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événement principal acte 6 comté de Argan後編
Cinquante
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父の容態が安定したと報告を受け、屋敷へ向かうことにした。
護衛も付けず、愛馬を駆って一人向かう。
表向きは隠居だが実際は蟄居なので監視をさせているものたち以外は極力近付けたくなかった。それに複数で動けば人目を引く。
屋敷に着くと近くの木にジュリを繋いで中に入った。
使用人と護衛騎士がそれぞれ一礼する。
「起きているか。」
「はい。丁度今、医師の診察中です。」
もう一人の使用人が同席しているらしい。
ノックをして応えを確認すると、そのまま入った。
医師と使用人が立ち上がり、一礼する。
「父上の容態はどうだ?」
「はい。食事も通常のものを召し上がれるようになりました。精神的に多少不安定ではありますが、安静にしていれば問題はないかと。」
医師の返答に頷くと二人に退室するよう伝えた。
視線を父にやると、ぼんやりと天井を見つめている。
「父上。お加減はいかがですか。」
「……エリオットか。」
「はい。心配しました。」
「……。」
心配したのは領地の外に出ることだが嘘ではない。
しれっと口にして医師が座っていたベッド脇の椅子に腰掛けた。
「食欲はどうですか。」
「……。」
「父上。」
「こんなところに押し込んでおいて、なにが心配だ。笑わせるな。」
「……。」
「まぁいい。お前、アルマを連れてこい。」
「……。」
「アルマだよ、メアリが私の元に戻って来るために名を変えたんだ。今度こそ、私の元に居れるようにな。」
「……父上。」
「別人のふりをしてるんだ。その証拠に私たちは愛し合い子が産まれた。お前の妹だ。」
「……。」
「エリオット。メアリを連れてくるんだ。あれは私のものだ。私の女だ。」
「……。」
「連れてこい!」
目が血走り、口角から泡を飛ばして声を荒げる男はすっかり痩せこけて嗄れた爺にしか見えなかった。
護衛も付けず、愛馬を駆って一人向かう。
表向きは隠居だが実際は蟄居なので監視をさせているものたち以外は極力近付けたくなかった。それに複数で動けば人目を引く。
屋敷に着くと近くの木にジュリを繋いで中に入った。
使用人と護衛騎士がそれぞれ一礼する。
「起きているか。」
「はい。丁度今、医師の診察中です。」
もう一人の使用人が同席しているらしい。
ノックをして応えを確認すると、そのまま入った。
医師と使用人が立ち上がり、一礼する。
「父上の容態はどうだ?」
「はい。食事も通常のものを召し上がれるようになりました。精神的に多少不安定ではありますが、安静にしていれば問題はないかと。」
医師の返答に頷くと二人に退室するよう伝えた。
視線を父にやると、ぼんやりと天井を見つめている。
「父上。お加減はいかがですか。」
「……エリオットか。」
「はい。心配しました。」
「……。」
心配したのは領地の外に出ることだが嘘ではない。
しれっと口にして医師が座っていたベッド脇の椅子に腰掛けた。
「食欲はどうですか。」
「……。」
「父上。」
「こんなところに押し込んでおいて、なにが心配だ。笑わせるな。」
「……。」
「まぁいい。お前、アルマを連れてこい。」
「……。」
「アルマだよ、メアリが私の元に戻って来るために名を変えたんだ。今度こそ、私の元に居れるようにな。」
「……父上。」
「別人のふりをしてるんだ。その証拠に私たちは愛し合い子が産まれた。お前の妹だ。」
「……。」
「エリオット。メアリを連れてくるんだ。あれは私のものだ。私の女だ。」
「……。」
「連れてこい!」
目が血走り、口角から泡を飛ばして声を荒げる男はすっかり痩せこけて嗄れた爺にしか見えなかった。
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