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événement principal acte 27 奇襲
Trois
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謁見の間を出ると、正面にロゼリアが立っていた。
「エリオット。」
答えず黙礼し、歩き出す。
「あ、ねぇ。待って。」
追い縋る声が鬱陶しい。無視して歩く。ラッセルとアントンも後ろを付いてきているが、さらに後ろから金切り声が響き渡った。
「お待ちなさい!なんたる無礼!王女殿下のお声がけを無碍にするなど!」
王宮侍女長マルガレータの声だった。
立ち止まってゆっくりと振り返ると視線を当て威圧を放つ。
気迫に押され、周囲に控えていた騎士たちまで固まった。脂汗が浮き、喉が鳴る。
ラッセルとアントンは自分たちに向けられた訳ではないと必死に言い聞かせた。
まともに浴びせられたマルガレータの顔色はどんどん白くなり、ガクガクと膝が震え出す。
ロゼリアはと言えばマルガレータの袖を掴み、へたり込んでいた。
「面白いことを仰いますね。王宮侍女長殿。いつ私が王女殿下のお声がけを無碍にしたと?」
「い、いま。今した、で、しょう。」
さらに威圧を増し、睨みつける。
「はて?私は王女殿下に名を呼んでいただく栄誉に与っておりませんので。どこか別の誰かをお呼びになったのだと認識しておりました。」
「そ、そんな、わけが。」
「おかしいではないですか?私は王女殿下の御名をお呼びしたこともなければ、王女殿下から名を呼んでも良いかと問われたこともございません。なのに、勝手に名を呼び回るなど。王女殿下ともあろう方がそんな、はしたないことを?平民同士の馴れ合いのような真似をなさるはずがございません。」
「……。」
「仮にもし、王女殿下が私を名で呼んだのだとして。臣下たる私が王女殿下を無碍に?出来るとお思いで?あまり大声で主君を貶めるような発言をするべきではないと進言致します。」
そこでやっと威圧を解くとラッセルとアントンに「行くぞ。」とだけ告げ再び歩き出す。
廊下にはガックリと座り込んで汗みずくになった顔面蒼白のマルガレータ、同じく座り込み肩を震わせるロゼリア。その周囲で余波を食らった騎士たちが立ち尽くしていた。
「エリオット。」
答えず黙礼し、歩き出す。
「あ、ねぇ。待って。」
追い縋る声が鬱陶しい。無視して歩く。ラッセルとアントンも後ろを付いてきているが、さらに後ろから金切り声が響き渡った。
「お待ちなさい!なんたる無礼!王女殿下のお声がけを無碍にするなど!」
王宮侍女長マルガレータの声だった。
立ち止まってゆっくりと振り返ると視線を当て威圧を放つ。
気迫に押され、周囲に控えていた騎士たちまで固まった。脂汗が浮き、喉が鳴る。
ラッセルとアントンは自分たちに向けられた訳ではないと必死に言い聞かせた。
まともに浴びせられたマルガレータの顔色はどんどん白くなり、ガクガクと膝が震え出す。
ロゼリアはと言えばマルガレータの袖を掴み、へたり込んでいた。
「面白いことを仰いますね。王宮侍女長殿。いつ私が王女殿下のお声がけを無碍にしたと?」
「い、いま。今した、で、しょう。」
さらに威圧を増し、睨みつける。
「はて?私は王女殿下に名を呼んでいただく栄誉に与っておりませんので。どこか別の誰かをお呼びになったのだと認識しておりました。」
「そ、そんな、わけが。」
「おかしいではないですか?私は王女殿下の御名をお呼びしたこともなければ、王女殿下から名を呼んでも良いかと問われたこともございません。なのに、勝手に名を呼び回るなど。王女殿下ともあろう方がそんな、はしたないことを?平民同士の馴れ合いのような真似をなさるはずがございません。」
「……。」
「仮にもし、王女殿下が私を名で呼んだのだとして。臣下たる私が王女殿下を無碍に?出来るとお思いで?あまり大声で主君を貶めるような発言をするべきではないと進言致します。」
そこでやっと威圧を解くとラッセルとアントンに「行くぞ。」とだけ告げ再び歩き出す。
廊下にはガックリと座り込んで汗みずくになった顔面蒼白のマルガレータ、同じく座り込み肩を震わせるロゼリア。その周囲で余波を食らった騎士たちが立ち尽くしていた。
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