【完結】R-18 逃がさないから覚悟して

遥瀬 ひな

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Hauptteil Akt 2

sechsunddreißig

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 狗狼と、ふみの間に生まれた三つ子はそっくりそのまま狗狼の色を受け継ぎ、傍目には区別がつかない。
 まだ生まれたばかりで半獣化しているから、耳で区別されていた。
 長男らんは立て耳。次男ようは伏せ耳。三男じゅんは右耳は立て耳で、左耳が伏せ耳だった。

「かわいいねぇ、ふくふくしてる。」
 ウルは瞳を細めて三人の頬をかわるがわる撫でた。今ふみはお風呂に入っていてその間はウルが見ることになっている。

「濫、おねむ?」
「あーぁ?あ?」
 瞳を擦りながらもウルへと伸ばす手に指を差し出す。ぎゅうっと握り込まれて、ゆったりと揺らした。隣でウルの袖に食いつき、しゃぶる擁に笑顔が溢れる。反対隣ですぅすぅと寝息を立てる遵に頬擦りした。

「癒されるなぁ。かわいい。」
「あー。あぅわー。」
「だー。だーぅ。」
 一頻りウルに構ってもらうと濫も擁も寝息を立て始めた。可愛らしい三つ子を抱えるようにして転がる。

 いつか。いつか僕も家族が持てるかな。こんなふうに。

 子供は無理だと思う。どうしてもメイニーを持つ自分が想像出来ない。きっと元々そういう対象は男性なのだ。だとしたら。

 篤臣くん以外の人と。

 ぶるりと震えた。考えられない。マッシブを持ち、何れはゲレンク-パラを済ませパートナーを得る自分が。一人は嫌だと。いつかは家族が欲しいと。そう願っていても、愛する人を得られる未来は限りなく遠い。

 そもそも、片想いの終わらせ方もわからない。

 瞳を瞑ると、脳裏に篤臣が浮かぶ。新と会ってから更に半月。もう一ヶ月半以上会ってない。

「会いたいな。」
 ぽつりと呟く。

 途端に涙が溢れた。
「会いたい。会いたいよぅ。」
 静かに涙を溢す。三つ子たちの温もりが唯一縋れるもので、ウルは小さく丸まった。

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