【完結】R-15 私はお兄様を愛している

événement principal acte 15 婚約

Onze

　エリオットの執務室に、エマがサマンサと共に訪れた。

「どうした。」
「はい。実はサマンサからティアナ様の専属侍女について相談を受けまして。」
「もう一人、おつけした方が良いのではないかと思ったのです。」
　エマとサマンサの申し出にエリオットは納得した。
　確かに、現状セリーナ一人では何かあった時、側を離れて人を呼ぶことも難しい。体調不良になる場合もあるだろう。もう一人いた方が安心出来る。

「そうだな、確かにいた方がいいだろう。」
「それで王都に慣れたタウンハウスの侍女が望ましいのですが唯一の侍女はリアンナだけでして。」
　サマンサが困った顔をした。

「彼女は婚姻したばかりで夫婦仲も良く、恐らくそう遠くないうちに子が出来るかと。」
「そうか。せっかく付けてもすぐに離れる可能性があるなら領邸から見繕った方がいいな。」
「わかりました。では、セリーナにも相談してみます。」
「ああ。婚約を発表したら領地にティアナを連れて行く。一ヶ月くらい滞在するから、その時相性をみたらいい。」
「「畏まりました。」」
　二人が退室すると、エリオットは執務に戻った。

　年明けが待ち遠しい。
　こんなことは初めてだった。