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Hauptteil Akt 5
siebenundvierzig
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クロエは新しい友だちを得て、ご機嫌だった。
当初の目的は篤臣に会うことで、それは今も変わっていない。予想通り一ヶ月も過ぎればいつまで経っても動きがないクロエの側から一人、また一人と記者たちの影が減っていった。
その間クロエがしたことと言えば買い物と観光くらいのもので特定の相手と会っている素振りは一切なかった。篤臣に変わるゴシップの相手も得られないとなれば流石に張り付くものは居なくなっていった。二ヶ月も過ぎた頃には完全に記者たちは消え、クロエの周りはまさに平穏と言える日々を取り戻していた。
「新、ありがとう。あなたには感謝してるわ。」
「大分上手くなりましたね、天蒼の言葉。」
「そうでしょう?任せて!」
胸を張り得意げに答えるクロエは年相応で、新はこの少し不器用な友だちに大切な親友を紹介したいと思うようになっていた。
「クロエさん。良かったら今度僕の友だちに会ってみませんか?」
「新の友だち?何それ、素敵!」
「とっても素直で優しい人なんです。最近初恋の人と再会してお付き合い始めたんですよ。そのお相手も友だちをとても大事にしていて。」
「映画みたいじゃない!」
「素敵な恋人同士なんです。お互い想い合っていて。見てるだけでお腹いっぱいになるんですよ?」
「なんか最後棘がない?新。」
「そんなことは。」
笑い合いながら、紅茶に口をつける。二人が良く行くお気に入りのカフェ。そのテラス席に座り、木漏れ日の中で会話を楽しんだ。
「そう言えば、クロエさんは観光で天蒼に?」
「うーん。実は違うの。ラ-ガレンの時に付き合ってた人がここに住んでるんだけど。彼に会いに来たのよ。」
「わぁ……それって。」
「実は、パートナーになって欲しくて。」
「それってプロポーズですよね?」
「まぁ。そうなるわね。」
苦笑してクロエが頬杖を付いた。
「ただ、今まで記者たちが張り付いてて全然会いに行けなかったの。ゴシップに巻き込むわけにはいかないから。」
「大切に思ってるんですね。」
「そうね。とても大切に思ってるわ。別れた後も友だちとしてずっと一緒にいたの。彼はとても紳士で。今まで出会った中で彼ほど誠実な人はいなかった……。あ、今は新のことも同じくらい誠実な人だと思っているわよ?」
「光栄です。」
「もう!良い加減、その丁寧な話し方やめてくれても良いのに!」
「どうも始まりがお客様としてだったので。切り替えが上手く行かないんですよねぇ。」
苦笑する新にクロエが頬を膨らませる。
「早く彼に会えると良いですね。」
「ええ。来ていることは知ってると思うの。記事が出ちゃったし。ただ連絡してないから、気を揉んでるかも。」
「記事が出たんですか?本当に大変ですね、旅行に出るだけでそんなことになるなんて。」
「そうなの!せっかく静かに入国して驚かせようと思ったのに!台無しよ!」
ぷりぷり怒るクロエと顔を見合わせて笑う。
「ねぇ!新の友だちにはいつ会える?」
「家がカフェをしているので、店を訪ねるなら日中いつでも会えますよ。」
「そうなの?じゃあ明日はどう?」
「僕は構いません。」
「決まりね!楽しみだわ!」
もしかしたら又、友だちが出来るかもしれないとクロエは声を弾ませた。
当初の目的は篤臣に会うことで、それは今も変わっていない。予想通り一ヶ月も過ぎればいつまで経っても動きがないクロエの側から一人、また一人と記者たちの影が減っていった。
その間クロエがしたことと言えば買い物と観光くらいのもので特定の相手と会っている素振りは一切なかった。篤臣に変わるゴシップの相手も得られないとなれば流石に張り付くものは居なくなっていった。二ヶ月も過ぎた頃には完全に記者たちは消え、クロエの周りはまさに平穏と言える日々を取り戻していた。
「新、ありがとう。あなたには感謝してるわ。」
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「ただ、今まで記者たちが張り付いてて全然会いに行けなかったの。ゴシップに巻き込むわけにはいかないから。」
「大切に思ってるんですね。」
「そうね。とても大切に思ってるわ。別れた後も友だちとしてずっと一緒にいたの。彼はとても紳士で。今まで出会った中で彼ほど誠実な人はいなかった……。あ、今は新のことも同じくらい誠実な人だと思っているわよ?」
「光栄です。」
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「早く彼に会えると良いですね。」
「ええ。来ていることは知ってると思うの。記事が出ちゃったし。ただ連絡してないから、気を揉んでるかも。」
「記事が出たんですか?本当に大変ですね、旅行に出るだけでそんなことになるなんて。」
「そうなの!せっかく静かに入国して驚かせようと思ったのに!台無しよ!」
ぷりぷり怒るクロエと顔を見合わせて笑う。
「ねぇ!新の友だちにはいつ会える?」
「家がカフェをしているので、店を訪ねるなら日中いつでも会えますよ。」
「そうなの?じゃあ明日はどう?」
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もしかしたら又、友だちが出来るかもしれないとクロエは声を弾ませた。
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