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événement principal acte 19 画策
Huit
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アリーは、あの夜一人きりで客室に籠り泣き続けた。
心配するダビデとバルクのどちらとも会おうとはせず、一夜が明けると客室を訪れたダビデに泣き腫らした瞳のままアリーは告げた。
「カーリア男爵領に行きたい。」
ダビデは黙って頷くとエリオットにアリーの意思を告げた。もう、別邸に戻るつもりはないと言う。
こうなることは、ある程度予想が付いていた。
一週間後、ティアナにはアリーが華としてもっと腕を磨きたいのだと話した。
離れて暮らすことになるが、いつでも訪ねてくると良い。
そうダビデが言うと笑顔で頷いた。
自分には話せない事情があって、カーリア男爵領に行けば元気になるのだと本当は分かっている。
だからティアナは一つだけ、ダビデにお願いをした。
「ロロも一緒に連れて行ってくれる?」
ある日からずっと、ロロはアリーに寄り添うようになっていた。片時も離れず、ついて回るその様子はまるでアリーを守っているようだった。
「お母様をお願い出来る?ロロ。」
甲高い声で返事をするロロを抱きしめ、束の間の別れを惜しんだ。離れるのは寂しいけれどきっと今ロロが必要なのはアリーの方だ。
優しく頭を撫で、アリーを見ると浮かべた笑顔は儚げで今にも消えそうだった。
思わず駆け寄り、抱きつくと優しく抱きしめ返してくれる。
「お母様、お手紙書くわ。」
「ええ。私も書くわ。」
「お休みになったら会いにいくわ。」
「……ええ。待ってるわ。愛してる、愛してるわティアナ。私の可愛い娘。あなたが誰よりも大切なの。」
鼻がつん、として涙が滲む。
「お母様、私も。お母様が大好き。」
心配するダビデとバルクのどちらとも会おうとはせず、一夜が明けると客室を訪れたダビデに泣き腫らした瞳のままアリーは告げた。
「カーリア男爵領に行きたい。」
ダビデは黙って頷くとエリオットにアリーの意思を告げた。もう、別邸に戻るつもりはないと言う。
こうなることは、ある程度予想が付いていた。
一週間後、ティアナにはアリーが華としてもっと腕を磨きたいのだと話した。
離れて暮らすことになるが、いつでも訪ねてくると良い。
そうダビデが言うと笑顔で頷いた。
自分には話せない事情があって、カーリア男爵領に行けば元気になるのだと本当は分かっている。
だからティアナは一つだけ、ダビデにお願いをした。
「ロロも一緒に連れて行ってくれる?」
ある日からずっと、ロロはアリーに寄り添うようになっていた。片時も離れず、ついて回るその様子はまるでアリーを守っているようだった。
「お母様をお願い出来る?ロロ。」
甲高い声で返事をするロロを抱きしめ、束の間の別れを惜しんだ。離れるのは寂しいけれどきっと今ロロが必要なのはアリーの方だ。
優しく頭を撫で、アリーを見ると浮かべた笑顔は儚げで今にも消えそうだった。
思わず駆け寄り、抱きつくと優しく抱きしめ返してくれる。
「お母様、お手紙書くわ。」
「ええ。私も書くわ。」
「お休みになったら会いにいくわ。」
「……ええ。待ってるわ。愛してる、愛してるわティアナ。私の可愛い娘。あなたが誰よりも大切なの。」
鼻がつん、として涙が滲む。
「お母様、私も。お母様が大好き。」
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