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événement principal acte 17 初恋
vingt et un
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リッチモンド子爵家のタウンハウスは暖かみのある可愛らしい屋敷だった。
初めてお茶会に参加するティアナは浮き足立っていた。今まで招待状が来てもエリオットが厳選し全て断っていた。今回はティアナからエリオットに相談して参加を決めたのだ。
実際に招待状が届くとエリオットから一つだけ約束するよう言われたことがある。
「どこに行くにも必ずセリーナを連れて行くこと。絶対に一人になってはいけない。」
もちろん、約束した。自分のことを思って言ってくれているのは分かっている。何より、知らない場所に一人でなんて怖くて無理だ。
だからセリーナを伴い、案内された庭園を訪れた。
テーブルがセットされており、すでにホリーとウィローが座っていた。ティアナは二人に微笑みかける。
「お招き頂きありがとうございます、リッチモンド子爵令嬢様。」
「ようこそ。い、いらっしゃいませ。シュトラウ子爵令嬢様。」
緊張した様子でホリーが答える。今日のホストはホリーになる。隣でウィローが励ますように視線を送っていた。
席を勧められ、腰掛ける。
可愛らしい丸テーブルにレースのクロスが掛けられており、わくわくした。用意されたお茶もお菓子も可愛らしいカップや皿で彩られている。
にこにこしながら始まりを待っていると、何やら人の声が聞こえてきた。
邸内で話しているはずなのに大きな声で気のせいかこちらに近付いてきている。
なにかしら?
ホリーを見ると青い顔をして俯いていた。隣のウィローは落ち着かなげに視線を彷徨わせている。
程なくして、女性がこちらに近付いてきた。後ろに侍女を二人従えている。
明らかに高位貴族と分かる出立で、ティアナは咄嗟に立ち上がった。ホリーとウィローも慌てて立ち上がる。三人でカーテシーをすると女性がすぐ前に立つ気配がした。
静まり返った空気の中、いつまで経っても声が掛けられない。
下位貴族と呼ばれるティアナたちは相手から声が掛かるまでカーテシーをし続けなければならない。
明らかな嫌がらせだった。
初めてお茶会に参加するティアナは浮き足立っていた。今まで招待状が来てもエリオットが厳選し全て断っていた。今回はティアナからエリオットに相談して参加を決めたのだ。
実際に招待状が届くとエリオットから一つだけ約束するよう言われたことがある。
「どこに行くにも必ずセリーナを連れて行くこと。絶対に一人になってはいけない。」
もちろん、約束した。自分のことを思って言ってくれているのは分かっている。何より、知らない場所に一人でなんて怖くて無理だ。
だからセリーナを伴い、案内された庭園を訪れた。
テーブルがセットされており、すでにホリーとウィローが座っていた。ティアナは二人に微笑みかける。
「お招き頂きありがとうございます、リッチモンド子爵令嬢様。」
「ようこそ。い、いらっしゃいませ。シュトラウ子爵令嬢様。」
緊張した様子でホリーが答える。今日のホストはホリーになる。隣でウィローが励ますように視線を送っていた。
席を勧められ、腰掛ける。
可愛らしい丸テーブルにレースのクロスが掛けられており、わくわくした。用意されたお茶もお菓子も可愛らしいカップや皿で彩られている。
にこにこしながら始まりを待っていると、何やら人の声が聞こえてきた。
邸内で話しているはずなのに大きな声で気のせいかこちらに近付いてきている。
なにかしら?
ホリーを見ると青い顔をして俯いていた。隣のウィローは落ち着かなげに視線を彷徨わせている。
程なくして、女性がこちらに近付いてきた。後ろに侍女を二人従えている。
明らかに高位貴族と分かる出立で、ティアナは咄嗟に立ち上がった。ホリーとウィローも慌てて立ち上がる。三人でカーテシーをすると女性がすぐ前に立つ気配がした。
静まり返った空気の中、いつまで経っても声が掛けられない。
下位貴族と呼ばれるティアナたちは相手から声が掛かるまでカーテシーをし続けなければならない。
明らかな嫌がらせだった。
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