【完結】R-18 逃がさないから覚悟して

遥瀬 ひな

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Hauptteil Akt 6

dreiundfünfzig

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 そのまま篤臣の部屋に初めて泊まったウルは、瞳を擦りながら起き上がった。
 あの後、二人ずっとくっついて離れずにいたが、いつの間にか眠ってしまったらしい。ご飯も食べずお風呂も入らず翌朝まで眠ってしまったウルは、きょろきょろと辺りを見回した。

 広い部屋と大きなベッド。でも篤臣がいない。端まで寄って降りると立ち上がって部屋を出る。ぺたぺたと歩いてリビングに行くとコーヒーのいい匂いが鼻を掠めた。ひょこりと覗くと、カウンターテーブルに肘を付いて立ったままタブレットを覗き込んでいる篤臣がいた。片手にはマグを持っていて、その姿はまるでCMに出ている人気俳優みたいだった。

 篤臣くん、かっこいい。

 ぽやんと見つめていたら、気配に気付いた篤臣が顔を上げた。

「ウルちゃん、起きた?」
「うん。」
 こくんと頷く。と、きゅるっとお腹が小さくなった。

「僕、あのまま寝ちゃった。」
「疲れちゃったんだね。」
 苦笑して篤臣がマグを置く。そのままウルに手招きした。

「えと、僕。お風呂入ってない。」
 いやいやと首を振ると篤臣が、にやっと笑った。

「うん。嗅ぎたい。」
「だめぇ!」
 ひぃっ!と飛び上がる。冗談ではない、今篤臣に嗅がれたら恥ずかしくて死んでしまう。

「ふっ。ふははは。冗談だよ。お風呂用意してるから入っておいで。」
「ありがと!」
 答えながら慌てて駆け出す。バスルームに飛び込むとたっぷりした湯が既に張ってあってウルは頭と顔、身体をしっかり洗うと飛び込んだ。

「ウル、洗濯するから入るよ?」
「はぁい。」
 中から答えると、パウダールームで篤臣が動く気配がした。どうやらシーツを交換して洗っているらしい。

「ウルの服も洗っとくね。」
「ありがとう。」
 何から何まで至れり尽くせりで申し訳なくなる。

 お湯に顔を半分浸けて、ぷくぷくと泡を作る。この前のお外デートでもそうだった。篤臣はウルのお世話を甲斐甲斐しく焼きたがる。

 うー。僕もなんか篤臣くんにしたい。

 よし、と気合を入れて立ち上がると、お風呂を飛び出した。前回同様篤臣の服が置かれている。体格が違うので一枚で膝上のワンピースくらいになるカットソーを、もそもそと着込んだ。それからはたと止まる。

 あれ?パンツがない。

 前回はどうだったっけと考え込む。あの時は確か履いていたものを又、身に付けた。服もそのまま置いてあって帰る時に又着替えたのだ。今回と違ってご飯を食べて少ししたら帰ったので泊まってない。

 ど、どうしよう。パンツない。え?どこ?

 きょろきょろと見渡し必死に探すが何処にもない。仕方なくもじもじと裾を引っ張りながらリビングへと向かった。すーすーして心許ない。

「あの。あつおみくん。」
「あ、上がった?」
「うん。」
「どしたの?」
「あの、あの。ぼく。」
「あぁ。パンツ?」
 びくん!と肩が跳ね、恐る恐る顔を上げる。

「洗っちゃった。」
「……。」
「流石に替えがなくって。ごめんね?」
「あの。」
「今、履いてないよね?ウルちゃん。」
「……あぅ。」
「うーん。唆られるなぁ。」
「みちゃだめぇ!」
「触るのは?」
「だめ!」
「えー。どうしても?」
「どうしても!だめです!」
「でも俺ウルちゃんとえっちなこといっぱいしたい。」
「っ!」
「今日はしないよ?でも少しずつはしたいなぁ。」
「あぅあぅ。」
 真っ赤になって震えていると、篤臣が笑った。

「覚悟してね?逃がさないから。」
 雄の顔を見せて笑った篤臣にウルは震え上がった。でも、怖いわけじゃない。それどころか、腰が震えた。自分のものが反応してるのが分かる。咄嗟に両手で隠すように抑えて俯いた。

 シミになっちゃうかも。どうしよう。

 匂いが濃くなったウルに察した篤臣はにやりと笑った。
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