【完結】R-18 逃がさないから覚悟して

遥瀬 ひな

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Hauptteil Akt 3

vierunddreißig

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 ウルの話を聞いて、当時の自分を張り倒したくなった。何やってるんだ。

「興味ないって。好みじゃないって。関わりたくないって。言ってたから。だから、ぼく。」
 えぐえぐと喉を詰まらせるウルに申し訳なさすぎて土下座したい。

「ごめん。」
「う。うぅ。」
 しゃくり上げるウルを抱きしめる。

「ごめん、本当ごめん。それ、嘘だから。酷いこと言ってごめん。傷付けてごめん。」
「う、うそ?」
「うん。ウルを諦めようと思って。嘘ついたんだ。周りにも自分にも。」
「諦めるって、なんで?」
「……一目惚れだったんだ。すっごいかわいいし。良い匂いするし。話してみると素直だし。性格までかわいいし。なのにマーキングされてたから。人の恋人に横恋慕するのはどうかって、そう思って。」
「マーキングって……狗狼の?」
「そ。べったりついてるから。マッシブだって思ったんだ。」
「えと。」
「今では誤解だったって深沢に聞いたから知ってる。」
「……うん。」
「忘れるために色々したけど。どうしても無理でさ。だからもう諦めないって決めたんだ。」
「そ、なの。」
「ごめん。泣かせたよな?」
「う、うぁ。」
 ぽろぽろと涙を溢すウルの頬を再び舐める。

「傷付けたけど。ごめん。諦められない。俺と一緒にいるって言って。お願い、ウル。」
「あつおみくん。」
「好きなんだ。ウル。」
「ぼく、ぼくも。ぼくもすき。」
 きゅうっと首にしがみついてくるウルを抱きしめる。

「でも。僕、男だよ?いいの?」
「ウルがいい。」
「子供、出来ないよ。」
「別にいらないよ。欲しいのはウルなんだから。」
 わんわんウルが泣き出した。

「僕、僕、秘密があるの。それ知っちゃったら篤臣くん、僕のこと嫌いになるかもしれない。嫌われたくないよぅ。」
「なに?ならないよ。大丈夫だから。」
 どさくさ紛れにキスをする。柔らかくてしっとりした唇は甘くて癖になる。ちゅうっと吸い付いてぺろりと舐めた。

「ウル。ウルちゃん。お付き合いしてその後はゲレンク-パラしよ?いいよね?」
「で、でも。僕、秘密が。」
「聞いても変わんないって。」
 ちゅっちゅっと唇に吸い付く。あー、かっわいい。何されてるか我に返ったら逃げられそうだな、とでれでれする。

「僕、僕ね。ミックスなの。」
 ぴたりと止まる。

「僕、本当は兎なの。フェイじゃないの。嘘ついてて、ごめんなさい。」
「え?そんだけ?」
「え?」
「なんだ、そんなの。気にしなくて良いよ。」
 言って唇にちゅうっと吸い付く。びっくりしたまま、はくはくと口を開け閉めするウルに微笑んだ。

「だから深沢がマーキングして守ってたのか。だったらこれからは俺が守ればいいよね?もう従兄弟でもマーキングさせたら駄目だよ?俺のだから。」
 ちゅっと額にもキスをする。どこもかしこも、すべすべふわふわしてて。可愛すぎる。

「気にしないの?」
「しないよ?ウルならなんでも良いよ。」
「ほ、ほんと?」
 ふにゃっと泣き笑う顔に胸が詰まる。

「かわい。」
 唇に吸い付き、舌を入れた。唾液を味わう。

「ふっ、あっ。」
「あー、甘い。おいし。かわい。たまんない。」
「あ、や。」
「んー。ウルちゃん。かわい。愛してる。」
 ちゅうっと舌を吸い上げる。小さな舌はつるりとしていて気持ちいい。

「キス、いっぱいしようね。」
「あ、う。」
 息も絶え絶えなウルに微笑む。

 やっと、手に入れた。
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