【完結保証】R-15 信じられるのは貴方だけ

a harbinger of misfortune

Είκοσι οκτώ 《シーヴァス王国》

「兄上！」
「アス兄様！」

　馬車を降りた途端、腰に両側から抱きつかれる。オレイアスは苦笑しながら銀色とチョコレート色の髪をそれぞれ撫でた。領地に戻る為、眼鏡は外していた。可愛い弟妹たちの顔がよく見える。

「アル、エイン。ただいま。」
「「おかえりなさい！」」
「元気にしてたか？」
「うん！あのね、聞いて聞いて！ヴィンス伯父上がね。」
「あー！アル兄様ひどい！それは私が言うって約束したのにぃ！」
「えー！やっぱり僕も話したいよー。」
「もぅ！恋のお話はレディに譲るものでしょう？」

　腰にぶら下がり、きゃんきゃん言い合うアルセイスとエインセルを引き摺りながら玄関へと向かう。ポーチには両親が並んで立ち、笑っていた。

「おかえり、オレイアス。」
「おかえりなさい、オレイアス。」
「ただいま戻りました、父上。母上。」

　立ち止まり弟妹たちの頭を撫でながら答えると、母がちょいちょいと手招きした。頭を下げて近寄ると、伸び上がって頬を撫でられる。

「ふふ、三ヶ月ぶりね。なんだか背が伸びたみたい。」
「そうですか？」
「ええ。ご飯は？しっかり食べている？風邪を引いたりしなかった？」
「ええ、元気に過ごしていましたよ。」
「良かった。」
　綻ぶように母が笑う。

「さあ、積もる話は中でしよう。まずは着替えてくるといい。」

　父に肩を叩かれ、頷き返す。そのまま弟妹たちの肩を抱きながら領邸へと入った。