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événement principal acte 16 歓迎
Trois
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翌朝、着替えを終えソファに腰掛け旅程を確認しているとノックが鳴った。アントンが応え、扉を開けるとティアナがひょこりと顔を出した。
「おはようございます、お兄様。」
「おはようティアナ。よく眠れたか?」
返事を返すと申し訳なさそうに眉を下げる。
手招きすると、入室してエリオットの側に寄ってくる。後ろにセリーナが付いており、扉側のアントンに近寄ると少し距離を空けて控えた。
手を伸ばし、ティアナの手を握って隣を促す。ちょこんと座るともじもじと俯いた。
「湯浴みをしたら、すごく眠くなって。さっき起きたの。ごめんなさい、お兄様。」
「構わない。疲れていたんだろう。」
「夕食、お一人だったのでしょう?」
「そうだな。そのかわり、朝は付き合ってくれるだろう?」
覗き込んで誘うとティアナが頬を染めて頷いた。
「私もお兄様と一緒がいい。」
可愛いな。
こう言うことを衒いもなく素直に言うティアナが愛おしい。
昨日の馬車でもそうだがエリオットは婚約してから少しずつ様子を見てティアナに触れるようにしていた。
本来なら貴族は婚約者とは言えみだりに触れたりはしない。手を繋ぐのも滅多にしないし腰に手を回したりするのもダンスの時くらいだ。
しかしエリオットはティアナに、エリオットが触れることは普通だと思わせるよう動いていた。
もちろん、二人きりの時だけ。
もちろん、婚約者にだけ。
もちろん、嫌がることは絶対しない。
結婚まで三年半。16歳の春、デビュタントボールを迎えた翌月には結婚式を挙げることにした。
アリーとダビデの承諾は得ている。
エリオットはそれまで、ティアナを抱くつもりはない。
ただ、全く手を出さないのかと言われれば。
そんなつもりは毛頭なかった。
「おはようございます、お兄様。」
「おはようティアナ。よく眠れたか?」
返事を返すと申し訳なさそうに眉を下げる。
手招きすると、入室してエリオットの側に寄ってくる。後ろにセリーナが付いており、扉側のアントンに近寄ると少し距離を空けて控えた。
手を伸ばし、ティアナの手を握って隣を促す。ちょこんと座るともじもじと俯いた。
「湯浴みをしたら、すごく眠くなって。さっき起きたの。ごめんなさい、お兄様。」
「構わない。疲れていたんだろう。」
「夕食、お一人だったのでしょう?」
「そうだな。そのかわり、朝は付き合ってくれるだろう?」
覗き込んで誘うとティアナが頬を染めて頷いた。
「私もお兄様と一緒がいい。」
可愛いな。
こう言うことを衒いもなく素直に言うティアナが愛おしい。
昨日の馬車でもそうだがエリオットは婚約してから少しずつ様子を見てティアナに触れるようにしていた。
本来なら貴族は婚約者とは言えみだりに触れたりはしない。手を繋ぐのも滅多にしないし腰に手を回したりするのもダンスの時くらいだ。
しかしエリオットはティアナに、エリオットが触れることは普通だと思わせるよう動いていた。
もちろん、二人きりの時だけ。
もちろん、婚約者にだけ。
もちろん、嫌がることは絶対しない。
結婚まで三年半。16歳の春、デビュタントボールを迎えた翌月には結婚式を挙げることにした。
アリーとダビデの承諾は得ている。
エリオットはそれまで、ティアナを抱くつもりはない。
ただ、全く手を出さないのかと言われれば。
そんなつもりは毛頭なかった。
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