【完結】R-15 私はお兄様を愛している《Spin-Off》〜あのときは、これからも〜

遥瀬 ひな

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dazzling you, Bulk from Olivier・Wise

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 バルクへの気持ちを自覚したオリヴィエだったが、だからと言って何かが出来るわけでもなかった。

 貴族学園を卒業すると同時に新しい華、パンジーとしてデビューしていたオリヴィエはダビデの手を借り華たちが住まうアパートメントへ早々に引っ越していた。一人暮らしを送るその部屋で、バルクへの気持ちを振り切るようにオリヴィエは作品を作り続けた。同時にデビュタントへ向けて自分なりの準備をする。忙しくしていれば、束の間バルクを忘れることが出来た。

 ダビデからはお祝いにドレスや宝飾品などが贈られ、デビュタントボールのエスコートもお願いすることとなった。

「私は嬉しいが。気になる人はいないのかい?オリヴィエ。」
「ダビデ様がいいです。デビュタントボール、宜しくお願いします。」

 正式に後見となってからは、ダビデはまるでオリヴィエの祖父のように人目も憚らず気にかけてくれるようになった。呼び名も「オリヴィエ。」に代わり、今まで一線を引いていた分、親しく関わろうと心を砕いてくれているのが伝わる。今まで家族から一欠片も愛情や関心を貰えなかったオリヴィエは、その気持ちだけで充分嬉しかった。

 相変わらずバルクも忙しくしているようで良いのか悪いのか、あれ以来会う機会はなかった。それでもデビュタントにはスフェーンを使ったエタニティブレスレットを贈ってくれた。商会宛に届いたそれには珍しい異国の花、桃の花束とカードも付いていた。

 そうしてバルクへの気持ちを胸に秘めたままデビュタントを迎え、慌ただしく一年が過ぎた頃。シーヴァス王国の王都にある下町を中心に流行病が広まってしまう。それは百年前に大流行したものとは違っていたが、中々薬を手に入れられない平民たちに取っては、あの頃となんら変わらない脅威だった。そしてそれはオリヴィエにとっても、他人事ではなかった。

 呆気なく、父が罹患して亡くなったのだから。

 予想通り、当主となった兄からは葬儀への参列を許されなかった。こうして身分としてはワイズ子爵家に籍を置きながら、実質オリヴィエと家族との縁はこの時完全に途絶えたのだった。
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