52 / 238
Hauptteil Akt 4
sechsundvierzig
しおりを挟む
ウルと篤臣が付き合い始めてすぐ、狗狼から探知デバイスを貰った篤臣は早速その日から着け始めていた。自動充電される上に完全防水のため、外す必要がないそれは常に左手首に細く巻かれている。タップすれば地図のホログラムが浮かび上がり、常にウルの居場所が把握出来るため、日中ウルから離れている間、篤臣にとっては欠かせないものとなっていた。切り替えれば心拍数も確認でき、ウルの体調まで把握出来る。Carmに行く前、帰った後、気が付いたら自宅でもウルの動向を確認する篤臣に狗狼は「ストーカーに渡しちまった。」と呆れた。
「おい。お前マジでやめろ。」
「良いものをもらった、ありがとう。」
「爽やかな笑顔で何言ってやがる。」
げんなりした狗狼に心から感謝を伝える篤臣。そのやりとりを見て、はなが笑った。
「お待たせ、篤臣くん。」
ホットコーヒーを置いて、ウルが微笑む。今日はイロフネストとCarmが投資契約を結び、それに伴って今後の経営方針を提案するため訪れていた。
真剣に話し合う二人の邪魔にならないよう厨房に戻ったウルは振り返って篤臣を見つめる。
僕のマッシブ、めちゃくちゃかっこいい。どうしよう、どきどきする。
きゅんきゅんする!と身悶えていると、はなが隣に立ちウルを見上げた。
「良いマッシブ捕まえたわねぇ、ウル。」
「おばあちゃん。」
「これはすぐ、ゲレンク-パラ済ませて連れていかれちゃうかもね。おばあちゃん、寂しいわぁ。」
かぁっと頬に血が昇る。
「そ、れは。まだだよ、多分。」
「あらそうなの?話出てないの?」
「で、てはいる、けど。」
「そうよねぇ、あれだけめろめろだものねぇ。」
「っ!」
「貴宮くんたら、暇さえあればマーキングって。」
「ぼく。その。」
「お陰でウル狙いの人が来なくなってありがたいわぁ。変なのばっかり湧いてたし。」
「そなの?」
「気付かないわよねぇ。そうよねぇウルは。ぽやーっとしてるからねぇ。」
「ご、ごめんなさい。」
「仕方ないわよ、性格だもの。いいのよ、貴宮くんも好きでやってるんだから。」
居た堪れなくて小さくなる。そんなにぽやぽやしてるの、僕。
「まぁウルならなんでもいいんでしょ。」
あっさりまとめられて返事が出来ない。俯いていると、「ウル。」と篤臣に呼ばれた。
「おいで。マーキングしよ。」
たった今揶揄われたばかりで固まったウルの背中をはなが押す。
「ほらほら。」
「うん。」
駆け寄って行くと立ち上がった篤臣が腕を伸ばして抱きしめた。すりすりと頭頂部に頬擦りされる。
「かわいい。俺の癒し。」
「うー。」
恥ずかしくて顔を胸に埋めると頭を撫でられた。
「どしたの?」
「……なんでもない。」
いちゃいちゃしていると、ぽつりと狗狼が呟いた。
「毎日毎日。飽きねぇな。」
「おい。お前マジでやめろ。」
「良いものをもらった、ありがとう。」
「爽やかな笑顔で何言ってやがる。」
げんなりした狗狼に心から感謝を伝える篤臣。そのやりとりを見て、はなが笑った。
「お待たせ、篤臣くん。」
ホットコーヒーを置いて、ウルが微笑む。今日はイロフネストとCarmが投資契約を結び、それに伴って今後の経営方針を提案するため訪れていた。
真剣に話し合う二人の邪魔にならないよう厨房に戻ったウルは振り返って篤臣を見つめる。
僕のマッシブ、めちゃくちゃかっこいい。どうしよう、どきどきする。
きゅんきゅんする!と身悶えていると、はなが隣に立ちウルを見上げた。
「良いマッシブ捕まえたわねぇ、ウル。」
「おばあちゃん。」
「これはすぐ、ゲレンク-パラ済ませて連れていかれちゃうかもね。おばあちゃん、寂しいわぁ。」
かぁっと頬に血が昇る。
「そ、れは。まだだよ、多分。」
「あらそうなの?話出てないの?」
「で、てはいる、けど。」
「そうよねぇ、あれだけめろめろだものねぇ。」
「っ!」
「貴宮くんたら、暇さえあればマーキングって。」
「ぼく。その。」
「お陰でウル狙いの人が来なくなってありがたいわぁ。変なのばっかり湧いてたし。」
「そなの?」
「気付かないわよねぇ。そうよねぇウルは。ぽやーっとしてるからねぇ。」
「ご、ごめんなさい。」
「仕方ないわよ、性格だもの。いいのよ、貴宮くんも好きでやってるんだから。」
居た堪れなくて小さくなる。そんなにぽやぽやしてるの、僕。
「まぁウルならなんでもいいんでしょ。」
あっさりまとめられて返事が出来ない。俯いていると、「ウル。」と篤臣に呼ばれた。
「おいで。マーキングしよ。」
たった今揶揄われたばかりで固まったウルの背中をはなが押す。
「ほらほら。」
「うん。」
駆け寄って行くと立ち上がった篤臣が腕を伸ばして抱きしめた。すりすりと頭頂部に頬擦りされる。
「かわいい。俺の癒し。」
「うー。」
恥ずかしくて顔を胸に埋めると頭を撫でられた。
「どしたの?」
「……なんでもない。」
いちゃいちゃしていると、ぽつりと狗狼が呟いた。
「毎日毎日。飽きねぇな。」
0
お気に入りに追加
122
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる