いで少し齧ってみた。甘酸っぱくて美味しい。
篤臣くん、トマト好きかなぁ?
鼻に飛んだ汁をぺろりと舌で舐め取って唸る。このままもいいけど、唐揚げのソースとかにもいいかな。レモンとブラックペッパーと、それとオリーブオイル。唐揚げに下味しっかり付けとけば塩はなくてもいいかなぁ?
大好きな人に食べてもらえる。なんて幸せなんだろう。
ウルはトマトを齧りながらご機嫌だった。
今まで親子三人で暮らすことが出来なかったため、毎日両親と過ごせる生活にウルは上機嫌だった。篤臣が住居者専用エレベーターの制限解除をしてくれたため、いつでも好きな時に篤臣の部屋から両親の住まう部屋まで行き来出来る。時々狗狼やはな、ふみが子供たち三人を連れて訪れるため、人目を気にせず家族と過ごせる時間は夢のようだった。
毎朝、篤臣を送り出すと早速部屋の掃除や洗濯をする。とは言っても掃除は自動でされるようお掃除ロボットが時間設定されていて勝手に動き出すし、洗い物は食洗機に入れれば乾燥まで済んでしまう。洗濯も当然乾燥まで全自動だし、お風呂まで全自動だった。ドアを閉め切れば中で水流と泡が発生し、天井や壁、床が丸洗いされるのだ。こちらも自動で浴室乾燥までしてくれる。便利すぎる。ウルのすることと言えば全て終わった後、食器や洗濯物をしまい、集めたゴミを捨て、やり残しがないか確認するくらいだった。それだってあまりない。なので両親と過ごして部屋に戻るとやることと言えば料理くらいだった。ウルが作るのは夕ご飯だけ。朝はウルが弱くて起きれないので篤臣が作ってくれるのだ。
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朝冷蔵庫の中を見て、欲しいものがなかったらタブレットのアプリを立ち上げ入力する。そうすればマンションのコンシェルジュが調達して昼までには荷物専用シューターで部屋まで直接届けられるのだ。キッチンにシューター直通の小さな窓があり、手前に引き下ろせば梱包された状態で届けられている。しかもちゃんと冷蔵されているのだ。ありがたい。
ふんふんとウルが鼻歌を歌いながらキッチンに立つ。篤臣はやはり肉類が好きでウルは野菜類が好きだった。二人ともあまり魚を食べない。今日は唐揚げにしよう!と決めていた。付け合わせは何がいいかなぁと思案する。サラダは定番だから、スープにする?いろんな野菜たくさん入れたらいいかも。
毎日幸せ。えへへ~。
ふにゃふにゃと笑いながらトマトを手に取る。くんくん嗅いで少し齧ってみた。甘酸っぱくて美味しい。
篤臣くん、トマト好きかなぁ?
鼻に飛んだ汁をぺろりと舌で舐め取って唸る。このままもいいけど、唐揚げのソースとかにもいいかな。レモンとブラックペッパーと、それとオリーブオイル。唐揚げに下味しっかり付けとけば塩はなくてもいいかなぁ?
大好きな人に食べてもらえる。なんて幸せなんだろう。
ウルはトマトを齧りながらご機嫌だった。
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