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Hauptteil Akt 3
dreiunddreißig
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「別に。なんとも思わないが。」
「えー?そーなん?かわいいと思うけどなぁ、桜庭ウルちゃん。」
「なー?オレあの子ならイケる。」
下世話な会話に、嫌だなぁと思ってたら貴宮くんの声も聞こえた。思わず立ち止まって、かがみ込む。そのままもぞもぞ動いて隠れた。
「……単純に、好みじゃない。どちらかと言うと関わりたくない。」
僕、なんかした?ぽろりぽろりと涙が落ちる。止まんない。どうしよう。
「めっずらしー。貴宮がそこまで言うとか。」
「だよなぁ。結構、誰でも受け入れるじゃん?懐深いっつうか。」
「誰にだって、苦手なタイプはあるだろう?」
「そっかー。」
それ以上は怖くて。聞きたくなくて。立ち上がって駆け出した。狗狼が溜まり場にしてる視聴覚室に飛び込む。暗くて狭い、ここは安心する。すみっこに行って丸くなった。
僕はずっと、貴宮くんに憧れてた。初めて見た時、すごく、どきどきした。いい匂い。すごく、かっこいい。語彙力なくて情けないけど。言葉が出なかった。
でも、僕をちらりと見た後は一度も仲良くなる機会はなかった。授業や課題、委員会。何かに付け、関わる機会はあったけど話しかけても「ああ。」それだけ。いつも視線は合わなくて、すっと距離を取られてた。
避けられてる?
でも、身に覚えがないから。気のせいかなって。そう思ってたんだけど。
「ち、違った……。僕……。」
興味すら持ってもらえなかったんだ。
それから、しばらく泣いた。やっと自覚した。
僕、好きだったんだ。そんで。
「フラレちゃったんだ。」
僕の初恋。初めての失恋。きっと、一目惚れだった。自覚するの、遅すぎた。
それから僕は、ますます狗狼の側を離れなくなった。だって怖い。あの話を聞いた後だと、周りのフェイ全てが怖い。
僕を守ってくれるのは狗狼だけ。だって僕にはなんの力もない。情けないけど、身を守るには庇護に入らないと生きていけない。
そうやって息を潜めて生きてきた。マッシブ?メイニー?そんなの無理。
だって僕はミックスだもん。フェイと偽って生きてる限り、誰とも一緒にいられない。いつかは必ず一人になる。
それから僕は今まで初恋を引き摺ったまま。ずっと一人でいたんだ。
「えー?そーなん?かわいいと思うけどなぁ、桜庭ウルちゃん。」
「なー?オレあの子ならイケる。」
下世話な会話に、嫌だなぁと思ってたら貴宮くんの声も聞こえた。思わず立ち止まって、かがみ込む。そのままもぞもぞ動いて隠れた。
「……単純に、好みじゃない。どちらかと言うと関わりたくない。」
僕、なんかした?ぽろりぽろりと涙が落ちる。止まんない。どうしよう。
「めっずらしー。貴宮がそこまで言うとか。」
「だよなぁ。結構、誰でも受け入れるじゃん?懐深いっつうか。」
「誰にだって、苦手なタイプはあるだろう?」
「そっかー。」
それ以上は怖くて。聞きたくなくて。立ち上がって駆け出した。狗狼が溜まり場にしてる視聴覚室に飛び込む。暗くて狭い、ここは安心する。すみっこに行って丸くなった。
僕はずっと、貴宮くんに憧れてた。初めて見た時、すごく、どきどきした。いい匂い。すごく、かっこいい。語彙力なくて情けないけど。言葉が出なかった。
でも、僕をちらりと見た後は一度も仲良くなる機会はなかった。授業や課題、委員会。何かに付け、関わる機会はあったけど話しかけても「ああ。」それだけ。いつも視線は合わなくて、すっと距離を取られてた。
避けられてる?
でも、身に覚えがないから。気のせいかなって。そう思ってたんだけど。
「ち、違った……。僕……。」
興味すら持ってもらえなかったんだ。
それから、しばらく泣いた。やっと自覚した。
僕、好きだったんだ。そんで。
「フラレちゃったんだ。」
僕の初恋。初めての失恋。きっと、一目惚れだった。自覚するの、遅すぎた。
それから僕は、ますます狗狼の側を離れなくなった。だって怖い。あの話を聞いた後だと、周りのフェイ全てが怖い。
僕を守ってくれるのは狗狼だけ。だって僕にはなんの力もない。情けないけど、身を守るには庇護に入らないと生きていけない。
そうやって息を潜めて生きてきた。マッシブ?メイニー?そんなの無理。
だって僕はミックスだもん。フェイと偽って生きてる限り、誰とも一緒にいられない。いつかは必ず一人になる。
それから僕は今まで初恋を引き摺ったまま。ずっと一人でいたんだ。
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