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événement principal acte 13 暗躍

dix-huit

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 それから、父が住んでいた屋敷は解体し付いていた監視の使用人や騎士たちは任務を解いて元の職場に戻したとベントリーは告げた。

「そうか、屋敷から何か出てきたか。」
「シカッルや絵姿に関しては特に何も。ただ、手紙と日記を又大量に書かれていましたので秘密裏に持ち出しました。」
「そうか、後で見せてくれ。」
「はい。それから、前当主様は小ぶりな懐中時計を首から下げておりました。寝入ってる間に確認致しましたが。」
「蓋裏にメアリ夫人が描かれていたか。」
「ご存知でしたか。」
 驚くベントリーにマーカス・オルコットの話をした。シカッルを渡していたのも奴だと告げると微かに眉間に皺が寄った。
 ついでにマルガレータ・レドモンドとタウンハウスにいた三人の侍女たちについても話す。
 聞き終わるとベントリーは息を吐いた。

「旦那様、分かってはいましたが厄介な相手に好かれていますね。」
「ああ。だがあの女を娶る気はない。」
 吐き捨てたエリオットに瞠目するとベントリーは頷いた。

「畏まりました。私も王族と縁続きになるのは伯爵家にとって好ましくないと考えます。王国の盾として、王族とは距離がある方が望ましいかと。しかし、喪中は使えて来年いっぱいです。当主になって丸三年、旦那様は20歳になられます。恐らくそれが限界です。」
「確かにな。」
「もし、王女殿下を娶るよう王命が下されたらどうしますか。」
「爵位が足りんだろう。」
「降嫁させるために功績を捏造し陞爵させることもあり得ます。」
 ベントリーがぐっと顎に力を入れた。あり得なくもない話に眩暈がした。

「もし運良く王命から逃れても媚薬でも盛られて裸で同衾しているところを見られたら娶らざるを得なくなります。」
「恐ろしいことを言うな。」
 怖気が走って吐き気がした。

「あり得ないことではございません。とかく女性は腕力がありません。女騎士ならともかく淑女と言われる非力な方々は大抵薬に頼るのです。その最たるものが媚薬です。」
 確かに薬に頼るのは女性が多い。力がなくても相手を御しやすくなるからだ。

「旦那様、未だ時間があります。今のうちに媚薬に慣れるよう取り組んではいかがでしょうか。」

 面倒だし何より嫌悪が先に立つ。欲を感じないわけではないが普段は鍛錬で発散しているし、どうしようもない時は浴室で手早く済ませていた。
 何でこんな話をしなきゃいけないんだと恨めしくなる。

 しかしベントリーの言うことは尤もだった。

「確かに、王命で結婚させられるのも薬を盛られて無理矢理既成事実を作らされるのも御免だな。」
「婚約者が決まれば一番確実なのですが。」

 途端にバルクの冗談混じりな婚約話を思い出し、かっと頬に熱が上った。
 ベントリーが驚いて固まる。

 媚薬の話をした後に、ティアナを思い出して居た堪れない。

 あの子は異母妹だ。妹だ。
 そうだ、そう言う対象ではない。

 自分に言い聞かせて無言になったエリオットをベントリーは訝しげに眺めていた。
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