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événement principal acte 27 奇襲
Deux
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謁見の間には、国王ロドス。その傍には宰相が佇んでいた。
いつぞやのことを思い出す。確かあの時もこんな場面で妄言を吐かれた。
「アーガン伯爵。急に呼びつけてすまないな。」
「いえ。」
短く答え、頭を下げたままでいるとそのままロドスは続けた。
「先の件だが、素晴らしい貢献であった。礼を言う。」
「勿体なきお言葉にございます。」
「そこでだ。是非褒美をと思ってな。」
「……。」
「秋に王家主催の夜会を開こうと思っておる。そうだな、今から四ヶ月後か。その時に陞爵しよう。丁度公爵家が一つ減ってしまったからな。」
「お心、有り難く。しかし臣下として当然のことをしたまで。褒賞を頂くのは身に余ります。」
「ああ。気にするな。侯爵家を陞爵しようにもこれと言った家門がなくてな。その点アーガン伯爵はスル=クルールを生み出し、王太子暗殺未遂の真相を暴く働きをした。ここまで功績を上げておるのに何もしないとは、無理な話だろう?」
「……。」
「それでな。公爵位に陞爵した後では流石に子爵令嬢では釣り合いが取れぬ。夜会までに婚約を解消しておくように。心配入らぬ、相応しい婚約者は責任を持って用意しよう。」
「お言葉ですが。」
エリオットは顔を上げ、ひたとロドスを見つめた。
「功績を認め陞爵を褒美にと仰るのであれば辞退致します。代わりに婚約者との婚姻を認めて頂ければ私から望むものはございません。」
「……。アーガン伯爵。陞爵し公爵となるのは決まったことなのだ。発表は夜会にて行うがその前に婚約解消が必要だろうと、わざわざ先に知らせてやったと言うのに。」
「……。」
「よいな。秋の夜会で発表する。そのつもりでいるように。」
立ち上がり、ロドスが去っていく。後ろを続く宰相がちらりと視線を寄越した。
まったく。
やってくれるな。
フェリシテが帰国した途端、これか。
エリオットは踵を返すと謁見の間を後にした。
ティアナがカーリア男爵領にいて良かった。
今の自分はきっと人でも殺しそうな顔をしている。
いつぞやのことを思い出す。確かあの時もこんな場面で妄言を吐かれた。
「アーガン伯爵。急に呼びつけてすまないな。」
「いえ。」
短く答え、頭を下げたままでいるとそのままロドスは続けた。
「先の件だが、素晴らしい貢献であった。礼を言う。」
「勿体なきお言葉にございます。」
「そこでだ。是非褒美をと思ってな。」
「……。」
「秋に王家主催の夜会を開こうと思っておる。そうだな、今から四ヶ月後か。その時に陞爵しよう。丁度公爵家が一つ減ってしまったからな。」
「お心、有り難く。しかし臣下として当然のことをしたまで。褒賞を頂くのは身に余ります。」
「ああ。気にするな。侯爵家を陞爵しようにもこれと言った家門がなくてな。その点アーガン伯爵はスル=クルールを生み出し、王太子暗殺未遂の真相を暴く働きをした。ここまで功績を上げておるのに何もしないとは、無理な話だろう?」
「……。」
「それでな。公爵位に陞爵した後では流石に子爵令嬢では釣り合いが取れぬ。夜会までに婚約を解消しておくように。心配入らぬ、相応しい婚約者は責任を持って用意しよう。」
「お言葉ですが。」
エリオットは顔を上げ、ひたとロドスを見つめた。
「功績を認め陞爵を褒美にと仰るのであれば辞退致します。代わりに婚約者との婚姻を認めて頂ければ私から望むものはございません。」
「……。アーガン伯爵。陞爵し公爵となるのは決まったことなのだ。発表は夜会にて行うがその前に婚約解消が必要だろうと、わざわざ先に知らせてやったと言うのに。」
「……。」
「よいな。秋の夜会で発表する。そのつもりでいるように。」
立ち上がり、ロドスが去っていく。後ろを続く宰相がちらりと視線を寄越した。
まったく。
やってくれるな。
フェリシテが帰国した途端、これか。
エリオットは踵を返すと謁見の間を後にした。
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