【完結】R-15 私はお兄様を愛している

événement principal acte 16 歓迎

Sept

　スコットの少し後ろにはクライヴ、ヴィンス、シリル、アイザック、ケビンと伯父や従兄弟、幼馴染たちが勢揃いしていた。皆、じりじりと落ち着かない様子でこちらを見ている。
　エリオットは苦笑して後ろを振り向くとエマとセリーナに声を掛けた。

「ティアナを部屋へ。スコット、案内を。」
「畏まりました。では、こちらへ。」

　スコットの後をエマ、ティアナ、セリーナと続いて領邸に入っていく。
　エリオットの側にラッセル、アントン、ジャックが近寄るのと五人が囲むのは同時だった。クライヴがエリオットの肩を抱く。

「エリオット、お前急に婚約するからびっくりしたぞ。」
「伯父上。」
「可愛い子じゃないか。ちゃんと紹介してくれよ。」
「勿論です。今日は疲れているでしょうから、日を改めて皆で晩餐でも。」
「じゃあ今日はお前付き合え！こいつらも一緒に飲むぞ。」
「分かりましたよ。」
　笑いながら返すとヴィンスがジャックに話しかけているのが見えた。クライヴもそちらに向かう。なんだかんだと兄弟仲が良いので久しぶりの再会を喜んでいるのだろう。その二人にクライヴが絡んでいた。
　シリルとアイザック、ケビンはちらちらとお互いを見ながらエリオットに話しかけた。

「婚約したと聞いた時は驚きましたが、お相手を聞いて納得しました。」
　シリルがエリオットに言う。黙ってアイザックが同意し、ケビンが続ける。

「私はお相手を聞いて二度驚きましたよ。でも確かに色々気にかけてましたよね。」
「そうか？」
　エリオットはケビンの肩を叩き、そのまま歩くよう促す。
　最後尾に荷物を持ったラッセルとアントンが続き、三階の自室に向かう。ティアナはまだ婚約者なので二階の一番広い客室が与えられていた。

　恐らく、中々二人きりになるのは難しいだろうがなるべく一緒に過ごそうと心に決めてその日の夜は皆で一晩中飲み明かした。

　久しぶりに信頼出来るものたちと後を気にせず飲む酒はエリオットにとって格別なものだった。