51 / 62
thanks for coming, convey love Alma and Rudius
光線
しおりを挟む
「あ、あぁ。」
受け取った赤子を抱いて、声にならなかった。ロディ。ロディと同じ色だ。濃紺の髪、赤みの強いピンクの瞳。僕の片割れ。弟と同じ色の我が子。
「ありがとう、ありがとうアリー。」
「ふふふ、良かった。貴方にやっと、子を抱いてもらえた。」
「うん。うん。」
抱きしめて頬擦りする。柔らかな頬。泣きたくなるような甘くて優しい匂い。大切な命。
「ルディ、名前考えた?」
「うん……男の子なら。ラディウスはどうかなって。」
「素敵ね。光線って意味でしょう?」
「知ってるの?」
「ええ。貴方と弟のロディウス様の名前を聞いた時、由来は光線って意味のラディウスじゃないかと思ったの。お義母様が名付けたと聞いて、間違いないと思ったわ。」
「なんで……。」
「だって……。きっとお義母様には貴方たち二人がそれは輝いて見えたと思うから。初めて授かった愛しい我が子たち。光り輝く二人の息子。きっと、お義母様にとって、どちらも眩しいくらい愛しかったと思うわ。」
「アリー。」
ルディウスの頬からぽたりぽたりと涙が落ちる。
「ああ、こんなに幸せだなんて。信じられないよ。」
「ふふふ。これからもっと、幸せになれるわ。まずはそうね。扉の向こうで待ちきれない、おじいちゃんを呼んでもらえる?伯父さんと伯母さんもいるでしょうね。」
「うん。」
視線を移すとステラが頷き扉へと向かった。フローラがアルマに果実水を渡し、額の汗を拭う。
程なくして慌ただしく扉が開かれ、ダビデとバルク、オリヴィエが雪崩れ込んできた。バルクとオリヴィエには既に娘が産まれており、アリッサと名付けられている。そのアリッサを乳母が抱き、後ろから一緒に付いて入ってきた。そうして皆んなでルディウスを取り囲み、産まれたばかりの孫であり甥を食い入るように見つめる。涙を浮かべ、喜ぶ義父や義兄、義姉を見てルディウスの胸が詰まった。
「おお!おお!」
言葉にならないとダビデが声をあげ、震える手でラディウスの頬を撫でる。
「頑張ったなぁアルマ。おめでとう。」
「ありがとう、お父様。」
「へぇ、ルディに似てるなぁ。色も……一緒だな。良かったな。」
義弟の肩を叩き、バルクが笑う。誰と、とは言わなかった。ただ、良かったなとそう言って笑ってくれた気持ちが、嬉しかった。
「わぁ!可愛い!お疲れ様、アリー様。」
オリヴィエがはしゃぎ、アルマを労う。
「ありがとう、オリヴィエ義姉様。」
アリーはルディに父親となる喜びを知ってほしかった。一緒に育てていく時間を二人で分かち合いたかった。
ああ、無事に産まれてきてくれて、ありがとう。ラディウス。
幸せになるために、私たちのもとへ来てくれた貴方を。命の限り、愛するわ。夫のルディウスと一緒に。
受け取った赤子を抱いて、声にならなかった。ロディ。ロディと同じ色だ。濃紺の髪、赤みの強いピンクの瞳。僕の片割れ。弟と同じ色の我が子。
「ありがとう、ありがとうアリー。」
「ふふふ、良かった。貴方にやっと、子を抱いてもらえた。」
「うん。うん。」
抱きしめて頬擦りする。柔らかな頬。泣きたくなるような甘くて優しい匂い。大切な命。
「ルディ、名前考えた?」
「うん……男の子なら。ラディウスはどうかなって。」
「素敵ね。光線って意味でしょう?」
「知ってるの?」
「ええ。貴方と弟のロディウス様の名前を聞いた時、由来は光線って意味のラディウスじゃないかと思ったの。お義母様が名付けたと聞いて、間違いないと思ったわ。」
「なんで……。」
「だって……。きっとお義母様には貴方たち二人がそれは輝いて見えたと思うから。初めて授かった愛しい我が子たち。光り輝く二人の息子。きっと、お義母様にとって、どちらも眩しいくらい愛しかったと思うわ。」
「アリー。」
ルディウスの頬からぽたりぽたりと涙が落ちる。
「ああ、こんなに幸せだなんて。信じられないよ。」
「ふふふ。これからもっと、幸せになれるわ。まずはそうね。扉の向こうで待ちきれない、おじいちゃんを呼んでもらえる?伯父さんと伯母さんもいるでしょうね。」
「うん。」
視線を移すとステラが頷き扉へと向かった。フローラがアルマに果実水を渡し、額の汗を拭う。
程なくして慌ただしく扉が開かれ、ダビデとバルク、オリヴィエが雪崩れ込んできた。バルクとオリヴィエには既に娘が産まれており、アリッサと名付けられている。そのアリッサを乳母が抱き、後ろから一緒に付いて入ってきた。そうして皆んなでルディウスを取り囲み、産まれたばかりの孫であり甥を食い入るように見つめる。涙を浮かべ、喜ぶ義父や義兄、義姉を見てルディウスの胸が詰まった。
「おお!おお!」
言葉にならないとダビデが声をあげ、震える手でラディウスの頬を撫でる。
「頑張ったなぁアルマ。おめでとう。」
「ありがとう、お父様。」
「へぇ、ルディに似てるなぁ。色も……一緒だな。良かったな。」
義弟の肩を叩き、バルクが笑う。誰と、とは言わなかった。ただ、良かったなとそう言って笑ってくれた気持ちが、嬉しかった。
「わぁ!可愛い!お疲れ様、アリー様。」
オリヴィエがはしゃぎ、アルマを労う。
「ありがとう、オリヴィエ義姉様。」
アリーはルディに父親となる喜びを知ってほしかった。一緒に育てていく時間を二人で分かち合いたかった。
ああ、無事に産まれてきてくれて、ありがとう。ラディウス。
幸せになるために、私たちのもとへ来てくれた貴方を。命の限り、愛するわ。夫のルディウスと一緒に。
34
お気に入りに追加
78
あなたにおすすめの小説
溺愛彼氏は消防士!?
すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。
「別れよう。」
その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。
飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。
「男ならキスの先をは期待させないとな。」
「俺とこの先・・・してみない?」
「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」
私の身は持つの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。
※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
腹黒宰相との白い結婚
黎
恋愛
大嫌いな腹黒宰相ロイドと結婚する羽目になったランメリアは、条件をつきつけた――これは白い結婚であること。代わりに側妻を娶るも愛人を作るも好きにすればいい。そう決めたはずだったのだが、なぜか、周囲が全力で溝を埋めてくる。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。※R6.5/18お気に入り登録300超に感謝!一話書いてみましたので是非是非!
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。 ※R7.2/22お気に入り登録500を超えておりましたことに感謝を込めて、一話お届けいたします。本当にありがとうございます。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる