【完結】R-15 私はお兄様を愛している

événement principal acte 24 日常

Neuf

　とにかく、催促までされてすぐに行かないわけには行かない。

　宰相を始め、臣下たちは何とかローレンスを説き伏せテレンシア皇国へと送り出した。
　通常の特使より護衛を倍にして物々しい行列が出立したと言う。

　最終的に護衛の打診はなかった。タウンハウスでテレンシア皇国からの高貴な御方を迎えているエリオットにそちらを放り出して護衛に付けとは口が裂けても言えない。
　ただ今回のことでローレンスまでが執着していることが分かり、エリオットはげんなりした。姉弟揃って粘着が過ぎる。遺伝か。

　とにかくこれで、ローレンスが戻るまで事態は動かないだろう。

　もうすぐ、年が明ける。
　来年ティアナは15歳となる。
　学校を卒業するまでにはこの件に決着を付けて、ルディウスにも結婚式には出てもらいたい。

　結婚式の準備も、年が明けたら始まるのだ。領邸の四階を調え、挙式は領地で挙げる。親しいものたちだけで挙げるつもりでティアナの友人たちも呼ぼうと思っていた。

　この機会に別邸を建てるか。

　エリオットは既に、生活の拠点を王都から領地に移すことを決めていた。
　今回のことで、ほとほと王家には愛想が尽きた。
　今まで以上に距離を保ち、平和に暮らしたいと思っている。
　なんならタウンハウスも処分し、希望する使用人たちは皆連れて行こうと考えていた。

　その辺りもティアに相談しよう。

　エリオットは再び、溜まった執務に取り掛かった。