クレジットカードを不正利用されました『この社会は弱者に対して世知辛い！』

訴訟？それとも泣き寝入り？

向き合いたくない現実

　帰宅したオットーから話を振られたツーマ。しかし断られたことで、もう口にするのも辛すぎて言葉になりませんでした。

「今日は、話せないかも。」
「分かったよ。」

　翌日の夜も、話せませんでした。

「ごめん。夜話すと、そっから無限ループで落ち込むんだよね。ぐるぐるして余計に眠れなくなるから。昼間の明るいうちに話したい。」
「いいよ。明日の昼間に話そうか。」
「すみません。」

　そうして迎えた土曜日。

「サラっと聞くのと、膝突き合わせてガッツリ聞くのと、どっちがいい？」
「どっちでもいいよ。」
「じゃあサラッとで。」

　消費生活センターに言われた話をするツーマ。思い出すと辛すぎて何度も言葉に詰まります。まるで鉛でも閊えているかのよう。

「つまり、利用履歴を見る限りでは未成年者の利用だから勝てないって判断したってこと？」
「勝てない？」
「そう。ツーマが勝てそうもないから、消費生活センターは見込みがないので受けれないって判断したってこと？」
「……どうかな。そもそも消費生活センターは申し出を受けて場を設ける立場みたいだから。実際は私と相手方、中立の立場になる弁護士とか司法書士の三者で話し合うはずなんだけど。そういう意味では勝つとか負けるとか。そういう感じじゃないかな。」
「だったらおかしくない？」
「え？」
「なんで、消費生活センターが判断するの？未成年者の利用だって。そう判断する立場に当たるの？」
「……確かに、そうだね。」
「それを明らかにするのは消費生活センターじゃないんじゃない？」
「うん。」
「そもそも利用履歴見たの？消費生活センター。」
「はっきりそうとは言わなかったけど。言い方が見たとしか思えない感じだった。」
「ツーマは最初どう話したの？」
「2023.9.15に250円から始まって、少しずつ上がって。150件くらいで総額70万円以上不正利用されたって話したよ。」
「それだけだと詳しくは分からないよね。こちらの同意なしに利用履歴見れるのかな？」
「それは……どうなんだろうね。」
「とにかく。その言い分だと俺は納得出来ないかな。問題は未成年者が無断で利用したってところじゃなくてカード番号がどこからか漏れて悪用されたってことでしょう？」
「うん。」
「その漏れたカード番号が消費生活センターの言う詐欺のプロなら、こんな使い方しないって話だけど。漏れたカード番号を未成年者が入手して悪用する可能性は？ないの？」
「……ないとは言えないね。」
「だよね？漏れたカード番号を誰が悪用したのか分からないんだから、詐欺のプロじゃなくて第三者の未成年者が入手してたらさ。それは利用履歴が酷似しててもおかしくないよね。」
「うん。」
「だからさ。それをなんで消費生活センターが判断するのかって話。それを話すのはツーマと相手方であって、申し出を受けた消費生活センターがすることじゃない気がするんだけど。」

　オットーが言うには、実際第三者の未成年者がカード番号を不正に入手して、オンラインゲームで課金したケースは今までにもあったそう。

「だから、それを理由に断るってのがさ。なんか、しっくりこないんだよね。」

　オットーの脳みそ少し分けてもらいたい。その場で言い返せれば又違ったかも。

「うーん。しかし、それは辛かったねぇ。これからどうするかねぇ。」

　慰めてくれるオットー。

「一回話してみたいけど。消費生活センターって平日しか、やってないんだよね。」
「うん。」
「月曜休み取ってるから電話してみる？」
「そうだね。」
「あと。そろそろイットコーに相談してみる？」
「うーん。」

　悩むツーマ。正直ここまで惨敗です。ここまで被害者に厳しい社会だとは思いもよりませんでした。自分なりに模索してきましたが、これ以上やれることが思いつきません。

「なんか、悩んで選んで全部これじゃあ自分の判断力を信用出来ないんだよね。いや寧ろここまでの運の無さが辛い。オットーの判断に任せてもいい？」
「いいよ。じゃあ母に電話してみるね。」

　とうとう最後の頼みの綱、イットコーに頼ることにした私たち。

　さて。どうなることでしょう。