22 / 238
Hauptteil Akt 1
achtzehn
しおりを挟む
枝反さんから強請られ、根負けした僕は篤臣くんのテーブルへと彼女を案内した。
「いらっしゃいませ。」
「ああ。」
にっこり笑って答えてくれた篤臣くんは、いつも通りかっこよくて胸がきゅうっとなる。
「いらっしゃいませぇ。会いにきてくれたんですねぇ。ありがとうございますぅ。」
え?会う約束してたの?
横から身を乗り出し、篤臣くんに近寄ると枝反さんが微笑んだ。そのままグラスをテーブルに置くと、話しかける。
「桜庭さんのお友だちなんですよねぇ?私とも仲良くしてくれると嬉しいですぅ。」
「友だちか……。」
小さく呟かれて聞き取れなかったけど、苦笑した篤臣くんを見て別の痛みが胸を刺す。
なんだろう。なんか。機嫌悪そう。もしかして、友だちって言われたのが嫌だったとか……?
「それでぇ。こうして会いにきてくれたんですからぁ。お名前、教えて下さい~。」
にこにこと微笑む茉莉を見て、素直に羨ましいなと思ってしまった。こんなふうにアプローチされて嬉しくない人はいないと思う。
それ以上見ていられなくて、ぺこりとお辞儀すると厨房へと踵を返した。背中に突き刺さる視線は恐らく茉莉で、後でこっぴどく叱られるかもしれない。でもどうしても、目の前で二人が仲良くするのを見ていられなかった。
カウンター内に戻ると、グラスを手に取り無心で磨く。視線を向けなくても二人が話し込んでいるのは気配で分かった。
泣きそうになる気持ちを、息を吐いて落ち着ける。
背中合わせに立って調理している狗狼が、ちらりと視線を寄越していることにも気付かなかった。
「いらっしゃいませ。」
「ああ。」
にっこり笑って答えてくれた篤臣くんは、いつも通りかっこよくて胸がきゅうっとなる。
「いらっしゃいませぇ。会いにきてくれたんですねぇ。ありがとうございますぅ。」
え?会う約束してたの?
横から身を乗り出し、篤臣くんに近寄ると枝反さんが微笑んだ。そのままグラスをテーブルに置くと、話しかける。
「桜庭さんのお友だちなんですよねぇ?私とも仲良くしてくれると嬉しいですぅ。」
「友だちか……。」
小さく呟かれて聞き取れなかったけど、苦笑した篤臣くんを見て別の痛みが胸を刺す。
なんだろう。なんか。機嫌悪そう。もしかして、友だちって言われたのが嫌だったとか……?
「それでぇ。こうして会いにきてくれたんですからぁ。お名前、教えて下さい~。」
にこにこと微笑む茉莉を見て、素直に羨ましいなと思ってしまった。こんなふうにアプローチされて嬉しくない人はいないと思う。
それ以上見ていられなくて、ぺこりとお辞儀すると厨房へと踵を返した。背中に突き刺さる視線は恐らく茉莉で、後でこっぴどく叱られるかもしれない。でもどうしても、目の前で二人が仲良くするのを見ていられなかった。
カウンター内に戻ると、グラスを手に取り無心で磨く。視線を向けなくても二人が話し込んでいるのは気配で分かった。
泣きそうになる気持ちを、息を吐いて落ち着ける。
背中合わせに立って調理している狗狼が、ちらりと視線を寄越していることにも気付かなかった。
0
お気に入りに追加
122
あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。





淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる