上 下
312 / 520
événement principal acte 17 初恋

Sept

しおりを挟む
 マシューは7歳の夏、恋をした。初恋だった。

 初めて会ったその女の子は、くりくりとしたピンクの瞳とチョコレートを溶かしたような髪をしていた。一目惚れだった。

 家が裕福で容姿も整っていたマシューは今まで女の子たちから黄色い声を浴びせられることが多かった。
 だから当然、ティアナも自分を好きになる。
 そう思っていた。

 しかし、ティアナは全くこちらを見なかった。関心がなかったと言った方が正しい。マシューにはそれが面白くなかった。

 俺が気にかけてやったって言うのに。

 こっちを向けと蛙を帽子に詰め込んでやった。気付かず通り過ぎたから、ここにいるぞと背中を押してやった。綺麗な髪を結ぶリボンが赤でも黄色でもなくて面白くないから取ってやった。

 そのうちあまり見なくなって探したら別のところで知らない奴らと遊んでいた。面白くないからブスだのバカだの言って泣かしてやった。大きなピンクの瞳が涙で潤み、みるみる落ちた。

 かわいい。

 笑顔もかわいいけど泣き顔もかわいい。
 なぜか自分には笑ってくれないけれど虐めたら泣き顔は見れる。だったら虐めてやる。

 そうして追いかけ回して虐めた。これからは俺のことだけ考えればいい。頭の中を俺でいっぱいにしてやる。

 その三年後、急にティアナがいなくなった。聞いて回ったけどどこに行ったか誰も知らなかった。なんでも親戚の世話になると引越したと言う。

 落ち込んだし頭に来た。

 挨拶された奴らもいたのに自分のところにはこなかった。
 さらに三年後、学校に入学したら思いがけずティアナを見つけた。平民は読み書き計算が出来ないと通えないのになんでここにいるんだ。

 でもどうでもいい、もう逃さない。

 なのに、貴族だって?婚約者がいる?どう言うことだ!

 信じるもんか。

 あいつを虐めて泣かせていいのは俺だけだ。邪魔されたけど次は逃さない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?

さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。 私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。 見た目は、まあ正直、好みなんだけど…… 「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」 そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。 「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」 はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。 こんなんじゃ絶対にフラれる! 仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの! 実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。 

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

処理中です...