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événement principal acte 13 暗躍

Trois

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 エリオットが鍛錬室で汗を流していると、ノックが鳴った。

 剣を下ろし、振り向いて応えを返すと一礼した後エマとアントンが入室してくる。側に控えていたラッセルがタオルを差し出し、代わりに剣を渡すと汗を拭いながら問いかけた。

「どうした。」
「パメラがティアナ様に接触しました。」
 エマが答えるとエリオットの眉間に皺が寄った。

「申し訳ございません。私のせいです。」
 頭を下げるアントンに視線を向けると俯いたまま話し出した。

「ご指示通り対応したつもりなのですが。少しでも疑問に思うと確信が得られるまで食い下がり、辟易して一度でも冗談だと言えば今度はあっさり信じます。その繰り返しでして。」
「予想外だな。ラッセルの方には来なかったのか。」
「はい。」
 ラッセルが頷くと、アントンが言い添えた。

「恐らく、一ヶ月私に付き纏って欲しい情報が得られないのなら、ラッセルにしても同じだと思ったのではないでしょうか。」
「そんなところだろうな。それでティアナか。」
 エマを見ると、困惑した顔で報告を始めた。

「はい。今日は休憩の時間にロロを連れて、中庭に出ておりました。パメラが応接室に入ってきて花瓶の花を入れ替えると言うのでそのまま見ていたのですが。急にティアナ様に近づくと花は好きかと問いかけて。」
「それで。」
「ティアナ様が頷くと自分も好きだから、今度一緒にお庭へお散歩に行きましょうと。ノーマンからは全使用人へティアナ様に許可なく近づかないよう通達が出ています。分かっていて声をかけたということはティアナ様に気に入られさえすればいいと思っているのかと。」
「くだらんな。」
 エリオットはタオルをラッセルに渡し、自室に向かった。

「エマ、ティアナは今どうしている。」
「サマンサについてもらって客室におります。」
「その侍女は。」
「花を入れ替えたのなら持ち場に戻るよう指示しました。またお話ししましょうねとティアナ様に声をかけて去りました。」
 何がまたお話ししましょうね、だ。貴様は使用人だろうが。

「エマ、サマンサと変わってティアナについていろ。」
「畏まりました。」
「ラッセルとアントンはついてこい。湯浴みをして着替える。話は後だ。」
「「畏まりました。」」
 エリオットはこれからどうするのか、目まぐるしく考えていた。

 ティアナを利用しようとしたこと、許しはしない。
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